2016年10月6日 第41号

 ニューファンドランド・ラブラドール州に住むリサ・スィーニーさんは、購入したハイブリッド・カーの不調に悩まされ続けている。

 スィーニーさんは新車のフォード・フュージョン・ハイブリッドを2014年5月に購入。車の取扱説明書には、この車はガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせで走行、燃費を向上させると謳ってある。これこそが、自分たちが環境のためにできることだと信じて選んだ車だった。

 しかし翌年、車にトラブルが発生し始めた。ダッシュボードに、エンジンチェックのライトが点灯するようになり、ディーラーに預けて原因チェックを行うこと4回。スィーニーさんが車を使えなかった日数は合計3カ月近くなる。

 くり返された不調の原因は、エンジンオイルが水分を含んで乳化し、ドロドロになってオイル給油キャップ内側などに付着したためだったということが突き止められた。これは、気温の低い環境で短距離の運転しかしなかったため、エンジンが所定の温度まで温まることがなく、エンジンオイル中に含まれた水分を蒸発させることができなかったためだという。

 スィーニーさんの車をチェックしたフォードによると、彼女の車は電気モーター併用で走行することが多く、エンジンが作動するチャンスがより少なかったと、メディアの取材に答えている。エンジンオイルに水分が混じるのは普通のことだが、エンジンが所定の温度まで上がるように、ある程度運転し続けていれば、自然と蒸発して問題は起こらないと説明している。

 そこでフォードはスィーニーさんに対し、定期的に高速道路を走行するスピードで15分から30分走行することと、より頻繁にエンジンオイルの交換を行うよう要求。

 しかしスィーニーさんは普段高速道路を利用していない。職場までの片道12キロメートルを往復するのがほとんどだと言う。最高でも時速70キロメートルぐらいで、20分ほどで到着する距離だ。また取扱説明書には、定期的に高速走行を行うようにとはどこにも書いていないと、スィーニーさん。自分の運転習慣を変えろと言ってくるメーカーに対し、それはハイブリッド・カーを運転する本来の目的と相容れないと憤慨している。

 さらにスィーニーさんに車を販売したディーラーは7月、彼女に対しこれ以上のサポートを打ち切ると通告してきた。そのためフォードのカスタマーサービスに連絡を取ったスィーニーさんだったが、会社側からは何の音沙汰もなかった。

 彼女にようやく連絡が来たのは、メディアがこの問題についての質問を行った後だった。フォードは取材に対し、スィーニーさんとの対話には応じるとだけ答えている。

 車の購入時に5年間の保証もつけたスィーニーさんだが、このトラブルがその対象になるのかどうかはわからないという。この夏は何のトラブルもなく運転してきた彼女だが、冬が近づくにつれ暗い気分になっている。彼女としてはフォードにこのハイブリッド・カーを買い戻してもらい、その金で新しい車を購入したいと語っているが、会社との合意に至るかどうかはわからない。

 いずれにしても、今後フォードの車やハイブリッド・カーは買わないとスィーニーさんは話している。

 

2016年9月29日 第40号

 現在、バンクーバーで行方が分からなくなっている日本人女性の古川夏好さん(30)について、連邦警察(RCMP)バーナビーが新たな情報を公開し、市民に協力を呼び掛けている。

 公開されたのは古川さんが9月8日、男性と一緒にダウンタウンを歩いている姿のビデオ映像の静止画像で、警察はこの男性を古川さんの情報を持っているかもしれない人物として、男性についての情報提供を呼び掛けている。

 この映像が撮影されたのは9月8日午後1時27分、ダウンタウンのシーモア通りとヘイスティングス通りで、親しそうに会話をしながら歩いているとみられている。男性は、30歳前後の白人で、痩せ型中背、髪の毛は明るめで、暗い色のジャケットにブルージーンズ、ランニングシューズ、野球帽を身に着け、取っ手の部分が赤色のジムに通うようなバッグを持って、背中には暗い色のダッフル型リュックサックを背負っていると説明している。

 古川さんはバンクーバーに語学留学中で、RCMPバーナビーによると、古川さんが最後に目撃されたのは9月7日バーナビーで彼女のルームメイトと一緒だったとされている。最後に連絡が確認されたのは9月8日朝の友人宛てのメッセージで、それ以降、連絡が取れないという。警察に行方不明として報告されたのは9月12日と発表されている。

