2018年11月29日 第48号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市の中国庭園にカワウソが侵入、池の鯉を食べてしまうなどの被害をもたらした。

 場所は、同市の観光名所でもあるチャイナタウンそばの中山庭園。カワウソが最初に目撃されたのは17日のことだった。池の鯉は観賞用の高額なもので(1匹当たり千〜5千ドル)、先週までに少なくとも10匹の鯉が食べられてしまったと、バンクーバー公園委員会は取材に答えている。20日からは依頼を受けた専門家が、生け捕りにするためのワナを仕掛け始めた。おとりの餌には魚の油を塗った鶏肉などが用いられたが、翌日には餌だけがなくなるという、イタチごっこならぬカワウソごっことなっている。

 その一方で市職員は、残った4匹の鯉をカワウソから守るため生け捕りにして、バンクーバー水族館に避難させることにしたが、作業は難航している。池の水位は高く、また濁っていて中の様子がわからない。池に立ち入れば底に溜まった泥を巻き上げるため、濁りがますますひどくなるからだ。先週までに1匹は捕獲したものの、まだ生存していると思われる、魚齢約50歳超の『マドンナ』は見つかっていない。

 このカワウソがどうやって、交通量の多い通りと壁で囲まれた庭園に侵入できたかは明らかになっていない。ただ近所の住民らの情報によると、このカワウソは同庭園とフォールスクリークの間にある公園に、以前から棲みついていた可能性があると同委員会はメディアに説明している。

 一方、この捕り物劇のニュースが拡散するにつれ、ソーシャルネット上では鯉を応援するチーム(#TeamKoi)と、カワウソを応援するチーム(#TeamOtter)が形成されてきた。さらにチャイナタウンの非営利団体、今日唐人街(Chinatown Today)は、地元アーティストにデザインを依頼した両チームのバッジを作成、一個2ドルで売り出した。デザインはどちらもよくできているため、自分が応援するチームとは反対のバッジを購入していく人も出てくると思われ、売り上げ個数からどちらのチームが優勢かを判断するのは難しいだろうと、同団体は取材に話している。

 

2018年11月29日 第48号

 北米で、ロメインレタスによる食中毒が再び増加している。カナダ公衆衛生局によると、10月中旬から先週にかけてケベック州で17人、オンタリオ州で4人、そしてニューブランズウィック州で1人が、出血性腸管大腸菌Oー157による食中毒を起こしている。そのうちの6人が入院して手当てを受け、一人は重い合併症も引き起こしたものの、死には至らなかったという。患者の年齢層は幅広く、5歳から93歳となっている。

 そのほか米国でも32人が食中毒を起こし、13人が入院したと米疾病対策センターが報告している。検出された大腸菌の型は、昨年発生したロメインレタスの食中毒を引き起こしたものに似ているという。

 カナダ公衆衛生局は、食中毒が報告された3州の州民に対して、ロメインレタスの購入と摂取を控えるよう呼び掛けている。さらにレタスが家庭で保管されていた場合は、廃棄の上、それを保管していた場所(冷蔵庫の野菜室など)を清掃、消毒するよう指導している。

 両国の検査当局が汚染源の特定を急いでいるが、米食品医療品局は23日、米カリフォルニア州の可能性が高いことを明らかにしている。

 

2018年11月29日 第48号

 米マサチューセッツ州に住む男性が、末期がんであると診断された愛犬をブリティッシュ・コロンビア州のブリーダーに再会させるため、北米大陸横断の旅に出た。

 この男性は、人口4万3千人ほどの都市アトルボロの市長ポール・ヘルーさん。彼の愛犬で四国犬のムラは、9月28日に末期がんとの診断を受けた。ムラに残されたわずかな時間を少しでも有意義に過ごすため、ヘルーさんは彼女の生まれ故郷、BC州バンクーバー島への旅行を計画した。バンクーバー島からムラが空輸されてヘルーさんの元へ来たのは、2008年のことだった。

