2019年12月5日 第49号

 カナダの10州3準州の州首相13人が一堂に会する会議が12月2日にオンタリオ州ミササガで開催された。会議のあと記者会見に臨んだ州首相らは州からの連邦政府への要求を語った。

 発表された内容で強調されていたのは、13州・準州が協力して連邦政府への要求を実現すること。10月に実施された総選挙でカナダ西部州による独立運動などが注目を浴びたが、ここでは一致団結を強調した。

 州政府からの連邦政府への主な要求は4項目。ヘルスケア(健康保険制度)とインフラ整備への補助金、分配金の公平性、経済競争力の強化、カナダ北部への支援。

 特に健康保険制度への支援については5・2パーセントの引き上げを要求。州政府が独自に実施している制度の充実を最優先したい意向を強調した。自由党は総選挙の公約として全国的なファーマケア制度の導入を掲げた。薬が保険適用外のため薬代を節約する高齢者を含む低所得層などで病気が完治しにくいなどの理由が背景にある。しかし州首相らは、現在の各州の現状として、病院で患者があふれかえる状態で、待ち時間もどんどん長くなっている中で、全国的なファーマケアの前にまずはヘルスケアを充実させることが重要と訴えた。

 さらに一致団結を強調したのは分配金の公平性。これはアルバータ州が声高に訴えていた課題で、今回他の州首相らの協力を得たことでアルバータ州としては満足な結果となったとジェイソン・ケニー州首相は語った。

 連邦政府からの州への分配金をめぐっては、天然資源産業が盛んなアルバータ州がカナダ経済と連邦政府の税収を大きく担っているが、原油価格が急落して以降、石油産業の低迷でアルバータ州経済は打撃を受け、失業率が全国平均より高いにもかかわらず、分配制度はアルバータ州に不利に働いているのは不公平と訴えていた。これがアルバータ州で起きた独立運動のきっかけの一つにもなっている。

 今回の会議でこの点において他の州首相が制度の変更に同意したのは、連邦政府に対する一致団結の象徴的な姿勢となった。

 また州の間で意見が違う事柄には一切触れなかったことも、今回の会議の目的を象徴していた。アルバータ州とブリティッシュ・コロンビア州で意見が対立しているトランスマウンテン・パイプライン建設計画や、炭素税賛成派と反対派の対立、ケベック州で導入された宗教シンボル着用禁止法などは、今回の会議では議題に上らなかったと説明。協力できる点を確認することに焦点を合わせたと強調した。

 州首相らは来年1月にジャスティン・トルドー首相と会談する予定になっている。

 

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