 古川さんについての情報、もしくは、今回ビデオ映像で公開された男性についての情報は、RCMPバーナビー604-294-7922 ext. 5164、もしくは、クライムストッパー1-800-222-TIPSまで。

 

2016年9月29日 第40号

 カナダ2大航空会社、エアカナダ、ウエストジェットに対して、一つ目の預け入れ荷物課金制度について、原告側は2社が共謀して新サービス導入を計画し実行、価格もほぼ均一と指摘した。

 ウエストジェットは2014年9月15日、エコノミークラスの乗客に対して、預け入れ荷物1つにつき25ドルを課金すると発表。その3日後には、待っていたかのように、今度はエアカナダが同様のサービスを導入すると発表した。

 こうした両社の動きに対して、独占的な市場統制が働いているのではないかと原告側は訴えている。

 今回の訴えはサスカチワン州クイーンズ・ベンチ裁判所に提出、今回の集団訴訟の原告として対象になるのは、2014年10月29日以降、カナダ国内、もしくはアメリカへの移動のために2社のサービスを受け25ドルの預け入れ手荷物料金を支払った乗客で、今後、同裁判所で認められれば、審議が行われることになる。

 カナダ国内の航空市場はウエストジェット、エアカナダの2社で約80パーセントを占め、すでに2社の独占状態となっている。

 

2016年9月29日 第40号

 イランで拘束されていたイラン系カナダ人女性ホマ・フードファー教授(65)が釈放され、イランを出国したことが26日分かった。ジャスティン・トルドー首相が同日、フードファー教授が釈放され、帰国の途についているとの声明を発表した。また、今回の釈放に尽力したオマーン、スイス、イタリア各政府関係者にも感謝の意を表した。

 オマーンのメディアが同国の空港に迎えに来ていたフードファー教授の姪と対面した場面の写真を公開し、ようやくフードファー教授の無事イラン出国がビデオで確認された。

 モントリオールのコンコルディア大学で人類学を教えていたフードファー教授は、親戚を訪ねるために今年2月11日にイランへ出発、イラン滞在時には研究のためイランの選挙における女性参加の歴史をテーマにリサーチを行っていた。しかし、カナダへ帰国直前の3月にイラン当局に拘束され、一度は保釈が認められたものの6月6日に再び拘束された。イランのメディアによると、拘束理由はフェミニズムと国家安全保障関連に手を出したためとしている。

 カナダ政府としては、フードファー教授がイランとカナダの二重国籍だったこと、イランのカナダ大使館が2012年保守党政権下で閉鎖したため外交関係がなかったことなどから、釈放に向けての交渉が難航していた。

 しかし、今回9月にニューヨークで開催された国連総会でのイラン政府関係者との話し合いやオマーン政府などの協力を得て釈放が実現した。

 今回の釈放についてイラン政府からの見返りがあるのではとの憶測については、ステファン・ディオン外相はそうしたことはないと否定している。

 

2016年9月29日 第40号

 連邦政府キャサリーン・マッキーナ環境相、ジム・カー天然資源相、ドミニク・レブラン漁業相は27日、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドで記者会見を行い、同州北西部で建設計画が進められているパシフィック・ノースウエストLNG計画を承認すると発表した。ただし190項目の条件が付されている。

 同LNG計画は、マレーシア国営企業ペトロナス社が率いる液化天然ガス(LNG)開発事業計画で、総事業費360億ドル、その中にはプリンスルーパート近くのレル島に建設予定の液化ターミナル施設の建設、同州北東部の天然ガス採掘場とターミナルをつなぐパイプライン建設、その他には採掘、生産などが含まれている。2021年完成予定で、完成すれば年間1900万トンの液化天然ガスが、ここからアジア市場へと輸出される。

 同州政府は2012年から液化天然ガス事業を同州経済の根幹とすることを公約として掲げていたが、州政府の法整備に時間がかかったこと、2014年からの原油価格急落に伴う世界的な天然ガス価格急落の影響などがあり、事業計画はなかなか前には進んでいなかった。

 今回、連邦政府が承認を発表した背景には、ペトロナス社が今年末までに事業計画の最終決定を発表することがある。

 ただ、カナダ環境査定委員会(CEAA)は同事業が完成すれば、年間500万トン以上の温室効果ガスを排出することになり、環境問題に大きな影響を与えると結論付けている。また、事業計画に反対している環境活動家や先住民族は、レル島での工場建設はサーモンの生態圏にも影響を与えると主張している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。