2019年9月19日 第38号
高騰し続けた不動産がようやく少しずつ落ち着きを見せ始めたブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーだが、一方で販売する業者側はあの手この手で購入を促している。
そして、とうとうアメリカの高級電気自動車テスラをプレゼントというキャンペーンが登場した。このキャンペーンを実施しているのはセンチュリーグループで、サレー市の南地区、サウスサレーで販売しているヴィリディアン団地の残り10戸が対象となっている。
このタウンハウスは全57戸で、各戸とも居住スペースが約2000平方フィートあり、価格は100万ドルからとなっている。これに付いてくるテスラはモデル3で、価格は55000ドル。キャンペーンは今年10月31日まで、もしくは完売するまで。
メトロバンクーバーではBC州政府が海外購入者税を導入して以降、それまでの熱狂していた不動産販売競争がやや落ち着き始め、それまでは何もしなくても買い手が殺到していた売り手市場から比べると、現在は完全な買い手市場。販売業者の中にはこれまでにも初めて住宅を購入する若者にアピールしようと、アボカドトーストを1年間無料提供などのキャンペーンを展開している。
こうした買い手市場傾向はこれからも続くとみられているが、業者は若者が不動産を購入できるような政府の政策に期待すると語っている。
2019年9月19日 第38号
ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーのガソリン価格が18日には1リットルにつき5セントから7セント上昇すると専門家が17日語った。
前日まではサウジアラビアで起こった石油施設爆撃の影響はそれほどないと語っていたが一転、市場の石油価格が17日になっても引き続き上昇していることから予測を変更した。
前日までの発言では、サウジアラビアの主要石油施設が14日に攻撃を受けたため原油供給量が停止する事態に陥っているが、カナダのガソリン価格にはほとんど影響しない可能性が高いとの見方を示していた。
その時の専門家の予測では、最大で1リットル当たり5セントから7セントのガソリン価格の上昇が見込まれるが、時期的な幸運が重なって最終的には1セントから2セントくらいの上昇となるだろうとしていた。
カナダでは、9月15日からガソリンは冬用のウィンターブレンドに切り替わるという。ウィンターブレンドはサマーブレンドよりも1リットル当たり4セント安く販売されるため、たとえガソリン価格が今回のサウジアラビア石油施設攻撃の影響で上昇したとしても、ウィンターブレンドへの切り替えで相殺され、販売されるガソリン価格が大幅に引き上げられることはないだろうと予測していた。
今回の攻撃によりサウジアラビアの石油生産量は一日570万バレル減少する見通しで、世界の原油需要の5パーセントに当たるといわれている。
もし供給再開が遅れたり、アメリカがイランへ攻撃したりした場合は、今後ガソリン価格はさらに上昇する可能性も十分にあると指摘している。
2019年9月12日 第37号
カナダ統計局は6日、8月の就業者数が8万1100人と大幅な増加だったと発表した。失業率は求人者数も増加したことから前月と変わらず5・7パーセントのままだった。
好調だったのはサービス業で、金融、保険、不動産、小売り、教育分野で増加。また専門職、科学技術分野でも増加した。
民間企業で9万4300人増、自営業は1万1200人減となった。フルタイムが2万3800人増だったのに対し、パートタイムが5万7200人増となった。
地域別ではオンタリオ州、ケベック州が好調で、マニトバ州、サスカチワン州、ニューブランズウィック州でも微増した。
全国で最も失業率が低かったのは前月の4・9パーセントから改善したケベック州で4・7パーセント、次いで前月まで4・4パーセントと最も低かったブリティッシュ・コロンビア(BC)州がやや悪化して5・0パーセントだった。オンタリオ州は5・6パーセント。
主要都市ではBC州バンクーバーが相変わらず最も低く4・4パーセント、ケベック州モントリオールが5・6パーセント、オンタリオ州トロント5・9パーセント、アルバータ州カルガリーは7・3パーセントと0・4パーセント悪化した。
今回の労働統計は来月実施される総選挙前最後の報告となる。経済対策を最優先に掲げる自由党政権にとっては朗報で、ビル・モルノー財相は「素晴らしいニュース」とツイート。自由党政権の経済対策が機能していることを強調した。
4日にはカナダ中央銀行が金利の据え置きを発表。昨年10月以来金利の変更はなく、1・75パーセントを維持した。金融報告書では2019年前半は経済が好調だが、後半はやや減速すると予測、アメリカと中国の間で起こっている貿易摩擦が予想以上にカナダに大きな影響を与えていると報告している。
2019年9月12日 第37号
