2019年2月21日 第8号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにあるユダヤ教の幼稚園・小学校が、不適切な内容の電子メールを匿名で学校関係者に送信した人物を告訴、インターネットプロバイダーに、この人物の情報を提供するよう求めている。
この学校は、同市ウェスト26番アベニュー998番地にあるタルマッド・トラ幼稚園・小学校。BC州最高裁判所に提出された告訴状によると、「ジョン・ドー」と仮名がつけられた人物は1月下旬、学校内部の様々な事情に懸念を示すメールを、学校関係者に送付した。その後、このメールは多くの人に転送されていった。タルマッド・トラ幼稚園・小学校は、電子メールの内容は事実無根で学校を中傷する『侮蔑的な』ものだと非難している。
またこの匿名メールは、理事長のキャシー・ローエンスタインさんの名を挙げ、彼女が採用した友人の年間給与が36万ドルであると暴露している。実際のところ、同校は非営利で幼稚園から7年生までの約600人を抱える学校として登録されているが、カナダ歳入庁に提出された2016年度の税申告書では、ある職員の給与は25万〜29万9千ドルの範囲であったほか、12万〜15万9千ドルの範囲の給与を受け取っていた職員がほかに3人いた。
ちなみに、BC州で最大の学校区であるサレー学校区で同年度に教育長に支払われた給与は24万6705ドルだった。またバンクーバー学校区のセカンダリースクールの校長の給与は、だいたい12万5千ドル程度だ。
また同校は近年、数百万ドルをかけてリノベーションを行っていた。
電子メールでは、学校内ではハラスメントや資金の誤運用、個人のプライバシーの蹂躙などが蔓延、『有害な環境』になっていると指摘されていた。
学校側は、この電子メールを送信した本人を突き止めようと努力したものの、成功しなかった。電子メールの送信者は、ベンジャミン・アブラムサムという偽名を使用していた。
また学校のコンピューターシステムがハッキングされた形跡はなかった。同校職員らはパスワードの管理を厳重にするよう義務付けられているため、「ジョン・ドー」は職員か、元職員である可能性が高いと、学校ではみている。
「ジョン・ドー」はさらに電子メールの中で、学校内では職員からの人権侵害に関する訴えが、もみ消されたこともあったとしている。この職員はその後、腎臓の疾患を理由に辞職している。さらに職員の多くが日常的にハラスメントを受けたり脅されたりしていて、それが原因で辞めた職員も何人かいると述べている。
メディアの取材の申し込みに対し、学校およびその弁護人、ローエンスタインさん、またショー・コミュニケーションズのいずれも応答していないという。
インターネット・プロバイダーには個人情報を保護する義務があるものの、カナダ弁護士連合会によると、訴えの中で十分な証拠が提出されて必要と認められれば、裁判所はインターネット・プロバイダーに対し電子メールの送信者特定に十分な情報を提供するよう命令できるという。