2016年9月29日 第40号

 イランで拘束されていたイラン系カナダ人女性ホマ・フードファー教授(65)が釈放され、イランを出国したことが26日分かった。ジャスティン・トルドー首相が同日、フードファー教授が釈放され、帰国の途についているとの声明を発表した。また、今回の釈放に尽力したオマーン、スイス、イタリア各政府関係者にも感謝の意を表した。

 オマーンのメディアが同国の空港に迎えに来ていたフードファー教授の姪と対面した場面の写真を公開し、ようやくフードファー教授の無事イラン出国がビデオで確認された。

 モントリオールのコンコルディア大学で人類学を教えていたフードファー教授は、親戚を訪ねるために今年2月11日にイランへ出発、イラン滞在時には研究のためイランの選挙における女性参加の歴史をテーマにリサーチを行っていた。しかし、カナダへ帰国直前の3月にイラン当局に拘束され、一度は保釈が認められたものの6月6日に再び拘束された。イランのメディアによると、拘束理由はフェミニズムと国家安全保障関連に手を出したためとしている。

 カナダ政府としては、フードファー教授がイランとカナダの二重国籍だったこと、イランのカナダ大使館が2012年保守党政権下で閉鎖したため外交関係がなかったことなどから、釈放に向けての交渉が難航していた。

 しかし、今回9月にニューヨークで開催された国連総会でのイラン政府関係者との話し合いやオマーン政府などの協力を得て釈放が実現した。

 今回の釈放についてイラン政府からの見返りがあるのではとの憶測については、ステファン・ディオン外相はそうしたことはないと否定している。

 

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