2018年11月15日 第46号

 ノバスコシア州ハリファックス国際空港で7日早朝、貨物機が滑走路に着地後、滑走路の終端で止まり切れずその先の草地に突っ込み、空港の敷地を仕切るフェンス直前でようやく停止した。

 この貨物機は、米イリノイ州シカゴ国際空港をその2時間ほど前に離陸した、スカイリース・カーゴ4854便のボーイング747型機。同機がハリファックス空港に着陸した午前5時5分ごろの天気は雨模様で風向と風速が安定しておらず、状況によっては追い風の状態で着陸した可能性があると、調査に当たっていた担当者が説明している。航空機は可能な限り向かい風で着陸するようにしており、追い風で着陸した場合は着地後、滑走路から誘導路に曲がれる速度まで減速するのに、より長い距離が必要となるほか、最悪の場合は減速しきれず滑走路端から飛び出す(オーバーランする)危険性が高まる。

 スカイリース機は滑走路端から草地を約210メートル走り続け、空港と一般道を仕切るフェンスの手前でようやく停止した。前脚、主脚とも全てもぎ取られたほか、4基あるエンジンのうちふたつが主翼から脱落したが、火災は発生しなかった。胴体はその中央部に亀裂が入り、激しくはないが折れ曲がっているのが確認でき、大破したことがわかる。また草地を暴走中、滑走路端に設置してある、着陸態勢に入った航空機を無線誘導するアンテナをなぎ倒した。なお4人の乗組員は軽い傷を負っただけで、最寄りの病院で治療を受けた。

 交通安全委員会の現場検証が終わった翌日の11日には、この機体の解体作業が始まった。大型油圧ショベルが大型飛行機を解体する光景はめったに見られないとあって、飛行機が間近に見られるフェンス脇には多くの人が車を停め、零度近い気温の中、その作業に見入っていた。

 なお、同機は空荷の状態でハリファックス空港に到着したが、このあと同空港で中国向けのロブスターを満載して離陸する予定だった。同機の前方左側、普通は航空会社の名前が書かれる場所には、中国語で縁起を担ぐ言葉『年年有魚』が大きく書かれていたが、この飛行機には海産物も利益も縁がなかったようだ。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。