2019年2月21日 第8号
保守党から離党し新党カナダ国民党を設立したマキシム・ベニエ党首が19日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の男性から著作権侵害で訴えられていることが分かった。
訴えているのは、BC州アボツフォードに住むサティンダー・シング・ディロン氏。訴えによると、ディロン氏はすでに「カナダ国民党」の党名について著作権を保有し、商標登録しているという。政党名としては2018年9月25日に、カナダ選挙管理委員会にも登録申請を提出したと主張している。
今頃になって訴えたのは、今月25日に実施されるBC州バーナビー・サウス選挙区での補欠選挙でベニエ党首のカナダ国民党が候補者を擁立しているからで、裁判所には、この補欠選挙でベニエ党首にカナダ国民党の名前を使用しないよう訴えている。ディロン氏は、「バーナビーでの補欠選挙は自分たちの党名を他の党が使用して候補者を擁立した初めてのケースで、我々としてはベニエ氏とその党員に我々が真剣であることを示すために使用禁止を訴えた」と、声明を発表している。
ベニエ党首のカナダ国民党は昨年結党したものの、カナダ選管委に正式に登録したのは今年1月17日。ベニエ氏側は、この問題については担当弁護士が当たっているが、選管委からこの党名を使用できると確約されていると語っている。
バーナビー・サウス選挙区の補欠選挙は、カナダ国民党だけでなく、自由党、保守党が新民主党(NDP)の選挙区を狙って候補を擁立している。NDPからはジャグミード・シング党首が立候補し、注目を集めている。
2019年2月21日 第8号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにあるユダヤ教の幼稚園・小学校が、不適切な内容の電子メールを匿名で学校関係者に送信した人物を告訴、インターネットプロバイダーに、この人物の情報を提供するよう求めている。
この学校は、同市ウェスト26番アベニュー998番地にあるタルマッド・トラ幼稚園・小学校。BC州最高裁判所に提出された告訴状によると、「ジョン・ドー」と仮名がつけられた人物は1月下旬、学校内部の様々な事情に懸念を示すメールを、学校関係者に送付した。その後、このメールは多くの人に転送されていった。タルマッド・トラ幼稚園・小学校は、電子メールの内容は事実無根で学校を中傷する『侮蔑的な』ものだと非難している。
またこの匿名メールは、理事長のキャシー・ローエンスタインさんの名を挙げ、彼女が採用した友人の年間給与が36万ドルであると暴露している。実際のところ、同校は非営利で幼稚園から7年生までの約600人を抱える学校として登録されているが、カナダ歳入庁に提出された2016年度の税申告書では、ある職員の給与は25万〜29万9千ドルの範囲であったほか、12万〜15万9千ドルの範囲の給与を受け取っていた職員がほかに3人いた。
ちなみに、BC州で最大の学校区であるサレー学校区で同年度に教育長に支払われた給与は24万6705ドルだった。またバンクーバー学校区のセカンダリースクールの校長の給与は、だいたい12万5千ドル程度だ。
また同校は近年、数百万ドルをかけてリノベーションを行っていた。
電子メールでは、学校内ではハラスメントや資金の誤運用、個人のプライバシーの蹂躙などが蔓延、『有害な環境』になっていると指摘されていた。
学校側は、この電子メールを送信した本人を突き止めようと努力したものの、成功しなかった。電子メールの送信者は、ベンジャミン・アブラムサムという偽名を使用していた。
また学校のコンピューターシステムがハッキングされた形跡はなかった。同校職員らはパスワードの管理を厳重にするよう義務付けられているため、「ジョン・ドー」は職員か、元職員である可能性が高いと、学校ではみている。
「ジョン・ドー」はさらに電子メールの中で、学校内では職員からの人権侵害に関する訴えが、もみ消されたこともあったとしている。この職員はその後、腎臓の疾患を理由に辞職している。さらに職員の多くが日常的にハラスメントを受けたり脅されたりしていて、それが原因で辞めた職員も何人かいると述べている。
メディアの取材の申し込みに対し、学校およびその弁護人、ローエンスタインさん、またショー・コミュニケーションズのいずれも応答していないという。
