2018年11月15日 第46号
インスタ映えすることからも人気が高まり、国によっては贋作展すら堂々と開催する、日本を代表する芸術家のひとり、草間彌生さん。
その作品展が、オンタリオ州トロントのオンタリオ美術館で公開されたのは春のことだった。そして今月、同美術館は草間さんの作品を常設できるよう、その買い取りのための資金調達をインターネット上で行っている。
購入する作品は、作品展中も人気が高かった「無限の鏡の部屋」。万華鏡を見るかのように、無限に広がるオブジェの空間の中に迷い込んだような錯覚に陥る部屋は、鑑賞時間(部屋の中に滞在できる時間)が制限されたこともあり、期間中常に長蛇の列が絶えないほどの人気だった。同美術館は開館時間を延長して、それに対応していた。
購入資金の調達は、インターネット上のクラウドファンディングのサイトで、今月末まで行われている。200万ドルの値がついている作品購入のため、130万ドルを同サイトで集める予定。クラウドファンディングを利用するのは一般的ではないが、作品展に訪れた約30パーセントの来館者が20代と30代の若者であったことから、この方法がとられた。
なお同美術館が作品購入のために、一般からの資金援助を利用したのは今回が初めてではない。1958年には、イタリアのルネサンス期の画家ジャコポ・ティントレットの「弟子の足を洗うキリスト」(当時の価格で8万5千ドル)を購入する際、一般からの寄付を募っていた。
今回、同美術館が購入しようとしている草間弥生さんの作品は、新しい「無限の鏡の部屋」シリーズで、今までのものよりも大きく、またカナダ未公開のものだという。
(資金調達のクラウドファンディングのサイトは、『AGO』、『infinityago』で検索。)