2019年2月14日 第7号
アルバータ州エドモントン市内のバス停で、凍死寸前の男がバスの運転手に助けられ一命を取りとめた。
男が発見されたのは10日朝のこと。バスで教会のミサに行く途中だったという男性によると、バス停の椅子に座りこんでいる男を発見したバスの運転手は、声をかけても反応がなかったため、男をバスに連れ込んだ。
その時のエドモントン市の外気温は零下30度、体感温度は零下40度を下回っており、男の体は完全に冷え切っていた。911番通報したあと運転手は、救急車が到着するまでの間、この男に付き添っていた。乗客によると、この男は前の晩のほとんどを、このバス停で過ごしていたと運転手に語っていたという。
その後男は病院に運ばれ治療を受けた。同日午後には病院が、男の容体は安定していると発表した。異常寒波に見舞われた同市は、2月に入ってからは最高気温でも零下15度より暖かくなったことがなかった。このためエドモントン市交通局はバスの運転手に対し、この寒波で助けを必要としている人にも注意するよう通達を出しており、今回の件はそれに応えて運転手が躊躇なく行動を起こした好例だというコメントを出した。また乗り合わせていた乗客も、運転手の判断がなければ男は凍死していたと指摘、その行動を称えていた。
2019年2月14日 第7号
オンタリオ州警察は11日、人身売買組織を摘発、劣悪環境での労働を強いられていた外国人43人を解放したと発表した。
被害者はメキシコ生まれで、男性がほとんどだった。カナダ国内での労働ビザと、永住権を保証されるという話に、高額の前金を払ってカナダに連れてこられたという。
彼らは同州南部、シムコー湖に面する人口約12万5千人のバリー市や、そこからほど近い、ジョージアン湾南岸の保養地ワサガ・ビーチの劣悪な環境の中で住まわされていた。ひどい時には月50ドルの生活費しか支給されないこともあった。
「人身売買は、現代の奴隷制度だ」と警察は指摘、搾取の容疑で捜査を進めていると話している。
外国人の年齢は20歳から46歳で、バリー市にある清掃会社の従業員として、近隣のホテルや別荘の清掃を行っていた。住居から清掃現場まではバスなどに乗せられて行き来していたが、その交通費も払わされていた。
警察が彼らを解放した際、その一人は「昨晩ベッドに入った時は奴隷の身だったが、起きたら自由の身になっていた」と語っていたという。この地域でこれほど大規模な人身売買組織の活動が見つかったのは初めてだと、警察はコメントしている。摘発は12件の令状に基づき5日に開始された。保護された43人にはシャワーや食事のほか、新しい衣類が提供された。また全員に新たな生活場所のほか、合法的な仕事が提供された。
「誰かが助けを必要としている時、それに応えるとともに、コミュニティで起きている犯罪に立ち向かっていく、それがカナダ人だ」と、バリー市警察のキンバリー・グリーンウッド署長は語っていた。
2019年2月7日 第6号
ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドに、カナダ初となる仮想現実(VR)ゲームセンターがオープンした。
仮想現実用ゴーグルとヘッドフォーンを頭部に装着、手足にはセンサーを付け、また襲われたり撃たれた時の衝撃を体に伝えるリュックを背負い、黄緑色一色に塗られた部屋に入り、部屋全体に仮想空間が映し出されればゲームスタートとなる。この世とは完全に異なった世界にいるのは、まったく違ったコスチュームに身を包んだ自分と、一緒にゲームを楽しみに来た友人たち。
取材のために地元紙の記者がゾンビと戦うゲームを体験したものの、迫りくるゾンビの恐怖感があまりにリアル過ぎ、ゲームを中断せざるを得なかったと報告している。センターのマネジャー、イアン・チャンさんによると、ゲームは1セット30分だが、この記者と同じように途中でゲームをストップする人も多いという。「仮想現実は次世代型映画館になると、私たちは考えている」とチャンさん。これまでの映画館のようにただ座って見たり、画面に向かってゲームをしたりするのではなく、自分がその中にいるような体験をするものだというわけだ。
ゲームセンターではあるが、使っている機材は特撮映画で用いられているものと同じだと、チャンさん。各プレーヤーの体に付けられたセンサーにより、その動きはリアルタイムで解析され、ゴーグルを通して見えるプレーヤーたちの姿に、仮想現実のコスチュームや状況が重ね合わせられる。これにより、ゴーグルを通さなければ私服を着たままプレーしている友人が、あたかもゲームキャラクターとなってプレーしているかのように見えることになる。例えば誰かが撃たれた場合、他のプレーヤーからもこの人物が撃たれ負傷したように見え、また助けを求めていれば、その窮地に陥った状況がまざまざと目に飛び込んでくることになる。
