2019年2月7日 第6号

 カナダのドーナツチェーン店ティム・ホートンズの共同創業者ロン・ジョイス氏が死去したことが2月1日、分かった。ジョイスファミリー基金が発表した。88歳だった。

 現在ではカナダを代表するフードチェーン店ティム・ホートンズは、1964年当時、北米プロアイスホッケーリーグNHLのトロント・メープルリーフスで選手として活躍していたティム・ホートン氏が、オンタリオ州ハミルトン市に第1号店を開業して始まった。そのホートン氏が事業を拡大する時にパートナーとして選んだのがジョイス氏だったという。

 1974年にホートン氏が自動車事故で突然死して以降は、ジョイス氏が事業を継ぎ全国チェーン店へと拡大。1995年にファーストフードチェーン、ウェンディーズ・インターナショナルに4億ドルで売却した。

 ジョイス氏はその後、慈善事業などに力を入れ、大学や病院などに巨額の寄付をして貢献。1992年にカナダ勲章を受章した。

 ティム・ホートンズは2014年にアメリカのファーストフードチェーン、バーガーキングが買収。現在は国内外に約4500店舗を展開している。

 

2019年2月7日 第6号

 オンタリオ州トロントの北西、人口約6万6千人の都市カレドンで3日早朝、家が突然爆発した。その威力はすさまじく、この家は文字通り跡形もなく吹き飛んだ。

 爆発が起きたのは午前6時15分ごろで、この家の住人のヨゼフ・ウェストコットさん(54歳)が遺体で発見された。ほかにけが人はなかったが、現場付近でガス漏れが検知されたため、近隣住民約35世帯に避難命令が出された。この地域へのガスの供給が一時ストップされたほか、爆風によって住宅に構造上の問題が生じなかったか確認されるまでの数日間は、避難生活を余儀なくされた。

 爆発のあった家から5軒ほど離れたところに住んでいる夫婦は取材に対し、大きな爆発音で目が覚めたと語っている。自宅に飛行機か何かが突っ込んできたと思うぐらいの衝撃で、すぐさまセーターなどを羽織り外に飛び出したという。家は何ともなかったものの、あたりには何か異常事態が起こったと思わせる臭いが漂っていたと、この夫婦は語っている。

 爆発の勢いで飛ばされた住宅の破片により、少なくとも近隣6軒で窓ガラスが割れたり車庫のシャッターが破損したりした。

 爆発原因の調査はオンタリオ州消防部長の担当となる。3日午後には調査団が現地入りし、ドローンも駆使して実況見分を始めた。しかし調査結果が出るまでには当分かかるだろうと、オンタリオ州警察は取材にコメントしていた。

 

2019年2月7日 第6号

 異常寒波など冬はまだまだ続くように思えるが、すでに2月。春はすぐそこまで来ているかも知れない。そんな春の到来時期を、北米の伝統的な手法で占うグラウンドホッグ・デーが2日、カナダ各地で行われた。これは巣穴から出てきたグラウンドホッグ(ジリスの一種)の行動で、春の到来時期を占うものだが、カナダ各地の有名リス気象予報士の予報は、実際のところまちまちだった。

 そのうちの一匹、オンタリオ州ワイアートンのウィリーがこの日巣から出てきた時、天気は曇りで自分の影を見られなかった。言い伝えでは、グラウンドホッグが自分の影を見られなかった場合、「春は近い」となる。

 ワイアートンが所属するブルース半島南部地区のジャニス・ジャクソン地区長はこの日、グラウンドホッグ・デーの式典でこの「予報」を発表した。また同会場には、ダグ・フォードオンタリオ州知事も駆け付けた。

 ちなみに北米で最も予報歴が長い米ペンシルバニア州パンクサトーニーのグラウンドホッグ、フィルの予報もウィリーと同じだった。

 一方、ノバスコシア州シュベナカディのグラウンドホッグ、サムは、夜明け直後に巣穴から出てきたあと、自分の影を見てまたねぐらに戻っていった。グラウンドホッグが影を見た場合は、今までと同じような寒い冬があと6週間続くという予報になる。

 サムが住んでいる自然動物公園ではこの30年ほど、グラウンドホッグ・デーのイベントを開催している。この公園で自然解説員のチーフを務めるタビサ・コックスさんによると、約200人がサムの「予報」を見ようと、早朝の森林に集まったという。

 気候学の専門家で『ナイアガラの滝が干上がった日(The Day Niagara Falls Ran Dry)』の著者デビッド・フィリスさんによると、過去40年間のカナダ13都市での天気データからは、2月2日が晴れたか曇ったかは半々だったという。さらに、この期間のグラウンドホッグによる予報の正答率は、37パーセントだったことを指摘している。

