2018年11月15日 第46号

 ケベック州モントリオールに本社を置く航空機製造会社ボンバルディア社が8日、5000人の解雇と2部門の売却を発表した。

 同社最高経営責任者アラン・ベルメア氏は、社にとって必要な措置で根幹事業の継続を進めると語った。

 ボンバルディアは、中小型航空機の製造や鉄道車両、宇宙開発事業を手掛ける世界展開するカナダ大企業の一つ。

 しかし2016年には開発を続けていたCシリーズの不振からケベック州政府が10億ドルを融資、さらに連邦政府も2億7200万ドルを無利子で貸し付ける約束をした。2政府のボンバルディアに対する融資は当時疑問視されたが、雇用を守るためと政府は説明した。

 ところが昨年にはCシリーズ事業をヨーロッパの航空機メーカー・エアバス社に提供、さらに今回は5000人解雇を発表し、政府の融資判断が疑問視されている。

 5000人のうち、2500人はケベック州で、約500人はオンタリオ州での解雇とされている。残りは海外事業所での解雇となるとしている。

 

2018年11月15日 第46号

 連邦保守党のトニー・クレメント議員がセクハラで離党した。保守党政権時代には閣僚も務めたベテラン議員のソーシャルメディアによる性的不適切行為に保守党は振り回された。

 6日にクレメント議員は自身で、これまでの3週間に自身の性的に露骨な写真やビデオをソーシャルメディアを通して女性に送信していたことを明かし、この女性に恐喝されていたとも明らかにした。クレメント議員自身は女性とは面識はないが、性的な写真などをお互い同意の上で送信していたと思っていたという。しかし実際には女性は恐喝者で金銭を要求され、そのことをオタワ警察にも相談していたと説明した。

 さらに、この女性が外国の女優だと思っていたということも語っている。

 この件を受けて保守党アンドリュー・シェア党首は1度だけの事件ということで離党を迫ることはないと語っていたが、その後、クレメント議員によるセクハラが他にも党内で発覚したことから、同議員に離党を要求したと語った。

 しかし今回の事件は、ただのセクハラ事件では止まらなかった。クレメント議員は、連邦政府が立ち上げた国会議員と情報機関による国家機密情報安全委員会の委員に選ばれている。ここで話し合われた事項は一切、外部へと漏らすことができないことになっている。

 今回のクレメント議員の軽率な行動は機密事項を引き出すための罠だったのではとの推測もある。さらに重要な委員会の委員がこうした軽率な行動を取ることで、外部に対してカナダの信用も失うのではないかとの危惧を表す声も関係者から聞こえていると各報道機関が伝えている。

 今回の恐喝事件について、現在は連邦警察が担当して捜査を行っている。

 クレメント議員は自身の軽率な行動を謝罪。しかし、来年に控える連邦選挙では無所属で出馬したい意向を示している。

 

2018年11月15日 第46号

 バンクーバー・ホワイトキャップスFCは6日、新監督就任を発表した。新しく監督に就任したのは、カナダ人のマーク・ドスサントス監督。ケベック州出身で、英語以外に、フランス語、スペイン語、ポルトガル語も話す。

 今季はプレーオフ予選で敗れたロサンゼルス・フットボールクラブでアシスタントコーチを担当していた。その他、北米2部リーグでの監督経験は豊富だが、MLSでの監督は初めて。

 7日に記者会見したドスサントス監督は、ホワイトキャップスの監督に就任できてうれしいと語った。MLSでは3チームしかないカナダのチームの一つで、ずっと追いかけていたチームと、相思相愛ぶりを披露した。

 ホワイトキャップスは今季プレーオフを逃した。前任のカール・ロビンソン監督を残り5試合で解任。次の監督候補への環境づくりのためだったと、この日チームが明らかにした。

 ドスサントス新監督にはさっそく大きな仕事が待っている。まずはチームの再生。シーズン終了後の記者会見で今季キャプテンを務めたDFワストン(#4)選手が契約を残しながら、来季はホワイトキャップスに残りたくないと発言するなど、チーム内に問題があることが明らかになっている。

 まずは選手たちとのコミュニケーションを取りながら、来季に向けたチーム作りをしていきたいと語った。

 

2018年11月15日 第46号

 アルバータ州カルガリー市が招致を目指す2026年冬季オリンピック・パラリンピック大会で、同市民による住民投票が13日に実施された。同日開票の結果、賛成43・6パーセント、反対56・4パーセントで、反対が過半数を上回った。これでカルガリー市が招致を断念することは、ほぼ確実となった。今回の結果は非公式結果として発表され、公式には16日に発表される。

 カルガリー市は招致に向けて準備を進めていたが、先月末になって、連邦政府、アルバータ州政府、カルガリー市政府による開催費用の負担の分配をめぐって合意に至っていないことが判明。カルガリー五輪招致委員会が対応してカルガリー市議会を納得させ住民投票まではこぎつけたが、市民を納得させるだけの材料とはならなかったようだ。

 住民投票はあくまで招致継続を決定するための参考で、直接に是非を決定する拘束力はない。しかし、住民の同意がなければ金銭的な負担は負わないというアルバータ州政府の条件や住民の意思を尊重するという市議会の姿勢から、来週にも市議会は招致撤退を議会で決めるとみられている。

 

2018年11月15日 第46号

 インスタ映えすることからも人気が高まり、国によっては贋作展すら堂々と開催する、日本を代表する芸術家のひとり、草間彌生さん。

 その作品展が、オンタリオ州トロントのオンタリオ美術館で公開されたのは春のことだった。そして今月、同美術館は草間さんの作品を常設できるよう、その買い取りのための資金調達をインターネット上で行っている。

 購入する作品は、作品展中も人気が高かった「無限の鏡の部屋」。万華鏡を見るかのように、無限に広がるオブジェの空間の中に迷い込んだような錯覚に陥る部屋は、鑑賞時間(部屋の中に滞在できる時間)が制限されたこともあり、期間中常に長蛇の列が絶えないほどの人気だった。同美術館は開館時間を延長して、それに対応していた。

 購入資金の調達は、インターネット上のクラウドファンディングのサイトで、今月末まで行われている。200万ドルの値がついている作品購入のため、130万ドルを同サイトで集める予定。クラウドファンディングを利用するのは一般的ではないが、作品展に訪れた約30パーセントの来館者が20代と30代の若者であったことから、この方法がとられた。

 なお同美術館が作品購入のために、一般からの資金援助を利用したのは今回が初めてではない。1958年には、イタリアのルネサンス期の画家ジャコポ・ティントレットの「弟子の足を洗うキリスト」(当時の価格で8万5千ドル)を購入する際、一般からの寄付を募っていた。

 今回、同美術館が購入しようとしている草間弥生さんの作品は、新しい「無限の鏡の部屋」シリーズで、今までのものよりも大きく、またカナダ未公開のものだという。

(資金調達のクラウドファンディングのサイトは、『AGO』、『infinityago』で検索。)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。