2018年11月22日 第47号

 カナダで初めて黒人女性の肖像画が描かれた紙幣が19日から公式に市場に出回ることを記念して、マニトバ州ウィニペグ市にあるカナダ人権博物館で式典が開催された。

 新10ドル札に描かれているのは、カナダの黒人女性ヴィオラ・デスモンドさん。1946年に仕事でノバスコシア州ハリファックスから移動中に立ち寄った同州ニュー・グラスゴーの映画館で、白人専用席で映画を観たとしたとして逮捕、拘留された。その後、彼女はこの差別行為に対して訴えを起こし、裁判では負けたものの、ノバスコシア州での人種隔離政策を廃止するきっかけとなった。

 ウィニペグの式典に参加したデスモンドさんの妹ワンダ・ロブソンさんは、「彼女が聞いたら、『そろそろ私の行為が知られてもいい頃よね』というでしょう」と言いながら、10ドル札を見たら誇りに思うに違いないと語った。

 カナダ銀行は紙幣の肖像画に初めて女性を採用することを決定し、一般から候補者を公募。今年3月にデスモンドさんの肖像画がデザインされた10ドル札を発表した。黒人が紙幣の肖像画となるのも今回が初めて。

 この日はノバスコシア州ハリファックスでも式典が開催された。ノバスコシア州は2010年に州副総督が公式にデスモンドさんへの行為を謝罪し、彼女の前科を取り消している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。