2019年12月19日 第51号
ハリウッド映画などのビジュアルエフェクトを手掛けるムービング・ピクチャー・カンパニーがバンクーバー事務所を閉鎖することが13日分かった。
最近ではディズニー映画ライオンキングの実写版も手掛け、2013年にはほぼ全編をバンクーバー事務所が手掛けたライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日が、アカデミー賞のビジュアル・エフェクト(視覚効果)賞を受賞している。
しかし同社はバンクーバーでの事業以外の状況が変化したことを理由にあげ、「その他の都市でもっといい機会に恵まれたため、ここでスタジオを維持するということが厳しくなった」と説明した。
カナダ国内にはオンタリオ州トロントにあり、ケベック州モントリオールにも今年初めにスタジオがオープンした。その2つのカナダの都市をはじめ、アメリカのロサンゼルス、オーストラリアのアデレード、フランスのパリのスタジオは拡張するという。
同社ではバンクーバースタジオの社員には他のスタジオへの移動を斡旋していると説明している。
ブリティッシュ・コロンビア州ではデジタルメディア産業への投資を促進する政策を進めている。今回の発表にBC州政府は、同社の決定は残念だが、BC州のデジタルメディア産業はこれからも発展していくと思っていると語っている。
2019年12月19日 第51号
スーパーマーケットを全国展開するロブロウ・カンパニーのプライベートブランド、プレジデントチョイス(PC)の商品に混入物がある可能性があるとして11日リコールされた。
対象となった商品は、PCクランベリーヤギのミルクチーズで、UPCコード060383010133、2020年3月19日、2020年3月24日の日付があるものとしている。
対象商品は全国的に販売されているが、ブリティッシュ・コロンビア州を含む西部カナダでは、以下のスーパーマーケットで販売されている。エキストラフード、リアルカナディアン・スーパーストア、ホールセール・クラブ、ノーフリルズ、ロブロウと提携しているストア。
ロブロウは混入物が具体的には何かは発表していないが、カナダ食品衛生庁によるとプラスチックの部品と表現されている。
商品はすでに店舗から撤去されているが、商品を購入している場合は全額返金に応じるとロブロウは発表している。ロブロウは今回のリコールについて、「ご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます」と謝罪している。
2019年12月19日 第51号
クレジットカード会社ビザは、北米でのガソリンスタンドでクレジットカード払いを狙った詐欺が見つかったと注意を呼びかけた。ガソリン代を支払う時にクレジットカードを利用するとカードのデータが盗み取られる事件が今年8月に1件、9月にも1件発生しているという。
そのやり口はかなり巧妙で、利用者がカードを機械に通すと、カード読み取り機に設置された装置でカードに付随している個人情報が読み取られる仕組みになっている。
ビザはガソリンスタンド各社に、よりセキュリティの高いチップ式のカード読み取り機を導入するようアドバイスしていると発表している。チップ式カード読み取り機の場合、こうした事件にあう可能性は低くなると説明している。
今回のガソリンスタンドでの詐欺事件について、カナダの場合はチップ式クレジットカードの普及率が高いため、カナダ国内で被害が発生する可能性があるかははっきりとは分かっていないという。
ただ注意するに越したことはないようだ。
2019年12月12日 第50号
総選挙から6週間、ようやく国会が再開した。5日にはジュリー・ペイエッテ総督が自由党政権の用意した議会開会の式辞を読み上げた。
式辞にはこれからの自由党政権の方針が示されているだけに内容に注目が集まった。総選挙で過半数を取れなかったジャスティン・トルドー自由党が初めて少数派政権として臨む議会は協調がテーマ。野党や各州政府と調整しながらの政権運営となる。
この日読み上げられた重要な政策は5項目。気候変動対策、中間層への支援、先住民族との和解、国民の安全と健康、国際社会での成功。
経済と雇用を前面に押し出していた前政権時代とは違い、さまざまな方面に配慮した内容となった。
その中でも最も詳しい内容となったのは気候変動問題への対策について。2050年までに排出量実質ゼロを目指すことを盛り込み、環境問題へ取り組むことを強調した。
