2019年3月7日 第10号

 オンタリオ州警察は、カナダに輸入された新車から、麻薬のひとつであるメタンフェミン(通称メス-meth)を押収したと発表した。

 同警察によると、アメリカの自動車メーカー、フォードの4つの販売店で、スペアタイヤの内部に隠されたメスが従業員によって発見された。これらのスペアタイヤはサイズが異なり、車にフィットしなかったという。

 メーカーの協力を得て行った捜査の結果、麻薬が隠されていた新車はメキシコで製造され鉄道でカナダに輸入されたあと、ケベック州とニューブランズウィック州にまわされていた。また、この捜査で押収された麻薬の量は、180キロにのぼった。しかし警察ではこれらがいつ、どこで新車の中に隠されたかについては突き止められず、密輸グループは次々と画期的な密輸方法を考え出してくると、コメントしていた。

 

2019年3月7日 第10号

 アルバータ州に住む女性が、太陽の光が空気中を漂う氷の粒に反射して、柱のように見える『太陽柱』を撮影、画像を公開したインターネット上で評判を呼んでいる。

 ダレーン・タンナーさんと夫のツリーさんは長年、夏のストームや冬のオーロラなど自然や天文現象をカメラに収めることを趣味としてきた。そんな彼女にとっては、零下30度の夜中に撮影機材を持ち出すことは生活の一部のようなものだ。メディアの電話取材に対して彼女は、そうして撮れた会心のショットをいつでも眺められることは、何ものにも代えがたいと語っていた。

 太陽柱は、太陽が地平線近くにある時、空気中に漂う氷の粒に反射した黄色やオレンジの太陽の光が地平線から垂直に伸び、まるで光の柱が立ち上がったように見える現象。タンナーさんがこの撮影に成功したのは2月10日未明。この日は仕事を休み、午前4時には撮影スポットに出向き、エンジンをかけたままの車中で太陽柱の出現を待ち構えていた。外気温は零下30度だった。彼女が写し、自身のフェイスブックにアップロードした太陽柱の画像は、世界中の多くの人の注目を集めた。

 タンナーさんの職場は、自宅から約40キロ離れた町ラコムの精肉店だが、通勤時も撮影機材を忘れず、また余裕を見て90分前には自宅を出るようにしている。途中でどんな光景に出合うとも限らないからだ。

 実際のところ、1月29日には千載一遇のチャンスに遭遇した。この日の出勤途中だった午前7時ぐらいの東の空に、三日月のそばに明るく輝く金星と木星が確認できた。さらに太陽柱が出現し月にも暈がかかっていた。車を道端に止め外に出て、カメラを三脚に固定して撮影を始めた彼女。後で画像を確認してみたら、そのうちの一枚には流れ星が写っていた。これだけの要素が一枚の画像に写り込むのは、極めてまれな確率になる。

 タンナーさんは最初、携帯電話のカメラで撮影を始めたが、やがて露出時間を長くできる本格的なカメラに移行した。以来オンラインなどを利用して撮影技術の向上の研究に暇がないという。思い通りの画像が撮れるようになるまで、何千枚もの失敗作を重ねてきたと、タンナーさん。

 午前3時にあえて極寒の野外に出ていくような趣味というのは、実際のところどうなんだろうと思うこともあると語る彼女だが、やはりこれが自分たちにとって最高の趣味だと語るタンナーさん夫妻は、オーロラ撮影のためにアイスランドとイエローナイフに旅行する予定だ。

 多くの人はベッドの中で眠っている時間なので、こうした現象を一度も見ることがないまま一生を終えるだろうが、ぜひとも一度は自分の目で見てもらいたいと語っていた。

 

2019年2月28日 第9号

 オンタリオ州南西端、人口2万7000人余りの町レミントンで、ニセ札が出回っているのが確認された。オンタリオ州警察は12日、住民に注意を促すコメントを発表したが、今回のニセ札は今までの物とは異なり、見分けるのは容易だとしている。

 それもそのはず、発見されたニセ20ドル札の両面には、中国語(普通語)が印刷されているのだ。そこには『練功券(訓練用お札)』、『禁止流通』といった文字が大きく印刷されており、漢字が読める人ならば、詐欺以外の何かの目的で印刷されたのだろうと推測できる。