 しかしコックスさんは、クリスマスと正月が終わり、イースターまではまだ間があるこの時期、楽しみが少ない冬に楽しめるイベントとして、この年中行事を盛り立てていくべきだと取材に話していた。

 

2019年2月7日 第6号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーのサレー市で1月30日、公共交通機関のスカイトレインの駅のプラットホームで警察官が撃たれ、重傷を負った。

 事件が起こったのはエキスポ・ラインのスコットロード駅で、午後4時ごろのことだった。メトロバンクーバー交通警察のジョッシュ・ハームス巡査(27歳)が男性に近づいたところ、男は突然銃を取り出しハームス巡査に向けて発砲した。同巡査は重傷を負い病院に搬送されたが、命に別状はないとのことで、同日遅くには退院した。今後専門医と、けがの治療方法について相談がなされる予定。

 同市ダグ・マッカラム市長は、ハームス巡査が退院できたことを聞き安心した、一日も早い完治を祈っているとのコメントを発表している。また今回のような事件で、警察官が常に危険と隣り合わせでコミュニティの安全のために勤務していることを、あらためて認識させられたと付け加えている。

 駅構内の防犯カメラに写った映像から、犯人は2010年に殺人事件を起こしていたデオン・グラスゴー容疑者(35歳)であると特定された。警察の大掛かりな捜査の末、グラスゴー容疑者は3日早朝、バーナビー市内のアパートで逮捕された。4世帯が入居していたアパートの他の住人は事前に避難させられ、またグラスゴー容疑者逮捕の際には3人が一時身柄を拘束されたものの、その後釈放されている。

 グラスゴー容疑者は2010年、今回の事件現場から2〜300メートルしか離れていないファーストフード店のトイレで、約5オンスの麻薬(ハッシシ)売買の価格をめぐって争いとなった挙句に相手を射殺し、逮捕されている。この件で2011年に9年の禁固刑と生涯武器の所持を禁止された同容疑者だったが、この時は犯した罪や被害者の残された家族に対する態度が真摯であると見なされ、更正の可能性があると判断されていた。

 しかし同容疑者はそれまでも、2005年には麻薬取締法違反で告訴されていたほか、2006年には武器の不法所持、2008年には売買目的の麻薬所持の罪で、さらに2009年には5千ドルを超える盗みでも告訴されていた。

 

2019年1月31日 第5号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで拘束された中国通信大手ファーウェイ(華為技術)の副会長兼最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏をめぐってカナダと中国の関係が緊張する中で、ジャスティン・トルドー首相はジョン・マッカラム駐中国大使を解任したことを26日、明らかにした。

 マッカラム前駐中国大使は23日にオンタリオ州マークハムで中国語系メディアへの記者会見を開き、孟氏のアメリカへの身柄引き渡しに対する持論を展開した。その中で、この件に関してトランプ大統領が政治的な関与を示唆していること、カナダがイランに対してアメリカと同様の制裁措置は導入していないことなどを挙げ、孟氏側にアメリカに引き渡されない強い論拠があるとの見方を示した。

 この発言がカナダのメディアで放映されると野党から強い反発があった。保守党アンドリュー・シェア党首は「マッカラム駐中国大使を解任するべき」と主張していた。

 しかし、トルドー首相はこの時点では、容易に大使を解任するのは中国に拘束されているカナダ人の解放に向け最善策ではないと語り「カナダでは政治から独立した司法が法に則って決定する。それは孟氏でも、アメリカ人でも、カナダ国民でも同じだ」と語り、マッカラム前駐中国大使の発言については直接の言及を避けた。

 24日には自身の発言は失言だったとマッカラム前駐中国大使が謝罪。しかし25日、訪問中のバンクーバーで同前大使はトロントスター紙の質問に答え、アメリカが引き渡し要求を取り下げるとカナダにとって好都合と語ったと報じられた。そして同日に、トルドー首相がマッカラム氏に駐中国大使を辞任するよう要請し、同氏が応じたと26日の声明で発表した。

 マッカラム前駐中国大使は自由党連邦議員を18年務めた後、トルドー首相に任命され2017年3月に前駐中国大使に就任した。議員時代は移民相などの閣僚を務め、ベテラン議員として若いトルドー政権を支えていた。

 クリスティア・フリーランド外相は次期駐中国大使について人選を慎重に行うと語った。

 29日には孟副会長がBC州最高裁判所に出廷した。この日、保釈条件の変更が認められ、副会長のアメリカへの身柄引き渡しに関する審理を3月6日と設定した。前日にはアメリカ司法省がファーウェイと孟副会長などを連邦大陪審が起訴したと発表している。

 27日には一部メディアがマカオでカナダ人男性が詐欺の疑いで拘束されたと伝えた。

 

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