2018年11月22日 第47号

 ニューファンドランド・ラブラドール(NL)州沖で16日に起こった石油採掘場でのオイル流出事故で20日、カナダ-NL海岸石油委員会は、19日、20日と海面でオイルが作る膜による光の反射がみられないことから、流出したオイルはすでに細かく分散されていると判断。今後、流出オイルの回収は不可能との見解を示した。

 同州沖で石油を採掘しているハスキー・エネルギー社がシーローズ海上石油プラットフォームの再開準備を進めている時に起こったという。当時は同地域を激しい嵐が襲っていて、他社が悪天候のため再開を見合わせている時にハスキー社だけが再開を目指していたという。委員会は事故原因などについて今後も調査するとしている。

 流出オイルがすでに回収できない状態になったことで、今後は海洋生物への被害を注視する必要があると委員会は発表している。ハスキー社は、20日までに14羽の海鳥がオイルにまみれていることを確認したと報告している。

 

2018年11月22日 第47号

 ファーストフード店が行っている子供向けメニューの宣伝は、ケベック州が定める消費者保護条例に違反すると訴える集団訴訟を起こすことを、同州最高裁判所が認める判断を下した。

 ケベック州は、カナダの中でもっとも厳しい消費者保護条例を制定していることで知られている。それによると、13未満の子供への直接的な商業的宣伝が禁止されている。

 集団訴訟を準備している弁護士のジョーイ・ザクランさんの法律事務所は、ファーストフード・チェーン大手のマクドナルド・カナダが、その店内のショーケースに子供向けメニューの景品であるおもちゃを展示しているのは、その条例に違反すると主張している。

 その上で、2013年11月15日以降に子供向けメニューや、おもちゃ単体を13歳未満の子供に買って与えた人に対する賠償と、同社のこうした宣伝を禁止させる集団訴訟を起こす許可を、同州最高裁に求めていた。

 今回の最高裁の決定により、ザクランさんの法律事務所は該当する多くの人に、集団訴訟に参加するよう呼びかけている。ただ、誰がいつ子供向けメニューを購入したかを証明する方法については、これから検討するとしている。

 一方マクドナルド・カナダ側は、ケベック州の消費者保護条例については承知しており、今回の集団訴訟が正当性を持っているとは思えないとのコメントを発表している。

 

2018年11月22日 第47号

 アルバータ州カルガリーに住むタリク・アブドゥール=ラザクさんは、イラクからの難民だ。 母国にいる時は、イラク国立管弦楽団のチェロ奏者として活躍していた。しかし彼らが演奏するクラシック音楽は、国内の武装勢力から冒とく的な音楽だと糾弾されていた。

 演奏活動をやめろという武装勢力からの警告に従わなかったアブドゥール=ラザクさんは、2014年のある日、彼らに襲撃される。コンサート終了後に会場をあとにした彼の車を武装勢力が取り囲み、銃撃した。幸運なことに、彼を狙った銃弾はチェロに当たり、アブドゥール=ラザクさんは無事だった。しかし、チェロは大きなダメージを受けてしまった。

 その後アブドゥール=ラザクさんは国外に脱出、トルコの難民キャンプで3年間暮らしたのち、チェロ奏者仲間のスポンサーによってカナダに亡命、カルガリーに落ち着いた。たまたま彼のいきさつを耳にした地元の弦楽器製作者が、彼が肌身離さずカナダまで持ってきたチェロの修理を買って出た。

 修理には6カ月を要したが、チェロは見事に修復された。またアブドゥール=ラザクさんも、カルガリー・シビック・シンフォニーのチェロ奏者に採用された。そして先月行われた同楽団のコンサートが、2014年に銃撃を受けて以来、アブドゥール=ラザクさんの初めての舞台となった。

 

2018年11月22日 第47号

 ブリティッシュ・コロンビア州北部、アルバータ州との州境に近い人口2万人ほどの都市、フォートセントジョンの農場で飼育されていたバイソン13頭が、炭疽症で死亡した。

 BC州農業省の発表によると、これらのバイソンはエサ場の土壌に含まれていた炭疽菌の芽胞を摂取したために、同症にかかったと診断された。このエサ場は、その後使用禁止となったほか、同省は家畜に有効な炭疽菌症ワクチンを、病気が発生した農場の他のバイソンに接種した。また炭疽症は、初期の段階でその芽胞を摂取したことが診断できれば、治療によって完治できると説明していた。

 また公衆衛生の関係者が、この菌に接触したと思われる人たちに直接コンタクトを取り、健康状態をチェックしている。炭疽菌は人から人へ感染することはなく、公衆の健康リスクはない。

 炭疽症はカナダ・プレーリーやアルバータ州北部の家畜に発生することがあるほか、アルバータ州のウッド・バッファロー国立公園内にも定着している。炭疽菌の芽胞は、特定の環境下では地中で何年間も生きつづける。

 炭疽症に感染した家畜から、皮膚の傷口を通して人が感染した場合は痛みや発疹などを引き起こすが、抗生物質で完治できる。なお地中の芽胞ではなく、空気中に放出された芽胞が肺に取り込まれると、重篤な肺感染症を引き起こす。

 

2018年11月22日 第47号

 ノバスコシア州東端ケープブレトンにある石造りの古い教会が、地元有志の努力によって取り壊しの危機を免れることになった。

 この教会は、ケープブレトンの中心都市シドニーの北にあるビクトリア・マインズの聖アルフォンサス教会。がっしりとした石造りの建物だが、礼拝に訪れる人の減少と維持費高騰から、同地域を監督するアンティゴニッシュ司教区がこの教会を閉鎖したのは2007年のことで、司教区ではその後取り壊しを検討していた。

 しかし103年の長い歴史を持ち、ケープブレトンでも有数の風光明媚な教会と評されることから保存すべきだとして、2015年にメラニー・サンプソンさんらが教会を買い取る活動を開始した。彼女の団体とアンティゴニッシュ司教区は、教会を4万ドルで売買することに合意したものの、様々な書類上の手続きなどで、その実現には5年の歳月が費やされた。教会の土地には2カ所の墓地があり、これを分筆しなければならないなど手続きは煩雑を極めたと、同司教区は取材に答えている。

 そして最終的に17日、すべての書類が揃い、晴れてこの教会がサンプソンさんらのグループのものとなった。一時はカナダ国内にある、失われる危険性のある建造物トップ10にもランクインしていた同教会。交渉が長引いた間にも建物の傷みは進んできているが、少なくとも取り壊しの危機からは脱したと、サンプソンさんは安堵の表情を見せる。

 これから内外装の修復や電気設備と暖房設備の更新など、やることは山ほどあるとサンプソンさん。将来的には観光や結婚式用教会として活用していきたいと話していた。

 

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