2019年9月19日 第38号
RBCエコノミクスが17日に発表した報告によると、カナダ生まれの国民とカナダ移民者の所得格差が広がっていることが分かった。報告書では、カナダ移民者がカナダ生まれのカナダ人よりも所得が約10パーセント少ないという。
例えば、大学を卒業した移民者の25歳から54歳までの38パーセントが、その人物の教育レベルに見合った職業に就いているのに比べて、カナダ生まれのカナダ人ではその割合が50パーセント以上になっているという。
こうした格差が生まれる背景には、カナダ移民者が移民する前に就業していた職歴が公正に認識されないからだと説明している。
さらに格差は20年間で広がっていて、カナダ移民者とカナダ生まれカナダ人の中間所得の差は、1986年には3・8パーセントだったのに対して、2016年には10・3パーセントになっている。
専門家は、政府が移民前の職歴も雇用者が認めるよう査定方法を改善するように呼び掛けることが必要と語っている。
2019年9月19日 第38号
カナダの首都オタワを訪問中のカップルが国会議事堂で思わぬ注意を受けた。着ているTシャツを着替えるように警備員から注意を受けたのだ。CTVカルガリー局が15日に伝えた。
報道によると、注意を受けたと言うのはアルバータ州カルガリー市のクリス・ウォリンさんと彼の婚約者で、黒の生地に「アイ・ラブ・カナディアン・オイル&ガス」と書かれたTシャツを着ていたという。
国会議事堂では内部を案内して回るツアーが実施されているが、そのツアーに参加しようとしたところ、着ているTシャツを着替えなくてはツアーに参加できないと警備員に注意されたという。理由は、国会議事堂内では「政治色が強い」シャツを着用することは禁止されていると説明されたと語っている。
国会議事堂のウェブサイトによると、洋服やアイテムでも政治的なメッセージが表現されているものを含め、どのような形でもデモやキャンペーンをしてはいけないと掲載されている。
このTシャツは石油・ガス産業を支援する非営利団体によってデザインされたものだという。
ウォリンさんは、アイ・ラブ・オートインダストリーやアイ・ラブ・フォレスト・インダストリーのロゴならきっと大丈夫だったに違いないのに、エネルギー産業支援はダメなのは理由がよく分からないと語っている。
カナダの石油・ガス産業については、国内を二分する議論に発展しているパイプライン建設事業や、環境対策として導入された炭素税で石油・ガス産業が主要産業のアルバータ州やサスカチワン州が反対していたりと、何かと議論が尽きない。
1カ月後に迫った連邦総選挙でも環境やパイプライン建設は争点になるとみられている。表現の自由か、政治的メッセージか、国会議事堂での出来事だけに、公正な対応が求められる。
2019年9月19日 第38号
出産を目的にカナダに来る「出産ツーリズム」によるカナダ国内での出産が2018年度に急増したことが分かった。カナダ・インスティテュート・フォ・ヘルス・インフォメーション(CIHI)のデータによると、2018年4月から2019年3月までに非居住者によるカナダでの出産数は前年比で13パーセント増加したという(ケベック州を除く)。
過去10年間を見ると、2010年度は1354件だったが、2018年度は4099件に増加。全体の出産数に占める割合も、0・5パーセントから1・4パーセントに増加している。これらの中には留学生や一時滞在労働者なども含まれるが、多くは出産ツーリズムを目的としたものとみられている。
カナダは先進国の中でも、滞在ビザに関係なく国内で出産した場合には無条件に市民権を得られる稀な国で、市民権者や永住権者が持つカナダでの権利が得られるため、これを利用しようとする目的で斡旋会社がカナダへの出産ツーリズムをプロモーションする実態もあるという。