 カナダ中央銀行のウェブサイトには、ニセ札を見分けるポイントを解説したページがある。20ドル札の場合は、大きい『20』の印刷が若干盛り上がり手触りが異なっていること、メープルリーフの縁取りが透明なこと、また透明部分に透かしとして描かれているエリザベス女王の絵の色が、光の加減で変わることなどが挙げられている。最近はニセ札の出回る量が増加傾向にあるため、注意が必要だ。

 

2019年2月28日 第9号

 注目の連邦補欠選挙は25日の投開票の結果、自由党、保守党、新民主党(NDP)が1席ずつ分け合う結果となった。補欠選挙が実施されたのは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー・サウス選挙区、オンタリオ州ヨーク-シムコ選挙区、ケベック州ウートレモント選挙区。

 最も注目されたのはBC州バーナビー市の南側の選挙区バーナビー・サウス。NDPジャグミード・シング党首の政治家生命がかかった選挙として、バンクーバーのみならず全国の注目が集まった。結果は予想を覆す圧勝。39パーセントで次点の自由党リチャード・リー氏26パーセントを13パーセントも引き離して当選した。これでようやく党首として国会で発言する機会を得る。

 シング党首は2017年に党首に選ばれたが、以降、支持率の低下、献金の減少、さらにはベテラン議員の相次ぐ引退表明など、シング党首にとって厳しい現状が続いている。この選挙で当選できなければ、党首交代も囁かれていただけに、政治生命がかかった選挙となった。

 党首に就任した当初は総選挙まで議席を持たずに国民の声を聴きたいと主張していたが、NDPと自身への逆風に、党の存在感を示すには党首として国会で答弁することが必要と、補欠選挙への立候補を決めた。

 しかし、オンタリオ州トロント出身のシング党首はBC州とは関係が薄く、補欠選挙のための落下傘候補として非難する声もあった。それでもバーナビーでの立候補を表明したあとに地元トロントの選挙区での補欠選挙実施も発表され、確実に当選するためにトロントから立候補する選択肢もあったが、あえて当初の予定通りバーナビーから出馬した。

 勝利宣言では、「バーナビー・サウスの国会議員として自分を信頼してくれたことを感謝する」と満面の笑みで語った。子供の頃に、自分がカナダの首相候補になる日が来るとは思いもしなかったが、現実となった今、子供たちに全てのことは可能だと言いたいと語った。「国会に出席した時には、支援してくれた人たちが誇りに思うような働きをしたい」と集まった支援者に向かって手を振った。

 もう一つのNDPの注目選挙区はケベック州ウートレモント。前NDP党首トム・マルケア氏の選挙区で、ケベック州での議席拡大を目指す自由党が奪回に向け力を入れていた。結果は自由党レイチェル・ベンダヤン氏が40パーセントを獲得して圧勝。NDPジュリア・サンチェス氏も26パーセントと予想以上の健闘をしたが次点に終わった。

 保守党が強いオンタリオ州ヨーク-シムコでは、予想通り保守党スコット・デイビッドソン氏が54パーセントで圧勝した。自由党から出馬した日系人女性ショーン・タナカ氏は29パーセントで今回も当選を果たせなかった。

 

2019年2月28日 第9号

 連邦補欠選挙で注目されたのは、新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首の当落やケベック州選挙区での自由党だけではない。昨年保守党から離党したマキシム・ベニエ議員が新しく立ち上げたカナダ国民党がどこまで票を伸ばすかにも注目が集まった。

 カナダ国民党の立ち位置は、保守党よりも右寄りで、保守党の政策では物足りない右派をターゲットとしている。今回の補欠選挙で保守党とどこまで票を取り合うかが注目されたが、西と東では大きく分かれた。

 カナダ国民党が躍進したのは意外にもブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー・サウス選挙区。当選したNDPシング党首(39パーセント)、2位自由党(26パーセント)、3位保守党(23パーセント)に続いて4位だったものの10・6パーセントの票を獲得した。ここでは明らかに保守党と票が割れた形となった。

 一方で、票が割れるのではないかと予想されていたオンタリオ州ヨーク-シムコ選挙区では、圧勝した保守党54パーセントに対して、カナダ国民党は1・9パーセントと、ほとんど票を集められなかった。ケベック州ウートレモントでは2・1パーセントで6党の中で最低だった。

 今回の結果が10月の総選挙にどう影響してくるかは未定だが、BC州で躍進したことは驚きを持って受け取られた。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。