2019年10月3日 第40号

 カーシェアリング大手Car2goが9月27日北米の5都市からの撤退を発表、その中にアルバータ州カルガリーも含まれていることが分かった。 Car2goはドイツ大手自動車メーカーのダイムラー社が手掛ける世界最大のカーシェアリング会社で、カナダ・アメリカでは10都市で展開している。

 しかし今回、カーシェアリング業界が直面するライドシェアの出現などによる競争激化や行政の協力が得られないことなどを理由にカルガリーをはじめ、アメリカのテキサス州オースティン、コロラド州デンバー、オレゴン州ポートランドで今年10月31日に、イリノイ州シカゴからは12月31日に撤退する。

 カルガリーでは、突然の撤退に驚きととまどいの声が上がっている。カルガリーでは2012年夏にサービスを開始、現在利用者は143,118人で、600台が配置されている。

 Car2goはこれまでのレンタカーと異なり、完全会員制でアプリで近くの乗用車を予約して利用する。利用料にガソリン代や保険料が含まれ、規定の駐車場に返却する必要がなく駐車できる路上であればどこでも乗降可能なのが特長で、都市部で展開され、自家用車を持たない若者を中心に人気がある。

 カルガリーからの撤退について同社は、同市からの必要な支援が得られなかったことも理由に挙げている。これについてカルガリー市は、話し合いを持っている最中で撤退引き留めに必要な対応をする用意があると語っている。

 カナダでは2018年に、市の駐車規則を理由にトロント市から撤退している。

 カナダの他の都市では、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーとケベック州モントリオールでの事業継続を発表。バンクーバーではカーシェアリングの路上駐車場料金を事実上無料にするなどの対策が発表されている。

 アメリカでは、ワシントンD.C.、ニューヨーク州ニューヨーク、ワシントン州シアトルでも事業が継続される。

 

2019年10月3日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市にあるオッペンハイマー公園でテント生活を続けているホームレスに、市がホテルを借り上げる必要があるとバンクーバー市議が主張している。

 バンクーバーではすでに気温が下がり、これから冬に向けて寒くなる前にテント生活者に住居を提供する必要があると説明。10月1日にはジーン・スワンソン市議が動議を提出した。

 バンクーバー市はホームレスのための住宅を建設したり、プレハブを用意したり、シェルターを確保したりと努力はしているが、増え続けるホームレスに追いついていないというのが現状。

 スワンソン市議によれば、前回の調査ではホームレスは2223人だったが、現在でも600人以上が住むところがないと説明している。

 オッペンハイマー公園では、この夏には200以上のテントが張られていた。そのため毎年この公園で開催される日系コミュニティの祭典パウエルストリート・フェスティバルは、今年8月3日、4日のイベントで公園を使用せずに開催された。

 その後バンクーバー市公園庁がテントの立ち退きを決定したが、9月26日には強制立ち退きは行わないことを決定した。バンクーバー市警、消防署、市の職員などは、安全面から強制立ち退きに賛成の立場を取っている。

 スワンソン市議は早急な対策を求めている。

 

2019年10月3日 第40号

 アルバータ州南部が9月にもかかわらず大雪に見舞われた。同州最大都市カルガリー市では9月29日の一日の降雪量は9月としては観測史上最大となる24.6センチメートルを記録。1895年9月19日に記録した22.9センチメートルを超える記録的な雪となった。そのため、翌日の月曜日には通勤通学に大きな影響を与えた。

 環境省によるとカルガリーより南にあるアルバータ州南部では、降り始めから30日の朝までに1メートル近くも積もった地域も。ウォータートン・パークでは95センチメートルまで積もり、チェイン・レイクでも80センチメートルにまでなった。都市部のレスブリッジでも50〜60センチメートル。カナダを横断する高速道路ハイウェイ1沿いのメディスンハットでは10センチメートル、ブルックスでは34センチメートルで、交通に支障が出ていると報告されている。カルガリー市では200件以上の事故が起き、負傷者も出ている。

 この時期に大雪となった要因は、北極からの冷たい空気の速度が遅くアルバータ州やサスカチワン州辺りに停滞していた低気圧とぶつかったためと説明している。サスカチワン州南部でも、この時期にしては珍しい大雪に見舞われている。

 

2019年10月3日 第40号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で秋の議会が開会される前に固定サマータイム制への準備が進んでいる。BC州ジョン・ホーガン州首相は9月30日、ユーコン準州サンディ・シルバー州首相と会談し、固定サマータイム制について話をしたことを明らかにした。両州首相は実施する前に両州で協力することを確認したと発表している。

 カナダではほとんどの地域で夏にデーライト・セービング・タイム制度、通称サマータイム制(夏時間)を導入している。これは日が長い夏の午後を有効活用するための制度で、カナダではアメリカ同様毎年3月第2日曜日から11月第1日曜日まで時間を1時間進めている。

 しかし冬になると日が極端に短くなるカナダでは、サマータイム制が終了する11月初旬に交通事故が多発するなどの理由から制度そのものの不要論が以前から持ち上がっていた。

 そこにアメリカ西海岸州の、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州でサマータイム制の廃止ではなく年中サマータイムとする固定サマータイム制の議論が持ちあがり、隣州としてBC州でも同制度の導入について今年州政府が州民への世論調査を実施した。

 その結果、大多数の州民が固定サマータイム制度への賛成を表明。9月10日に発表された調査結果では、22万3千273件の回答中、93パーセントが賛成し、54パーセントがアメリカの西海岸州との連携は非常に重要、もしくは重要と答えたことが明らかになった。固定サマータイム制度導入に賛成の理由としては、健康面への懸念が最も多く75パーセント、53パーセントが冬の夕方の帰宅時間での1時間は重要と答えた。調査はオンラインや電話で今年6月24日から7月19日まで実施された。

 こうした州民の賛成の声もあり、今秋の州議会で新民主党(NDP)政権は固定サマータイム制への議案を提出するとしている。

 ただカナダでは州議会で可決されれば施行できるが、アメリカでは州政府が決定しても連邦議会での承認が必要なため、今冬にもすぐに固定サマータイム制が実施される見込みはないという。今年のサマータイム終了は11月3日となっている。

 

2019年10月3日 第40号

 アルバータ州にあるジャスパー国立公園に自動車を舐めるムースが出没して話題になっている。遭遇したのは同州エドモントン市のリック・シューさん。夫婦で9月29日に同公園で野生動植物たちを楽しみながらのハイキングを終えて車を止めている場所に戻り、車を出そうとした時のことだったとCTVのインタビューに答えている。

 シューさん夫妻は自分たちの車に乗り込み、国立公園から出ようとしている時に止めてある他の車を舐めるムースを目撃したと語っている。

 そのムースは別に人を恐れるでもなく、車の周りをうろつきながらゆっくりと車の端から端まで舐めると、次の車に向かってまた同様に舐めるのだという。シューさんは、妻が車の持ち主は無料洗車をするためにここに車を並べて止めているのではと冗談を言っていたがと話したが、ムースがあまりにも人を恐れないのを見て心配になったと語っている。

 他の自動車がそのムースの近くを通っても、気にするふうでもなくちょっとチラッと見るだけで再び舐め始めるのだという。

 シューさんは、珍しい光景に出くわしたのはラッキーだったが、ムースが自動車に跳ねられたりしないように、公園内を通るときは制限速度を守ってゆっくりと通ってほしいと他の利用者に注意を呼び掛けている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。