ニューブランズウィック(NB)州で起きた新民主党(NDP)の元州議会選挙候補者14人がグリーン党に党替えした一件で、NDPジャグミード・シング党首は5日ケベック州モントリオールで会見し、14人全員が党替えしたというグリーン党の発表には虚偽があると批判した。
少なくとも14人中5人は、グリーン党が許可なく党替え者名簿に自分たちの名前を入れられたと主張しているという。
このシング党首の記者会見の2時間後には、5人の署名入り声明がNDPから発表され、自分たちはNDP党員として誇りを持っていると語っている。自分たちの名前が許可なく党替え宣言書に含まれたことは遺憾だとしている。
これに対してグリーン党広報はNDP元候補者のグリーン党への党替え宣言については、NB州元NDP幹事ジョナサン・リチャードソン氏から受け取ったと説明。グリーン党への移党を否定した5人のうち2人と話したが、NDPから党替えしないよう圧力をかけられたと話していると語っている。
発端は今月3日、NB州NDPとして州議会議員選挙に立候補した14人の元NDP候補者が、グリーン党に党替えする宣言をし、州選挙でも、連邦選挙でも、グリーン党を支持するよう記者会見で訴えたことだった。
10月の連邦総選挙ではNDPとグリーン党は議席を争うとみられている。現在支持率を上げているグリーン党の勢いは東海岸州で強く、NDPは厳しい状況に立たされている。選挙が間近に迫った現時点でも、NDPはNB州で一人の候補者も擁立できていない。グリーン党は同州選挙区数の約半分ですでに立候補者を擁立している。
NB州でのNDP・グリーンの争いは、全国的な争いの縮図で、グリーン党の議席増加はどれだけNDPから議席を奪うことができるかにかかっているといっても過言ではない。
今回の総選挙ではグリーン党が台風の目になることは間違いなく、NDPはシング党首が就任して以降ベテランNDP議員が続々と引退宣言し、現在でも候補者探し、献金集めなどで苦戦を強いられている。
NB州元NDP幹事リチャードソン氏は今回のことで、元候補がNDPからグリーンに党替えした理由について、NB州ではターバンを巻いた党首の党では票が集まらないのではないかと発言して批判を浴びた。その後、リチャードソン氏の所有車が傷つけられ、「人種差別者」呼ばわりされたと本人が明らかにしている。
NDPシング党首がシーク教のインド系カナダ人のため、選挙に勝てないとの声はこれまでにも党内で上がったことがあり、NDPにとってこれから投票日まで厳しい戦いが迫られることになる。
NDPは7日にオンタリオ州オタワで総選挙用事務所を開設、翌日には選挙活動用のツアーバスを公開し、本格的な選挙戦モードに突入した。
2019年9月12日 第37号
カナダ政府が5日、ようやく在中国カナダ大使を任命した。緊張関係が続くカナダと中国の関係修復を任されることになったのは、ジャスティン・トルドー首相が信頼する経済顧問のドミニック・バートン氏。
「在中国カナダ大使に任命され光栄です。カナダと中国の関係は非常に重要なものであり、カナダという素晴らしい国を代表し、現在の厳しい状況を打開するために尽力したい」との声明を発表した。
バートン氏は経済に精通しているだけではなく、中国に滞在した経験があるという。コンサルタント会社マッキンジーの役員として2004年から2009年に上海に滞在していた経験がある。同社は昨年退社している。中国語は話せないが、中国政府に近い関係者とのパイプがあるという。
トルドー首相は「アジアでの経験があり、世界経済の専門家として評価が高いバートン氏は適任」と声明を発表した。クリスティア・フリーランド外相は両国間の関係が厳しい現状の中で、トルドー首相と直接つながっている人物が選ばれたということを中国側が分かっていることが重要と話した。
中国政府はバートン氏の任命を承認すると発表した。 カナダと中国は、カナダ当局が昨年12月にアメリカの要請で中国通信大手ファーウェイの孟晩舟CFOをブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で拘束して以降、硬直状態が続いている。
昨年12月には中国でカナダ人男性2人が拘束され、今年に入ってからは中国がキャノーラ製品、精肉製品のカナダからの輸入を停止。カナダの生産者に大きな打撃を与えている。それでも中国が姿勢を軟化させる様子はなく、カナダの関係者からはようやく決まったカナダ大使に期待の声が上がっている。
カナダは今年1月、孟CFO拘束問題について不適切な発言をしたとして、ジョン・マッカラム前在中カナダ大使を解任。以降、大使不在のまま自由党政権は中国との修復関係を模索していた。
一方で中国も空席だった在カナダ中国大使を数日前に発表。6日、フリーランド外相はカナダが新しい中国大使を承認すると発表。前日のカナダ大使の任命に続き、両国がお互いの大使を承認したことで、中国・カナダ関係にとって「前向きな第一歩となる」と語った。
ただ中国側は、カナダと中国の関係が硬直している要因はすべてカナダ側にあるとの認識を強調している。