2019年3月7日 第10号

 アルバータ州に住む女性が、太陽の光が空気中を漂う氷の粒に反射して、柱のように見える『太陽柱』を撮影、画像を公開したインターネット上で評判を呼んでいる。

 ダレーン・タンナーさんと夫のツリーさんは長年、夏のストームや冬のオーロラなど自然や天文現象をカメラに収めることを趣味としてきた。そんな彼女にとっては、零下30度の夜中に撮影機材を持ち出すことは生活の一部のようなものだ。メディアの電話取材に対して彼女は、そうして撮れた会心のショットをいつでも眺められることは、何ものにも代えがたいと語っていた。

 太陽柱は、太陽が地平線近くにある時、空気中に漂う氷の粒に反射した黄色やオレンジの太陽の光が地平線から垂直に伸び、まるで光の柱が立ち上がったように見える現象。タンナーさんがこの撮影に成功したのは2月10日未明。この日は仕事を休み、午前4時には撮影スポットに出向き、エンジンをかけたままの車中で太陽柱の出現を待ち構えていた。外気温は零下30度だった。彼女が写し、自身のフェイスブックにアップロードした太陽柱の画像は、世界中の多くの人の注目を集めた。

 タンナーさんの職場は、自宅から約40キロ離れた町ラコムの精肉店だが、通勤時も撮影機材を忘れず、また余裕を見て90分前には自宅を出るようにしている。途中でどんな光景に出合うとも限らないからだ。

 実際のところ、1月29日には千載一遇のチャンスに遭遇した。この日の出勤途中だった午前7時ぐらいの東の空に、三日月のそばに明るく輝く金星と木星が確認できた。さらに太陽柱が出現し月にも暈がかかっていた。車を道端に止め外に出て、カメラを三脚に固定して撮影を始めた彼女。後で画像を確認してみたら、そのうちの一枚には流れ星が写っていた。これだけの要素が一枚の画像に写り込むのは、極めてまれな確率になる。

 タンナーさんは最初、携帯電話のカメラで撮影を始めたが、やがて露出時間を長くできる本格的なカメラに移行した。以来オンラインなどを利用して撮影技術の向上の研究に暇がないという。思い通りの画像が撮れるようになるまで、何千枚もの失敗作を重ねてきたと、タンナーさん。

 午前3時にあえて極寒の野外に出ていくような趣味というのは、実際のところどうなんだろうと思うこともあると語る彼女だが、やはりこれが自分たちにとって最高の趣味だと語るタンナーさん夫妻は、オーロラ撮影のためにアイスランドとイエローナイフに旅行する予定だ。

 多くの人はベッドの中で眠っている時間なので、こうした現象を一度も見ることがないまま一生を終えるだろうが、ぜひとも一度は自分の目で見てもらいたいと語っていた。

 

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