中間層への支援としては、まず初めに中間層を対象とした減税対策をはじめ、住宅市場の安定や携帯料金引き下げなどが盛り込まれた。
総選挙の公約として注目されたファーマケアは、ナショナルファーマケアの導入を目指すと語り、デンタルケアについては検討課題とした。さらに国民の安全を守るという点では銃規制についても言及。ミリタリースタイル自動ライフルの禁止や銃を政府が買い戻すプログラムの実施などが盛り込まれた。
選挙公約が多く盛り込まれた内容だったが、パイプライン建設については一言も言及しなかった。環境対策について多くの時間が割かれたのに対し、天然資源産業やパイプライン建設についてはほとんど言及しなかった。背景には少数派政権ということがある。
トルドー政権は法案可決のためには必ず野党の協力が必要となる。野党第一党保守党以外は環境問題を重要視する党が多く、多くの場合、自由党の政策に近い保守党以外の協力が必要となるため、あえて言及しなかったとみられる。
特にケベック州ではパイプライン建設反対派が多く、野党第二党ケベック連合党の協力を取り付けるためにはパイプライン建設は強調できなかったとみられている。その他の野党新民主党、グリーン党もパイプライン建設には反対の立場をとっている。
この内容に対し保守党アンドリュー・シェア党首は「がっかりする内容だった」と語り、保守党として修正案を作成すると語った。
ケベック連合党イヴ-フランソワ・ブランシェット党首は内容全てに賛成ではないが、党として支持に回るだろうと語った。これで自由党はとりあえず過半数を得ることになる。
新民主党ジャグミード・シング党首は今回の内容では不十分なため不支持に回ると表明したが、話し合いの余地は残すとした。言葉だけではなくて喫緊の課題への対応に行動で示すよう要求した。
グリーン党エリザベス・メイ党首は、環境問題対策が不十分と批判、不支持に回るだろうと語った。
内容についての信任投票は来年に持ち越される可能性が高くなった。CTV政治番組に出演したパブロ・ロドリゲス与党下院院内総務は、投票は新年を迎えるまでには行われないだろうと語った。自由党はすでにケベック連合党の支持を取り付けているため、信任されることは間違いないとみられている。
2019年12月12日 第50号
カナダ統計局が6日に発表した11月の労働統計で、同月の失業者数が1カ月としてはリーマンショック以来の大幅増となったことが分かった。
同月の失業者数は7万1200人。これにより失業率は前月の5・5パーセントから、5・9パーセントに悪化した。これは昨年8月に記録した6パーセント以来の水準となった。
エコノミストは雇用増を予測していたが、大幅な失業者数増加の原因は製造業での雇用削減が影響しているとみられる。また10月の総選挙が終わったため行政関係でも失業者数が増加した。
業種別では製造業が2万7500人減、軽工業で2万6600人減、天然資源産業で6500人減となった。またサービス業では4万4400人減と多く、行政職は2万4900人減となった。
フルタイムは3万8400人減、パートタイムは3万2800人減。
地域別では、ケベック州で4万5100人減、アルバータ州、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で1万8200人減となった。そのため失業率もケベック州は前月5・0パーセントから5・5パーセントに、アルバータ州も0・5パーセント悪化し7・2パーセント、最も失業率低いBC州でも4・7パーセントから5・0パーセントに悪化した。
主要都市では、最も低いBC州ビクトリアが0・3パーセント悪化し3・5パーセントに、同州バンクーバーでは0・1パーセント改善して4・9パーセントと全国平均よりも低い失業率を維持した。オンタリオ州トロントは前月と変わらず5・7パーセント、ケベック州モントリオールは0・3パーセント悪化し5・8パーセント、アルバータ州エドモントンは0・6パーセント悪化で7・7パーセントとなったが同州カルガリーは0・3パーセント改善して6・9パーセントと7パーセントを下回った。
今回の労働統計からカナダ銀行は今月初めに金利を1・75パーセントのまま据え置くと発表したが、来年早々にも引き下げるのではないかとの見方が強まっている。
この日カナダ銀行のスティーブン・ポロズ総裁は声明を発表し、来年6月2日に切れる任期を全うして総裁を退任することを明らかにした。