 長い間バケーションを取る機会がなかったヘルーさんは、実は中東への旅行を計画していたが、ムラの病状が明らかになってからは一分一秒でも長くムラと過ごすことに決めたと、取材に話している。

 ムラとの北米大陸横断の旅を、ヘルーさんは何枚もの写真に記録してきた。合計でアメリカ24州とカナダ2州を通過した彼ら。その中にはナイアガラの滝や、山頂に4人の大統領の胸像が彫られたラシュモア山、ゴールデンゲートブリッジのほかグランドキャニオンやイエローストーン国立公園もあった。

 その中でもハイライトは、ハリウッドのウォーク・オブ・フェームに立ち寄り、ムラが思いっきり体を伸ばすことができたことだと、ヘルーさんは取材に答えている。

 12日間のドライブの末、ヘルーさんとムラはバンクーバー島でブリーダーと再会を果たした。立派に成長したムラに会うことができたブリーダーも大変喜び、感慨深い瞬間だったとヘルーさんは語っている。

 

2018年11月22日 第47号

 カナダで初めて黒人女性の肖像画が描かれた紙幣が19日から公式に市場に出回ることを記念して、マニトバ州ウィニペグ市にあるカナダ人権博物館で式典が開催された。

 新10ドル札に描かれているのは、カナダの黒人女性ヴィオラ・デスモンドさん。1946年に仕事でノバスコシア州ハリファックスから移動中に立ち寄った同州ニュー・グラスゴーの映画館で、白人専用席で映画を観たとしたとして逮捕、拘留された。その後、彼女はこの差別行為に対して訴えを起こし、裁判では負けたものの、ノバスコシア州での人種隔離政策を廃止するきっかけとなった。

 ウィニペグの式典に参加したデスモンドさんの妹ワンダ・ロブソンさんは、「彼女が聞いたら、『そろそろ私の行為が知られてもいい頃よね』というでしょう」と言いながら、10ドル札を見たら誇りに思うに違いないと語った。

 カナダ銀行は紙幣の肖像画に初めて女性を採用することを決定し、一般から候補者を公募。今年3月にデスモンドさんの肖像画がデザインされた10ドル札を発表した。黒人が紙幣の肖像画となるのも今回が初めて。

 この日はノバスコシア州ハリファックスでも式典が開催された。ノバスコシア州は2010年に州副総督が公式にデスモンドさんへの行為を謝罪し、彼女の前科を取り消している。

 

2018年11月22日 第47号

 長引くカナダポスト労働組合ストライキの解除に向け連邦政府が介入する可能性が出てきた。パトリシア・ハイデュ雇用・労働力開発・労働大臣が20日、特別調停役を任命し数日中に労使交渉が合意に至らなければ、国会に職場復帰の動議を提出すると発表した。

 カナダ国内では10月22日からカナダポストと労働組合(CUPW)が労使交渉の決裂から組合側がストライキに突入した。

 今回のストライキは市町村単位で実施され全国一斉ではないため、ストライキが実施されていない都市では集配が行われている。ただ配達が大幅に遅れている。

 カナダポスト側はこれまで、新しい条件の提示やクリスマスシーズンを挟んでの一時的なストライキ休止などを提案したが、いずれも組合側が拒否。カナダポストが交渉の席に応じない限り合意はないと主張していた。

 この日の労働大臣の措置でようやくストライキ解除に向けて動き出すことになる。ただカナダポストはすでに配達されていない郵便物の量が非常に多くなっているため、今後配達にどれくらいの遅れが生じるかは見当がつかないと発表。すべての未配達分を処理して通常に戻るのは1月末くらいまでかかるのではないかと予想している。

 国内では今週末にオンラインショッピングが1年で最も活発化するブラックフライデー、サイバーマンデーを迎える。その先にはクリスマス商戦が控えている。カナダポストを利用する場合は、こうした事情を考慮するよう呼びかけている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。