同ゲームセンターは2016年に香港で第一号店をオープンさせたのち、シンガポールのほかタイとアメリカにも進出している。今年中には北米に約20店舗を展開する予定で、カナダではトロントとカルガリーで、近いうちに開店するとのこと。
現在は3つのゲームが選べるが、年末までにはさらに8つのゲームが追加される予定。また言語は英語と中国語(普通語と広東語)が用意されている。
2019年2月7日 第6号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ナナイモ選挙区で1月30日に実施されたBC州補欠選挙は、新民主党(NDP)シーラ・マルコムソン氏が勝利した。
同日の投開票の結果は、NDPマルコムソン氏が49・22パーセント、次点は自由党候補のトニー・ハリス氏で40・47パーセント、次いでグリーン党ミッシェル・ネイ氏7・38パーセントだった。
連邦ナナイモ-レディスミス選挙区のNDP議員だったマルコムソン氏は、今回の補欠選挙出馬のために連邦議員を辞職して臨んだ。当選確実となった同日夜遅くに同州ジョン・ホーガン州首相が同席する壇上で勝利宣言したマルコムソン氏は、今回の勝利は「ナナイモにとっての勝利」と語り、支持者、ボランティア、有権者に感謝の意を述べた。
BC州議会員としての第1歩を踏み出したマルコムソン氏は「これからまだまだやるべきことがたくさんある」と語り、NDPが政策として掲げる、環境問題、特にオイルサンドパイプライン事業により増加が予想されるタンカー航行による海洋汚染の阻止や、チャイルドケアの改善・充実などを強調した。
BC州のナナイモ選挙区は、昨年10月の地方選挙で元BCNDP議員だったレオナルド・クログ氏がナナイモ市長に当選し辞職したために空席となっていた。
通常ならそれほど注目を浴びる選挙ではないが、今回はBC州議会の勢力図が変わる可能性がある選挙だったため、BC州だけではなく全国的に注目されていた。
選挙前の議席数は与党NDP40、NDPと協力関係にあるグリーン党3で合わせて43、野党自由党が42となっていた。もしNDPが負けて自由党が勝利していれば与党NDP・グリーンで43、自由党43で同数となる。
NDPとしては与党の過半数を維持するために何としても勝利する必要があり、自由党は勝利して早期選挙へと持っていきたいというお互いに譲れない一戦だった。
結果はNDPの勝利で議席数はこれまで通りということになった。しかし、グリーン党が擁立したネイ氏の得票率が7パーセント台と低かったため、グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首はNDPの法案成立の実現にグリーン党の貢献が周知されていないとの危機感から、今後は独自色を強めていく必要があると選挙後に語った。
NDPとグリーンは連立としての与党体制ではなく、あくまでも自由党から政権を奪取するために組まれた協力関係にある。今後、全ての法案においてグリーン党の協力が得られなければNDPは議会で厳しい舵取りを迫られることになる。
一方自由党は、選挙には負けたもののNDPが強いナナイモ選挙区で若いビジネスマンを擁立して40パーセントの得票率と健闘したことで、次の選挙に向けての道筋が見えたとアンドリュー・ウィルキンソン党首は今回の選挙結果に一定の評価をした。
2019年2月7日 第6号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーで中国通信大手ファーウェイ(華為技術)の副会長兼最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏が拘束されて以降、カナダと中国の関係が緊張状態にある中で、国民は自由党政権の中国への対応に不満を持っていることが世論調査で分かった。
世論調査会社アンガスリードが2月1日に発表した調査結果では、92パーセントが今回の中国との緊張関係を厳しい事態と捉えていると回答した。トルドー政権の対応を「非常に拙い」、「拙い」と答えたのは52パーセントで、「非常に良い」、「良い」の33パーセントを大きく上回った。
トルドー政権の今回の中国への対応について、「強硬さが足りない」が44パーセントと最も多く、「適切」が29パーセント、「態度を軟化するべき」が20パーセントとなり、トルドー政権の対応への国民の不満が明らかになった。
今回の調査は1月23日から28日にオンラインで実施された。この実施期間に、前駐中国カナダ大使ジョン・マッカラム氏が、拘束されている孟氏のアメリカへの引き渡しについての数回にわたる失言で解任されている。