2018年11月15日 第46号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの路上で、警察に追われていた犯人に追いついた警察犬が足に噛みつく瞬間や、複数の警察官に取り押さえられる一部始終が、居合わせた車のドライブレコーダーに撮られていた。この時の警察官の逮捕の仕方が、暴力的過ぎるのではないかという意見が弁護人から出されている。

 この映像がインターネット上の動画サイトに出回ったのは5日だが、事件が起きたのは、その前の週のことだった。

 事件が起きたのは、同市南部のグランビル通りとサウスウェスト・マリン・ドライブの交差点付近。住宅への不法侵入の疑いで追われていた犯人は、警察官を振りきろうと車道に飛び出したところで車に接触。そのままよろけながらも走りつづけ、中央分離帯の低い植え込みを越えて6車線の道を横切ろうとしたが、ここで追いついた警察犬に足を噛まれた。

 路上に座り込んだ犯人は、噛みついたまま離れない警察犬を殴り続けていたが、そこに少なくとも7人の私服警官が飛びかかり、殴る蹴るを繰り返して犯人を押さえ込み、身柄を確保した。翌日裁判所に出頭した、グレアム・スコット・ビーティ容疑者(40歳)の左ほほには、大きな傷が残っていた。ビーティ容疑者の弁護を担当する刑事事件弁護士ミッチェル・フォーゲルさんによると、この傷は逮捕時に警察官から蹴られ、意識を失った時のものだという。フォーゲルさんは取材に対し、ある時点でビーティ容疑者は動けなくなっていたにもかかわらず、さらに多くの警官が彼に暴力を振るっており、不必要な攻撃だったと述べていた。

 一方警察側は、危険を及ぼす可能性が明らかな容疑者に対しては、一般市民や警察官にそれ以上の危害が及ばないよう、十分に押さえ込むことが必要だと反論している。

 ビーティ容疑者は2件の住宅不法侵入と、5千ドル以上の車の窃盗未遂の罪で告訴された。また同州リッチモンド市のハロルド・ジェーソン・ジル容疑者(42歳)も2件の住宅不法侵入の罪、またバンクーバー市のジョセフ・リオン・キッド容疑者(34歳)は1件の住宅不法侵入の罪で告訴された。

 無事に3人の容疑者を逮捕できた警察だが、この時別の警察犬が、誤って75歳の通行人を襲ってしまった。この老人は病院で傷の手当てを受けたという。

 

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