2019年2月7日 第6号
今年10月に実施される総選挙を前に連邦政府は、海外からの妨害やサイバーアタック、偽情報などによるカナダ選挙への悪影響を防ぐための対策を1月30日に発表した。
特徴的なのは選挙に影響するような重大な介入行為が認められた場合、国民にもそれを伝達するとしていること。連邦政府は、2016年アメリカの大統領選挙やイギリスの欧州連合(EU)からの離脱を決める住民投票、またケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブック個人情報の流出事件などが、カナダでも起こらない保証はないとして強化を進めると発表した。
ラルフ・グッデイル公安相、ハルジット・サージャン防衛相とともに記者会見に臨んだカリナ・グルド民主機構相は、枢密院書記官長、国家安全保障担当補佐官のほか、法務省、公安省、外務省から各代表1人で構成される5人によって警戒行為かどうかを判断し、その後、首相、各党、選挙管理委員会へ通達し、必要な場合は国民に警戒するよう伝えると説明した。
グッデイル公安相は、ソーシャルメディアを利用する悪質な情報が悪影響を及ぼす事態は「G7(先進7カ国)でもファイブアイ同盟国(カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国による協定関係)でも深刻な問題として懸念されている」と、カナダも例外なく対策が必要との認識を強調した。
2019年2月7日 第6号
カナダの歴史を紹介するヒストリカ・カナダが、連邦保守党が制作したビデオのせいで悪影響を受けているとビデオの修正を要求していたことが分かった。保守党は2月4日に修正版を再投稿した。
これは保守党がソーシャルメディアに投稿していたキャンペーン広告で、自由党ジャスティン・トルドー政権の約束するだけで実行力がない政策を批判している。このビデオ映像に、ヒストリカが制作しているヘリテージ・ミニッツのロゴが使用されていた。これが問題だったという。
ヒストリカCEO(最高経営責任者)アンソニー・ウィルソン-スミス氏は、保守党の映像広告のせいでヒストリカが保守党寄りと受け取られ、寄付を取り止めるという声が上がってきたとメディアに訴えた。
ヒストリカは政治的な活動とは一線を画し、事実に基づいて歴史的出来事や人物を紹介している。
これに対して保守党は、パロディ映像のためにロゴを使用して制作したものでヒストリカを政治的に利用する意図はなかったとして、映像内容を変更、ヘリテージ・ミニッツのロゴを削除して再投稿した。
今年は10月に総選挙が控え、各党とも選挙に向けた準備をすでに着々と進めている。
与野党がお互いの党を批判するのは選挙活動の一環だが、接戦が予想される今回の選挙では、これまでにない批判合戦となると予想されている。
自由党は今回の保守党の自由党批判広告に対して、ハーパー前党首の時と同様の批判的広告キャンペーンは2015年選挙で国民がノーを突きつけたはずだとの声明を発表し、批判で応酬した。
2019年2月7日 第6号
オンタリオ州ハミルトン市に本社のあるミュージックストアチェーンのサンライズ・レコーズが、イギリスのミュージック小売店HMVを買収したと2月4日発表した。
一時はレコードやCDなどのミュージック小売店として世界最大規模を誇っていたHMVだが、音楽のオンライン購入が主流となってきて以降、厳しい経営状態に陥っていた。
サンライズは2017年にHMVカナダを買収。今回の買収についてCEO(最高経営責任者)ダグ・プットマン氏は「イギリスの音楽・エンターテイメントビジネスの象徴を買収できたことを非常に喜んでいる」と語り、レコードやCDなどのアナログメディアがなくなることはないと思っているとの声明を発表した。
今回の買収により約100店舗、1487人の雇用が継続される。
2019年2月7日 第6号
ブリティッシュ・コロンビア州東部で4日、貨物列車が脱線して川に転落、ディーゼル機関車に乗っていた3人の乗員が死亡した。
事故が起こったのは、アルバータ州との州境に近い町フィールドの東。山がちで勾配のきつい区間であるため、列車が蛇行しながら徐々に上り下りできるよう、ループトンネルが2つ掘られていることで知られている。列車はカナディアン・パシフィック鉄道が運行、カルガリー方面からBC州バンクーバーに向けて穀物を輸送していた112両編成の貨物列車。前後と中ほどに、3両のディーゼルカーが配置されていた。
脱線した列車は橋から転落、約60メートル下を流れるキッキングホース川に折り重なるように落下した。機関車に乗っていたのは、カルガリー機関区所属の機関士アンドリュー・ドックレルさん、機関士訓練生のダニエル・ウォールデンバーガー=バルマーさん、そして車掌のディラン・パラダイスさんの3人。2人の遺体は機関車のそばから、1人は車内から発見された。また3人は、事故直前に列車の運転を引き継いでいた。ドックレルさんは機関士歴20年を超えるベテランだった。
関係者は事故の状況から、十分な減速ができなかったことによる脱線のようだと、取材に語っている。この区間の制限速度は、24キロ(15マイル)から32キロ(20マイル)となっているという。
また川に転落した貨車の数は30から40両とみられている。BC州環境省によると、積み荷はすべて穀物で、原油や危険物質などは川に流れ込んでおらず、公衆の安全に影響はないとしている。
鉄道会社は3人の犠牲者と、その家族や友人に対する哀悼の意を発表したほか、労働組合も組合員の悲報に大きな衝撃を受けていた。
なお今年1月3日には、ほぼ同じ場所で貨車16両が脱線する事故も起きていた。
2019年2月7日 第6号
カナダの自動車業界で組織する労働組合ユニファがゼネラル・モーターズ(GM)を批判するテレビコマーシャルを制作した。
GMのやり方は「欲深く」て「非カナダ人的」と批判する内容で、30秒のCMを2月3日にアメリカで開催されたアメリカンフットボールの祭典スーパーボールが放映されたカナダの放送局で流した。
ユニファは昨年GMが発表したオンタリオ州オシャワの工場閉鎖に対して、決定を覆すまで闘うとの姿勢を見せている。先月にはメキシコで生産されたGM車の不買運動を呼びかけた。オシャワ工場が閉鎖されれば2600人が職を失うという。
GMは電気自動車や自動運転車への移行を理由に、オシャワ以外にもアメリカの3地域4工場の閉鎖を同時に発表している。
CMではメキシコでの生産は拡大しているにもかかわらず、カナダの工場閉鎖という決定はカナダ人従業員を極寒の地に放り出すようなものだと批判している。
GMはCMを流さないように事前に要請していたが、ユニファは引き下がるつもりはないと発表していた。さらにGMを工場閉鎖撤回の交渉の場に引き出すための手段として、今後も大きなイベントで同様のCMを流していく予定と語っている。