2019年9月19日 第38号
出産を目的にカナダに来る「出産ツーリズム」によるカナダ国内での出産が2018年度に急増したことが分かった。カナダ・インスティテュート・フォ・ヘルス・インフォメーション(CIHI)のデータによると、2018年4月から2019年3月までに非居住者によるカナダでの出産数は前年比で13パーセント増加したという(ケベック州を除く)。
過去10年間を見ると、2010年度は1354件だったが、2018年度は4099件に増加。全体の出産数に占める割合も、0・5パーセントから1・4パーセントに増加している。これらの中には留学生や一時滞在労働者なども含まれるが、多くは出産ツーリズムを目的としたものとみられている。
カナダは先進国の中でも、滞在ビザに関係なく国内で出産した場合には無条件に市民権を得られる稀な国で、市民権者や永住権者が持つカナダでの権利が得られるため、これを利用しようとする目的で斡旋会社がカナダへの出産ツーリズムをプロモーションする実態もあるという。
CIHIのデータによると、カナダ国内で最も非居住者の出産が多い病院は、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のリッチモンド病院で2018年度は454件、全体の23・1パーセントを占めている。次いでオンタリオ州リッチモンドヒル市のマッケンジー・ヘルス359件13・3パーセント、3番目はオンタリオ州バーチモント市のスカボロー&ルージュで165件10・4パーセント、4番目がBC州バンクーバー市セント・ポールズで139件10・3パーセント、5番目はオンタリオ州トロント市セント・ジョセフズ・ヘルス・センターで191件5・8パーセントとなっている。
トップ10のうち8病院がオンタリオ州トロントもしくはトロント近郊で、昨年度から急増。他州より多いものの増加率は3・3パーセントと低いBC州に比べて、オンタリオ州、アルバータ州、その他の州で急増している。
国内では、非居住者がカナダで出産した場合に限り市民権を付与しないことを条件とすることが望ましいとの意見も出されているが、これに関する議論はされていない。