CIHIのデータによると、カナダ国内で最も非居住者の出産が多い病院は、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のリッチモンド病院で2018年度は454件、全体の23・1パーセントを占めている。次いでオンタリオ州リッチモンドヒル市のマッケンジー・ヘルス359件13・3パーセント、3番目はオンタリオ州バーチモント市のスカボロー&ルージュで165件10・4パーセント、4番目がBC州バンクーバー市セント・ポールズで139件10・3パーセント、5番目はオンタリオ州トロント市セント・ジョセフズ・ヘルス・センターで191件5・8パーセントとなっている。
トップ10のうち8病院がオンタリオ州トロントもしくはトロント近郊で、昨年度から急増。他州より多いものの増加率は3・3パーセントと低いBC州に比べて、オンタリオ州、アルバータ州、その他の州で急増している。
国内では、非居住者がカナダで出産した場合に限り市民権を付与しないことを条件とすることが望ましいとの意見も出されているが、これに関する議論はされていない。
2019年9月19日 第38号
最近ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で人気が高まっている電動機付き自転車だが、問題も発生している。同州の州都ビクトリアでは、電動機付き自転車に保険をかけていないとして連邦警察に違反切符を切られる事例が増えているとCBCが伝えている。
BC州政府管轄自動車保険会社ICBCでは、電動機付き自転車は2種類に分類される。一つは、自転車に電動の補助が付いているタイプで、動力が500ワット以下、時速はペダルを使わずに32キロメートル、自転車のペダルが付いているもの。もう一つは電動スクーターで、動力は1500ワット以下、時速70キロメートル。電動以外でもガソリンで走るスクーターもこれに分類される。
ICBCによるとスクーターを所有する場合は保険加入が義務付けられているが、電動機付き自転車への保険は用意されていないという。 しかし連邦警察によると、電動機付き自転車でもペダルを使用していない場合はスクーターと同じ扱いになるため、保険加入が必要と主張している。
電動機付き自転車の中には、一般の自転車に電動機が取り付けられているタイプとは別に、スクーターのような外観にペダルが付けられている種類のものもあり、紛らわしいという感じはある。
これまでに警察の違反切符に対して異議を申し立て、裁判で保険加入の必要なしと判断されたケースもある。
ただICBCの説明が分かりにくいという声もあり、これからますます電動機付き自転車や電気スクーターの人気が高まっていくことが予想される中で、BC州政府には適用を明確にする法整備の必要性が迫られている。
2019年9月19日 第38号
地球温暖化による気候変動への対策として注目されている排出量ゼロの電気自動車。しかし、カナダ国内では電気自動車の普及に大きな開きがあることが分かった。
エレクトリック・モビリティ・カナダによると、全国で電気自動車所有者が最も多いのはケベック州でカナダ全体の42・08パーセントを占めている。次いでオンタリオ州34・88パーセント、ブリティッシュ・コロンビア州19・67パーセントと、3州で全国96パーセントを占めている。
アルバータ州では15日に、全国電気自動車ウィークのイベントとしてカルガリー市で電気自動車展示会が行われた。経済ではカナダをけん引するアルバータ州だが、電気自動車普及は全国で2・24パーセントと他の州から大きく後れを取っている。
その理由の一つには電気自動車に関する誤解があるという。「電気自動車は長距離の運転に向かない」や「馬力がない」などの誤った認識があるとアルバータ州で電気自動車を推進するアルバータ州電気自動車協会の代表は説明している。 カウボーイの街として知られるカルガリーが経済の中心であるアルバータ州では、ピックアップトラックやSUVが人気で、これらの電気自動車が少ないことも理由の一つと語る。
また、石油・ガス産業が盛んなため、電気自動車が普及すればガソリン使用などが減り、アルバータ州の主要産業に打撃を与えると考える州民も多いという。
ジェイソン・ケニー州首相が就任して以降、炭素税の廃止を発表。環境対策が必要としながらも、石油・ガス産業が主要産業ということもあり、アルバータ州では環境対策がなかなか進まない。そうした背景があるため、電気自動車普及が停滞しているとみられている。