2019年9月19日 第38号
カナダの首都オタワを訪問中のカップルが国会議事堂で思わぬ注意を受けた。着ているTシャツを着替えるように警備員から注意を受けたのだ。CTVカルガリー局が15日に伝えた。
報道によると、注意を受けたと言うのはアルバータ州カルガリー市のクリス・ウォリンさんと彼の婚約者で、黒の生地に「アイ・ラブ・カナディアン・オイル&ガス」と書かれたTシャツを着ていたという。
国会議事堂では内部を案内して回るツアーが実施されているが、そのツアーに参加しようとしたところ、着ているTシャツを着替えなくてはツアーに参加できないと警備員に注意されたという。理由は、国会議事堂内では「政治色が強い」シャツを着用することは禁止されていると説明されたと語っている。
国会議事堂のウェブサイトによると、洋服やアイテムでも政治的なメッセージが表現されているものを含め、どのような形でもデモやキャンペーンをしてはいけないと掲載されている。
このTシャツは石油・ガス産業を支援する非営利団体によってデザインされたものだという。
ウォリンさんは、アイ・ラブ・オートインダストリーやアイ・ラブ・フォレスト・インダストリーのロゴならきっと大丈夫だったに違いないのに、エネルギー産業支援はダメなのは理由がよく分からないと語っている。
カナダの石油・ガス産業については、国内を二分する議論に発展しているパイプライン建設事業や、環境対策として導入された炭素税で石油・ガス産業が主要産業のアルバータ州やサスカチワン州が反対していたりと、何かと議論が尽きない。
1カ月後に迫った連邦総選挙でも環境やパイプライン建設は争点になるとみられている。表現の自由か、政治的メッセージか、国会議事堂での出来事だけに、公正な対応が求められる。