2019年12月12日 第50号

 オンタリオ州グエルフ大学とダルハウジー大学の研究者が4日に「カナダのフード価格報告2020」を発表した。報告書によるとカナダでの平均的な世帯の来年の食費は、今年よりも487ドルも増えると予測している。主な原因は気候変動で、特に農作物の生産に大きな影響があると報告している。

 報告書では、気候変動の影響により干ばつ、森林火災、洪水、海水面の上昇、真水不足などが起こり、フードシステムに大きな影響を及ぼすとしている。

 特にカナダの農家への将来的な影響は大きく、作物収量の不安定化、暑さによる家畜への影響、牧草地の変化、害虫・病気の大発生などへの対策を強いられるだろうとしている。

 来年価格が上昇すると予想されるのは8項目全てで、上昇幅が大きい項目では4パーセントから6パーセントの上昇になると予測している。

 中でも豚肉価格が最も高くなると予測。原因に中国で流行したアフリカ豚コレラをあげている。他にもレストランでの外食、シーフード、野菜も2パーセントから4パーセント値上がりすると予測している。

 また暖かい気候の影響で食中毒を引き起こす病原性大腸菌の大繁殖の可能性も指摘。2019年にもすでに病原性大腸菌の繁殖による食品のリコールが相次いだ。

 こうした現象が食料品の価格を結果的に引き上げることになると報告している。

 

2019年12月12日 第50号

 ブリティッシュ・コロンビア州ポートコキットラム市の公園で住民らによく見かけられていた熊の親子を安楽死させていたことが6日分かった。

 BCコンサベーション・オフィサーズ・サービスによると、母熊2頭、子熊4頭を街中から移動させ、安楽死させたという。

 この2組の熊の親子は、この辺りの住民らによると公園などでよく見かけていたという。特に住民に危害を加えることもなく、うろついているだけだったため安楽死させたのは驚いたと語っている住民の声をメディアが紹介した。

 BCコンサベーション・オフィサーズ・サービスによると、安楽死という選択の前には約数カ月のあいだ熊の親子に注視していたという。「誰だってこういう対応はやりたくないが、仕方ない選択肢だった」と説明している。

 そして市街地に下りてきた熊の親子に対して自分たちがこうした対応を取らなければならない要因は住民の不注意によるところが大きいとも語った。熊の親子が市街地に下りてくる最大の理由はエサとなる食べ物があるからだという。ゴミ箱の中の食べ物が目当てなのだと説明する。住民がもう少し責任を持ってゴミ箱のふたにカギをかけるなどの対応を徹底していれば、こうした事態にはならなかったと語っている。

 

2019年12月12日 第50号

 ケベック州モントリオールで12月6日、30年前に犠牲になった女性14人の追悼式が行われた。

 式典には、ジュリー・パイエッテ総督、ジャスティン・トルドー首相、ケベック州フランソワ・レガルト州首相、モントリオール市バレリー・プランテ市長も参列した。

 事件は1989年12月6日、モントリオール大学の提携校であるエンジニアの専門学校で起きた。男が突然教室に入ってきて「フェミニズムと戦っている」と主張、教室にいる男子学生に退室するように告げ、男子学生が教室からいなくなると、残っていた女子学生9人に向け突然銃を乱射、6人が死亡した。その後男は廊下やカフェテリア、他の教室を回り女子学生を標的にして20分間うろついた後、持っていた銃で自殺。わずか20分足らずで20代前半の若い14人の女子学生が犠牲になった。男はこの大学に入学できなかったのだという。

 式典では犠牲になった14人全員の名前が読み上げられた。元宇宙飛行士でもあるパイエッテ総督は、事件が起きた時、自分もエンジニアリングを勉強中だったとあいさつで語り、悲しいことに反フェミニズム発言は今でも社会で当たり前のように繰り返されていると述べた。トルドー首相は「性別による偏見からくる暴力に対して協力して立ち向かわなければならない」と述べ、より厳しい銃規制が必要と語った。

 カナダ国内ではこの事件をきっかけにより厳しい銃規制を求める声が上がった。しかし現在でも状況は30年前からほとんど変わっていないという。事件の犠牲者の一人は、現在のカナダの銃規制は「銃規制と呼ぶに程遠い状況」とメディアに語っている。「悲劇から30年、カナダではあの事件で使用され14人の女性を殺した銃すら禁止されていない」と訴えた。

 この日は、全国で東はニューファンドランド・ラブラドール州セントジョーンズのニューファンドランドメモリアル大学からブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学まで、14大学で追悼式典が行われた。

 

2019年12月12日 第50号

 ブリティッシュ・コロンビア州新民主党政権は、州民にとって今月がMSP最後の支払いになることを知らせた。

 5日にジョン・ホーガン州首相が声明を発表し、改めてMSP支払いの終了を強調。「健康保険費用は人々が負担するものではない。しかしBC州ではそれが長い間放置されてきた。不公平なMSPプレミアムを次の段階への進めるのは簡単ではなかった」と発表した。

 州政府によると、BC州の歴史の中で中間層への減税としてはこれが史上最大となるという。NDPは政権の成果を強調した。

 これによりBC州での健康保険が無料化されることになる。州政府は現在MSPの月々の支払いを金融機関から自動引き落としとしている場合は、設定を停止するよう呼びかけている。

 また無料化されてもMSPに加入していなければ保険は適用されないため、BCサービスカードの所有は必須としている。

 

2019年12月12日 第50号

 海外移住者にとって住みやすい町のランキングを発表しているインターネーションズが2019年版を3日に発表した。

 世界82都市を対象に5項目で調査。カナダでは4都市が対象となり最も上位にランクされたのはケベック州モントリオールで5位。世界トップ5入りを果たした。カナダのその他の都市は、アルバータ州カルガリーが19位、オンタリオ州トロントが39位、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーは55位だった。

 モントリオールが住みやすいと評価された項目は、金融・住宅事情で8位、都市部での労働生活環境で10位、生活費が11位だった。都市部での生活の質では41位と低かったが総合で5位となった。

 39位だったトロントは金融・住宅事情が70位、生活費が65位。55位のバンクーバーは金融・住宅事情、生活費がともに82都市中80位と最低ランクに位置したことが響いた。

 調査を実施したインターネーションズは、世界中に350万人の会員を持つ世界最大の海外生活者コミュニティで、今回の調査では約2万人が参加したと発表している。

 ちなみに世界トップ5は、1位台北(台湾)、2位クアラルンプール(マレーシア)、3位ホーチミン(ベトナム)、4位シンガポール、5位モントリオール(カナダ)となり、モントリオール以外の上位はアジアの都市が占めた。

 ワースト5は、82位クウェート(クウェート)、81位ローマ(イタリア)、80位ミラノ(イタリア)、79位ラゴス(ナイジェリア)、78位パリ(フランス)となっている。

 この2019年のランキングを参考に2020年に海外で働きたいなら、どの都市がいいのか選択するということのようだ。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。