2019年1月31日 第5号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで拘束された中国通信大手ファーウェイ(華為技術)の副会長兼最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏をめぐってカナダと中国の関係が緊張する中で、ジャスティン・トルドー首相はジョン・マッカラム駐中国大使を解任したことを26日、明らかにした。
マッカラム前駐中国大使は23日にオンタリオ州マークハムで中国語系メディアへの記者会見を開き、孟氏のアメリカへの身柄引き渡しに対する持論を展開した。その中で、この件に関してトランプ大統領が政治的な関与を示唆していること、カナダがイランに対してアメリカと同様の制裁措置は導入していないことなどを挙げ、孟氏側にアメリカに引き渡されない強い論拠があるとの見方を示した。
この発言がカナダのメディアで放映されると野党から強い反発があった。保守党アンドリュー・シェア党首は「マッカラム駐中国大使を解任するべき」と主張していた。
しかし、トルドー首相はこの時点では、容易に大使を解任するのは中国に拘束されているカナダ人の解放に向け最善策ではないと語り「カナダでは政治から独立した司法が法に則って決定する。それは孟氏でも、アメリカ人でも、カナダ国民でも同じだ」と語り、マッカラム前駐中国大使の発言については直接の言及を避けた。
24日には自身の発言は失言だったとマッカラム前駐中国大使が謝罪。しかし25日、訪問中のバンクーバーで同前大使はトロントスター紙の質問に答え、アメリカが引き渡し要求を取り下げるとカナダにとって好都合と語ったと報じられた。そして同日に、トルドー首相がマッカラム氏に駐中国大使を辞任するよう要請し、同氏が応じたと26日の声明で発表した。
マッカラム前駐中国大使は自由党連邦議員を18年務めた後、トルドー首相に任命され2017年3月に前駐中国大使に就任した。議員時代は移民相などの閣僚を務め、ベテラン議員として若いトルドー政権を支えていた。
クリスティア・フリーランド外相は次期駐中国大使について人選を慎重に行うと語った。
29日には孟副会長がBC州最高裁判所に出廷した。この日、保釈条件の変更が認められ、副会長のアメリカへの身柄引き渡しに関する審理を3月6日と設定した。前日にはアメリカ司法省がファーウェイと孟副会長などを連邦大陪審が起訴したと発表している。
27日には一部メディアがマカオでカナダ人男性が詐欺の疑いで拘束されたと伝えた。