2019年10月10日 第41号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首が7日、党首を辞任する意向を発表した。次期選挙には出馬せず、任期を全うするとしている。
ウィーバー党首は、今回の辞任について「決して安易に決めたわけではない」と述べ、気候変動への関心が高まっている今、新しい世代にバトンを渡すにはいい時期だと思うと語った。
今年9月には中耳炎で一時入院したという。ただ党首辞任の決断は病気とは関係ないと強調した。
ウィーバー党首は2013年にグリーン党唯一の議席となる初当選。2015年に党首となり、2017年の選挙では3議席を獲得した。
政治家になる前はBC州ビクトリア市のビクトリア大学教授で、環境問題研究者としても国際的に知られている。環境問題では国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行している評価報告書の第2次から第5次まで主執筆者として貢献し、第4次評価報告書が発行された2007年にはアル・ゴア元アメリカ副大統領らとともにIPCCとしてノーベル平和賞を受賞している。
2017年選挙では自由党が42議席、新民主党(NDP)は41議席と、どちらも過半数を達成できなかった。そこで3議席を獲得したグリーン党がBC州議会で政権のカギを握る党として注目。結果、NDPに協力するという形でNDP・グリーン党政権が実現した。
NDPジョン・ホーガン州首相はウィーバー党首が議会を去ることは残念だが、「彼の決断を尊重する」と語った。
微妙なバランスで成り立っているBC州NDP政権だが、ウィーバー党首は議員を辞職しないため、解散選挙になることはないとしている。
新党首は2020年夏頃に決まるだろうとし、新党首が決まった時点で党首を辞任すると語っている。
BC州の次期選挙は2021年に予定されている。
2019年10月10日 第41号
ドキュメンタリー映画監督として知られるマイケル・ムーア氏が、9月26日から10月11日までブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で開催されているバンクーバー国際映画祭(VIFF)に参加するために5日、バンクーバーを訪れた。
映画祭では30年前に同映画祭で上映されたムーア氏の初監督作品ロジャー&ミーが上映され、トークショーも開催された。
各メディアでインタビューを受けたムーア氏は、カナダについて「アメリカ人はカナダを羨ましく思っている」と語り、アメリカのドナルド・トランプ大統領とジャスティン・トルドー首相を比較するなど思いを語った。
トルドー首相について、アメリカ人にとっては反トランプの象徴でヒーローみたいな存在と言う。難民を空港に迎えに行ったり、優しさと思いやりを持って語りかけたり、「我々にはそんなものはない」と語っている。
だからこそトルドー首相の顔を黒く塗った写真を見た時はショックだったと語った。トルドー首相が聖人でないことは分かっているが、あれを見た時、「我々白人はどこかおかしいのではないか」と思ったと語った。
カナダに思い入れがあるムーア氏は今回の選挙も注視していて、保守党アンドリュー・シェア党首も話題に。トルドー首相の父ピエール・トルドー元首相時代の話も出るなど、「カナダを隣国としていつも尊敬している」と語った。
今回上映されたロジャー&ミーは、ムーア氏の出身地で自動車産業が盛んなミシガン州フリントを舞台にしたゼネラル・モーターズが自動車工場を閉鎖することによる街への経済的影響を映し出したドキュメンタリー。
ムーア氏は当時を振り返り、失業中でお金がなかったため持っているもの全てを売って映画を製作したと語り、そんな映画をVIFFが上映し、バンクーバーに招待までしてくれて、さらに最優秀映画に選んでくれた、バンクーバーはすごくいい町で、人々は映画に関していい感性を持っているな、と印象に残ったと語った。
その後ムーア氏はボウリング・フォ・コロンバインや華氏911などの代表作を製作している。
2019年10月10日 第41号
ケベック州モントリオール市で、現在レストランや小売店で交わされている英仏あいさつで英語が禁止される可能性が出てきた。
バイリンガルが多いモントリオールでは、店員が客にあいさつをする時に、フランス語の「ボンジュール」と英語の「ハイ」の両語「ボンジュール・ハイ」とあいさつする店が多いという。これを英語を禁止としてフランス語のみのあいさつにしようとケベック州政権が動き出している。
背景には、フランス語が公用語のケベック州でもバイリンガルが多いモントリオールで、英語の勢いが増し、フランス語が減少している事実があるという。現CAQ政権はケベック至上主義を掲げる保守系政権でフランス文化を推進している。
しかしそんな中、モントリオールで新しくオープンするカフェの名前を、カフェ・ボンジュール/ハイにしようと計画しているレストランオーナーのデイブ・プラントさんの話がメディアで紹介されている。
プラントさんは、別に政府に反抗しようとかいう大それたことではなく、マルチリンガルなモントリオールを象徴する名前にしたいだけと語っている。ただ政府がそうした政策を出すことでカフェの名前が知れるのは助かるがとかなり前向き。カフェは11月にオープン予定だという。
ケベック州政府フランス語担当相は4日、英語でのあいさつを禁止する方法を探っていると語ったが、それをどう実現するかについては明確にしていない。
このケベック州政府の動きについて6日の記者会見で聞かれたジャスティン・トルドー首相は、カナダ政府は全国で両言語を推進していると語り、ケベック州政府が英語でのあいさつ禁止をどう実現するのか注視していると語った。
2019年10月10日 第41号
病院を抜け出した患者がパトカーを盗んで交通事故を起こす事件が起きたのは、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市。
7日、患者が病院を抜け出したとの通報を受け駆け付けた警察官が男を捕まえようとしたが、患者の男は止めてあった警察の車に乗り込み、そのまま逃走。警察が追いかけ捕まえたが、その間に車3台に衝突した。衝突した2台目の車は覆面パトカーだった。それでも逃走し続け3度目の衝突で止まって警察に捕まった。
この事件で2人が被害にあい病院に運ばれている。一人は3度目の衝突でぶつけられた運転者で、重傷だが命に別状はないという。もう一人は女性で、事故によるケガの詳細などは発表されていない。
捕まった男は病院から出ることを禁止されていたという。理由は説明されていない。また男の名前や身元、今回起こした事件による逮捕理由など一切は公表されていない。
派手なカーチェースとなった事件だが、詳細はほとんど公表されず分からないことの多い事件となっている。
2019年10月10日 第41号
カナダの社会派雑誌マックリーンズが毎年発表している国内のトップ大学ランキングで、3日に発表された今年の包括的な大学部門でブリティッシュ・コロンビア州の大学がトップ2を独占した。
マックリーンズの包括的大学部門で、トップに輝いたのはバーナビー市に本校があるサイモンフレーザー大学(SFU)、2位は首都ビクトリア市にあるビクトリア大学(UVic)、3位はオンタリオ州ウォータールー大学だった。BC州からトップ10入りしたのは、この2校のみ。
マックリーンズの定義する包括的大学とは、学術研究が非常に盛んで、大学、大学院、専門職の学位取得が充実していることとなっている。
BC州で唯一医学部があるブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)は、医学部部門で、ケベック州マギル大学、オンタリオ州トロント大学に続いて3位となった。
大学レベルに重点を置き大学院規模が小さい大学部門では、ノーザンブリティッシュ・コロンビア大学(UNBC)が2位となり、トップはニューブランズウィック州サックビルのマウントアリソン大学だった。
学生の満足度では、包括的大学部門でトップとなったSFUは同部門で14位、2位UVicは6位、医学部部門で3位だったUBCは7位、大学部門2位のUNBCは5位だった。
学生満足度調査の項目には、大学教授・スタッフ、寮生活、課外活動の充実などのほか、メンタルヘルス、性的嫌がらせへの対応などへの意見が反映されている。