2019年10月10日 第41号

 ドキュメンタリー映画監督として知られるマイケル・ムーア氏が、9月26日から10月11日までブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で開催されているバンクーバー国際映画祭(VIFF)に参加するために5日、バンクーバーを訪れた。

 映画祭では30年前に同映画祭で上映されたムーア氏の初監督作品ロジャー&ミーが上映され、トークショーも開催された。

 各メディアでインタビューを受けたムーア氏は、カナダについて「アメリカ人はカナダを羨ましく思っている」と語り、アメリカのドナルド・トランプ大統領とジャスティン・トルドー首相を比較するなど思いを語った。

 トルドー首相について、アメリカ人にとっては反トランプの象徴でヒーローみたいな存在と言う。難民を空港に迎えに行ったり、優しさと思いやりを持って語りかけたり、「我々にはそんなものはない」と語っている。

 だからこそトルドー首相の顔を黒く塗った写真を見た時はショックだったと語った。トルドー首相が聖人でないことは分かっているが、あれを見た時、「我々白人はどこかおかしいのではないか」と思ったと語った。

 カナダに思い入れがあるムーア氏は今回の選挙も注視していて、保守党アンドリュー・シェア党首も話題に。トルドー首相の父ピエール・トルドー元首相時代の話も出るなど、「カナダを隣国としていつも尊敬している」と語った。

 今回上映されたロジャー&ミーは、ムーア氏の出身地で自動車産業が盛んなミシガン州フリントを舞台にしたゼネラル・モーターズが自動車工場を閉鎖することによる街への経済的影響を映し出したドキュメンタリー。

 ムーア氏は当時を振り返り、失業中でお金がなかったため持っているもの全てを売って映画を製作したと語り、そんな映画をVIFFが上映し、バンクーバーに招待までしてくれて、さらに最優秀映画に選んでくれた、バンクーバーはすごくいい町で、人々は映画に関していい感性を持っているな、と印象に残ったと語った。

 その後ムーア氏はボウリング・フォ・コロンバインや華氏911などの代表作を製作している。

 

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