2018年11月22日 第47号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドのフェリーターミナルのすぐ近くで、若いザトウクジラの死骸が16日朝、漂っているのが発見された。

 場所はバンクーバー島ビクトリア行きのフェリーが発着する、ツワッセンフェリーターミナルのすぐそば。クジラ漂着のニュースが広まると、ターミナルやそのアクセス道路からこのクジラを見ようと多くの人が集まった。

 その後、沿岸警備隊のホバークラフトが出動、現場近くのシーアイランドの施設まで死骸を曳航した。ここで漁業海洋省の係官によって、死因の調査が行われている。また曳航前には、ツワッセン先住民グループの年配者と文化アドバイザーも現場に出向き、太鼓と歌でクジラの葬送の儀式を行った。

 海洋漁業省の水生哺乳類専門家は、死因が漁網や船舶との接触といった人為的活動に伴うものなのか、それとも病気など自然的なものなのかを見極める必要があると、取材に話している。

 この10年でザトウクジラの頭数は飛躍的に増え、研究者たちの間では『ザトウクジラ、殺到(humpback comeback)』とまで言われていたが、今回の若いザトウクジラの死はそうした楽観的な雰囲気に警鐘を鳴らすことになった。

 死因を調査するための解剖には普通1週間ほどかかり、その結果と暫定的報告書の発表にはさらに時間がかかる。

 

2018年11月22日 第47号

 南米大陸北東部にある国、ガイアナ。その首都ジョージタウンの国際空港で、滑走路逸脱事故を起こした旅客機に搭乗していた高齢のカナダ人女性が、事故から1週間以上たってから死亡した。カナダ外務省が18日、発表した。

 女性が搭乗していたのは、ガイアナ・ジョージタウン発オンタリオ州トロント行きのフライ・ジャマイカ航空256便で、9日のことだった。乗客乗員126人が乗った同機はジョージタウン空港から離陸したものの、油圧系統のトラブルから同空港に引き返すことにした。しかし着陸した際に滑走路から逸脱、滑走路脇へそれて最後は空港敷地を仕切るフェンスと砂山に乗り上げる形で停止した。

 事故直後に航空会社が発表した内容によると、大きなけがをした人はなく、高齢の乗客2人が予防措置的に病院に搬送されただけだった。またカナダ外務省も、この便に搭乗していたカナダ人は82人で、事故直後は誰もけがをしていなかったと発表していた。

 外務省はプライバシーの観点から死亡した女性の身元を明らかにしていなかったが、フライ・ジャマイカがコメントを発表、この女性がルーキア・カルーさん(86歳)であることが明らかになった。また同社がメディアに送った電子メールによると、この事故による治療をカルーさんが病院で受けた記録はなく、航空会社がさらに詳細を調査するとともに、カルーさんの家族や親族に対して可能な限りの便宜を図るとしている。また当局の事故調査にも全面的に協力すると伝えている。

 

2018年11月15日 第46号

 カナダポスト労働組合(CUPW)によるストライキは今週4週目に突入した。13日には朝からオンタリオ州トロントで再開、同州スカボローの配達センターでもストライキが始まった。

 一方、9日夜から実施されていたブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のパシフィック配達センターでは13日の朝に終了。通常業務に戻ったとカナダポストウェブサイトで発表した。

 トロントとバンクーバーは、カナダに集まる郵便物や小包の2大集配センターがあり、ここの機能が停止するとカナダ全体の配達サービスが大幅に遅れることになる。

 ストライキは10月22日から始まり、24時間の交代制で全国各地で実施されている。そのため集配が完全に止まることはないが、配達などに大きな遅れが出るとカナダポスト、労働組合ともに国民に発表している。

 先週にはジャスティン・トルドー首相がストライキについて言及したが、具体的な措置については触れなかった。

 現在もカナダポスト、労働組合の話し合いは続いているが、依然として両者主張は隔たりが大きく、歩み寄る姿勢を見せていない。

 労働組合によるストライキはまだまだ続くとみられている。

 

2018年11月15日 第46号

 フランスを訪問していたジャスティン・トルドー首相は12日パリで記者会見し、サウジアラビア人記者ジャマル・カショジ氏がトルコのサウジアラビア大使館で殺害されたとされる件で、トルコ側が入手した当日の録音テープをカナダの情報機関が聞いたことを記者会見で明らかにした。

 カショジ氏の行方についてはトルコ・イスタンブールのサウジ領事館に入館したところまでは映像で確認されているが、それ以降の消息が分かっていない。その後、サウジアラビア政府が領事館で殺害されたことを認めた。

 これについてトルコ政府は、カショジ氏が殺害された時の様子を録音したテープを入手したと発表。週末にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が録音テープの複製を、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに渡したと言及した。

 しかし録音テープの内容を聞いたと公表したのはカナダのみ。トルドー首相は記者会見で、自身は聞いていないことも明らかにした。この件については、トルコ政府と連携しているし、他の同盟国とも話し合いを続けていると語った。

 

2018年11月15日 第46号

 ジャスティン・トルドー首相は7日、国会でユダヤ系コミュニティに謝罪した。「カナダとしてセントルイス号に乗船していたドイツ系ユダヤ人907人と、その家族に謝罪する」と語った。「当時カナダ政府が取った冷淡な行動と、もっと早く謝罪しなかったことを謝罪する」と述べた。  1939年にナチスドイツの迫害から逃れようと同年5月にハンブルグを出港したセントルイス号がカナダに到着した。しかし当時のカナダ政府は受け入れを拒絶。他の国からも拒絶された乗船者はヨーロッパに戻った。しかし歴史家によると、セントルイス号に乗船していたユダヤ人の約250人がナチスの殺人収容所で殺害されたという。  アメリカのピッツバーグでは先月、ユダヤ教礼拝堂を襲った発砲事件で11人が死亡。そのうち一人はカナダ人女性だった。  トルドー首相が説明したところによれば、カナダのヘイトクライムの17パーセントがユダヤ教を狙ったものだという。トルドー首相は、「カナダとしてもっと(ユダヤ教を狙ったヘイトクライムに対する対応に)努力する」と約束した。

 

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