2019年3月14日 第11号
カナダ統計局は8日、2月の労働市場で55900人が就業したと発表した。前月の66800人に続いて2カ月連続で大幅増となるのは1981年以来。アメリカの同月就業者数が約2万人で、カナダが就業者数でアメリカを越えるのは2012年以来。
ただ、失業率は前月と変わらず5・8パーセントだった。求人者が増加したことが要因と分析している。
就業者数では、フルタイムが67400人増でパートタイムの11600人減を大きく上回った。民間企業が31800人増、公的機関は8900人増。
職種別では、専門職、科学技術分野、行政機関、卸売・小売業などのサービス産業が46200人増と最も多かった。
地域別ではオンタリオ州が36900人で最大だったが、失業率は5・7パーセントと前月と変わらなかった。失業率が改善したのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州で前月の4・7パーセントから4・5パーセントに、ケベック州が5・4パーセントから5・3パーセントに下がった。アルバータ州は6・8パーセントから7・3パーセントに悪化した。最も失業率が低かったのはBC州だった。
都市別では、BC州ビクトリア市が3・6パーセントから3・2パーセントに、オンタリオ州オタワが5・3パーセントから5・0パーセントに、ケベック州モントリオールが6・1パーセントから5・9パーセントに改善したが、オンタリオ州トロントは6・1パーセントから6・3パーセントに、BC州バンクーバーは4・8パーセントから4・9パーセントにやや悪化した。アルバータ州エドモントンは6・4パーセントから7・0パーセントに、カルガリーも7・3パーセントから7・6パーセントに悪化傾向となった。
2019年3月14日 第11号
国際女性デーだった8日、国内各地で関連イベントが開催された。ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーでは、先住民族女性が所有する初の航空会社イスクウ・エアの立ち上げが発表された。イスクウとはクリー語で女性を意味する。
最高経営責任者(CEO)テアラ・フレーザー氏は、「女性を、先住民族の女性が航空会社を所有することを、女性を支援する全ての人々、コミュニティ、企業を祝福するのにこの日が相応しい」とバンクーバー国際空港での会見で語った。
自身もパイロットであるフレーザー氏は若い女性や、先住民族の若者が航空業界へ入ってくることを支援したいと語っている。
オンタリオ州トロントでは9日に女性の権利を主張するデモ行進が行われた。国際女性デーは国連が1975年の国際婦人年に3月8日に制定し世界に広まった。当時主張していた問題は、女性の生殖権、チルドケア支援、賃金格差の是正だった。その主張は現在でも変わっていない。さらに単に女性というだけではなく、白人以外の女性、先住民族女性、トランスジェンダー女性、移民女性の権利など、多様化している。
ケベック州モントリオールでは、裁判所前で女性による抗議デモが実施された。この日は、女性への性的暴行などの罪に問われている「笑いの達人」の元制作者ギルバート・ロゾン氏が出廷する日だった。ただ女性が抱える問題は、性的、身体的暴力だけではなく、社会的、経済的な暴力もいまだに存在すると抗議デモ主催者は語っている。
2019年3月14日 第11号
ノバスコシア州の湖で、風で吹き寄せられ盛り上がった氷塊が壁のようになり、話題を呼んでいる。
場所は同州ケープ・ブレトン島中央にあるブラドール湖に面した町アイリッシュ・ベールの近く。湖岸に沿ってかなりの距離で氷の塊が積み重なり壁のようになり、また太陽の光を反射させ輝く様子が、特に来月から最終章の放映が始まる人気TVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の重要な場所である『壁』を彷彿させることから、人気が高まっている。
この景色を一目見ようと同州各地から人が訪れているが、自撮りのために滑りやすさを顧みないで壁に上って撮影する人があとを絶たない。しかしこれは非常に危険であると、地元のボランティアを勤める消防所長のジョン・プロンクさんは取材に語っている。また地元のカナダ連邦警察(RCMP)も、春が近づき気温が上昇することもあり、積み重なっている氷塊が不安定になる可能性を指摘している。
しかし壁を目の当たりにした人たちは、「見にきた甲斐があった」と感動し、とりあえずしっかり凍っているなら大丈夫だろうという感覚で、壁に上り続けている。
また町の議員は、観光客が道端に延々と路上駐車することによる危険性も懸念している。湖岸を走る道路は同島の主要道で、大型トラックも頻繁に往き来している。実際に何件か、事故の一歩手前という事態も起こったという。
