2019年2月28日 第9号

 注目の連邦補欠選挙は25日の投開票の結果、自由党、保守党、新民主党(NDP)が1席ずつ分け合う結果となった。補欠選挙が実施されたのは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー・サウス選挙区、オンタリオ州ヨーク-シムコ選挙区、ケベック州ウートレモント選挙区。

 最も注目されたのはBC州バーナビー市の南側の選挙区バーナビー・サウス。NDPジャグミード・シング党首の政治家生命がかかった選挙として、バンクーバーのみならず全国の注目が集まった。結果は予想を覆す圧勝。39パーセントで次点の自由党リチャード・リー氏26パーセントを13パーセントも引き離して当選した。これでようやく党首として国会で発言する機会を得る。

 シング党首は2017年に党首に選ばれたが、以降、支持率の低下、献金の減少、さらにはベテラン議員の相次ぐ引退表明など、シング党首にとって厳しい現状が続いている。この選挙で当選できなければ、党首交代も囁かれていただけに、政治生命がかかった選挙となった。

 党首に就任した当初は総選挙まで議席を持たずに国民の声を聴きたいと主張していたが、NDPと自身への逆風に、党の存在感を示すには党首として国会で答弁することが必要と、補欠選挙への立候補を決めた。

 しかし、オンタリオ州トロント出身のシング党首はBC州とは関係が薄く、補欠選挙のための落下傘候補として非難する声もあった。それでもバーナビーでの立候補を表明したあとに地元トロントの選挙区での補欠選挙実施も発表され、確実に当選するためにトロントから立候補する選択肢もあったが、あえて当初の予定通りバーナビーから出馬した。

 勝利宣言では、「バーナビー・サウスの国会議員として自分を信頼してくれたことを感謝する」と満面の笑みで語った。子供の頃に、自分がカナダの首相候補になる日が来るとは思いもしなかったが、現実となった今、子供たちに全てのことは可能だと言いたいと語った。「国会に出席した時には、支援してくれた人たちが誇りに思うような働きをしたい」と集まった支援者に向かって手を振った。

 もう一つのNDPの注目選挙区はケベック州ウートレモント。前NDP党首トム・マルケア氏の選挙区で、ケベック州での議席拡大を目指す自由党が奪回に向け力を入れていた。結果は自由党レイチェル・ベンダヤン氏が40パーセントを獲得して圧勝。NDPジュリア・サンチェス氏も26パーセントと予想以上の健闘をしたが次点に終わった。

 保守党が強いオンタリオ州ヨーク-シムコでは、予想通り保守党スコット・デイビッドソン氏が54パーセントで圧勝した。自由党から出馬した日系人女性ショーン・タナカ氏は29パーセントで今回も当選を果たせなかった。

 

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