インターネット・プロバイダーには個人情報を保護する義務があるものの、カナダ弁護士連合会によると、訴えの中で十分な証拠が提出されて必要と認められれば、裁判所はインターネット・プロバイダーに対し電子メールの送信者特定に十分な情報を提供するよう命令できるという。
2019年2月21日 第8号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市の南、デルタ市で昨年12月、行方不明となっていた海上輸送用コンテナがひとつ発見された。その中には持ち主不明の高級品がいくつも保管されていた。
コンテナはデルタ市内の会社で購入手続きをされたあと、バンクーバー市内に搬送された。その後、購入者がこの取引は詐欺であると気づき、搬送されていなかったコンテナの行方を追い、デルタ市内にあることを突き止めた。1月23日に警察官がコンテナを開け中を確認したが、そこには1950年代を中心に流行したミッドセンチュリー・デザインの、デンマーク製チーク家具や、毛皮で裏打ちされた高級デパートブランドのウールのひざ掛け、溶接器具、また大きな額縁に入った絵画などがあった。
さら2・5メートル弱(8フィート)のトーテムポールもあり、警察官約15人とデルタ市職員5人がこれらを警察本庁に運び込み、盗難品のデータベースとの照合を行った。しかしそこからは何も情報は得られなかったため、警察では一般からの情報提供を求めている。また、これらの荷物は引っ越し用毛布や収縮性ラップなどで、丁寧に梱包されていたという。
2019年2月21日 第8号
ケベック州モントリオール市のマギル大学が、個人からの1回の寄付としてはカナダ史上最高額となる2億カナダドルの寄付を受けたと13日、発表した。
寄付は、ジョン・マッコール=マクベインさんと妻のマーシーさんが創設した、マッコール・マクベイン基金からのもの。マッコール=マクベインさん夫妻は、クラシファイド広告大手のトレーダー・クラシファイド・メディアの創立者。
この寄付をもとに、マッコール・マクベイン奨学金が創立されると、マギル大学のスザンヌ・フォルティエ学長が発表の中で明らかにした。奨学金は最高で75人の大学院生や専門性の高い学科の学生らの学費全額を支援できる。またメンターシップやインターンシップ、またリーダーシップ開発の機会が与えられるという。このような奨学金はカナダ初とのこと。
マーシー・マッコール=マクベインさんは、同市のモントリオール大学で行ったスピーチの中で「好奇心にあふれたオープンマインドを持ち、知識とスキルを持ち合わせビジョンをアクションに移そうとしている学生を支援していきたい」と語っている。
奨学金の申請は2020年に開始される予定。マギル大学によると、選考では主にコミュニティへの貢献度と知的好奇心、起業家精神、また学業成績の優秀さと秀でた人間性について審査されるという。
2019年2月21日 第8号
ヌナブト準州で1月4日にシロクマの親子を射殺した先住民の老人に対し、カナダ環境省は告訴しないことを決めた。
この老人は、ヌナブト準州北部のメルビル半島先端にある、人口1600人ほどの村イグルーリクに住むピーター・アッバさん。当時同村にはシロクマが侵入しており、アッバさんは環境省の野生動物保護官から、威嚇して村から追い出すよう指示を受けていた。
しかしアッバさんは、人がクマに殺されるようなことがあってはならず、脅すのではなく殺すのがイヌイットの伝統だとして、母親グマと仔グマを射殺した。環境省はこの件を調査した結果、人命と資産を守るための狩猟だったと結論づけた。
一方アッバさんは、先週の時点で、その『狩猟した』シロクマの毛皮は、また当局から返還されていないとメディアに訴えている。シロクマが射殺・解体されたたその日に、野生動物保護官が毛皮だけを持ち去っていったという。
またアッバさんは、先住民コミュニティのメンバーの多くはシロクマに関する法律は知っているものの、それが実際にどういうことを意味するかについてまで理解している者は少ないと語っている。その上で、法律を作っている役人には、ぜひとも先住民コミュニティまで出向いて法律について説明を行い、それに対する先住民の意見を聞き入れてほしいと願っている。「役人は現地も訪れず、先住民の真の姿も知らない。しかしこのことに関しては、先住民が意思決定プロセスを先導する立場であるべきだ」と、アッバさんは語っていた。