2019年3月14日 第11号
ブリティッシュ・コロンビア州で機密書類の廃棄処分サービスを行っている会社が、実際には回収した書類をすぐに裁断せず、セキュリティのない保管場所に放置していたことが内部告発から明るみに出た。
この会社は、同州ローワーメインランドのホワイトロック市のシュレッドワイズ社。同社はシュレッダー機械を積んだトラックでオフィスなどを巡回、個人情報などが含まれた機密書類を回収し裁断するサービスを行っている。同社のサービスを利用しているのは一般の民間企業のほか法律事務所、薬局や診療機関、銀行のほか政府機関など多岐にわたっている。
巡回中に回収した書類は、その場でトラックのシュレッダーで裁断されることになっており、顧客もそうなるものと信じ、回収を同社に任せている。しかし、会社からの報復を恐れ匿名を条件にメディアの取材に応じた社員によると、巡回中に機械が故障した場合は書類を会社まで持ち帰り、一般のリサイクル用プラスチック製ゴミ箱(96ガロンサイズ)と同じようなゴミ箱に保管、週末にまとめて裁断することにしているという。書類が月曜日に回収された場合、ほぼ1週間放置されることになる。
このゴミ箱が置かれているのは、一般道である同市オールド・イェール・ロードから30メートルほどはいったところにある、同社のトラック置き場。入り口のゲートはほとんど施錠されることはなく、誰でもその片隅に雨ざらしで保管されているゴミ箱にアクセスすることが可能。ゴミ箱は鍵などかかけられる構造にはなっていない上、中にはふたが壊れているものもあった。メディアが先週調査したところ、44個あったゴミ箱のうち17個から、機密書類が見つかった。
男性が今までに発見した書類としてはパスポートやSINカードをコピーしたもののほか、生体組織検査や血液検査の結果、現金化されていない小切手、クレジットカードの利用明細や保険の明細書など。生体組織検査結果の中には、乳がんが発見されたことを示していたものもあったという。さらにエイズ検査の結果報告も見たことがあると、この男性は取材に語っている。
男性による内部告発を受け、アメリカに本部を置く業界団体、情報破壊協会(National Association for Information Destruction ー NAID)が、シュレッドワイズ社の調査に乗り出した。なお同協会には法的拘束力はない。シュレッドワイズ社はNAIDには認証されていないが、同社のCEOティノ・フラッキンガーさんはNAIDの理事会メンバーを勤めている。
一方NAIDのCEOロバート・ジョンソンさんは、内部告発の数々の証拠から、事態を非常に憂慮していると語っている。
なおフラッキンガーさんは、メディアからの取材申し込みを拒否、そのかわりに電子メールでコメントを送っている。それによると、この件は同社の業務手順から逸脱しており、ひとりの従業員が勝手に行った単独の事故だと主張している。その上で事態を深刻に受け止め、再発防止に全力で取り組むと述べている。
これに対し内部告発を行った男性は、これは会社内で日常的に要求されていることだと反論。巡回中に機械が故障した場合、ドライバーはそれ以上の巡回・回収を中止して会社に戻ることもできるはずなのに、オーナーは顧客からの回収を完了することを要求、その場では裁断できなくてもあとで裁断すればいいから、とにかく巡回・回収を続けトラックで持ち帰るよう言い渡しているという。「あとで裁断しても問題ないと言うが、個人情報を盗むのには1分もかからない」と男性は嘆いていた。
2019年3月7日 第10号
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)弁護団が3月1日、カナダ政府、カナダ国境サービス庁(CBSA)、連邦警察(RCMP)を相手取り、損害賠償を求めてブリティッシュ・コロンビア(BC)州最高裁判所に提訴した。連邦警察官1人、カナダサービス庁職員3人、カナダ司法長官を名指ししている。
カナダ当局は昨年12月1日にバンクーバー国際空港でアメリカの要請により孟氏を逮捕。その時に、逮捕前3時間にわたって拘束され、取り調べを受けたのはカナダの憲法上の権利に違反していると主張している。
訴えによると、この空港での拘束が影響し、猛氏は精神的な苦痛、不安、自由の侵害を被ったとしている。
孟氏は12月に逮捕された後、保釈金を支払って保釈され、現在はバンクーバーの自宅で過ごしている。
カナダ政府は3月1日にアメリカへの身柄引き渡しに関する審理を正式に決定した。アメリカ司法省はファーウェイと孟氏をアメリカの対イラン経済制裁に違反した詐欺罪などで起訴し、孟氏の身柄引き渡しを要請している。