2019年10月10日 第41号
カナダ食品検査庁(CFIA)は6日、ビーフ・ブティック社が生肉製品をリコールしたと発表した。食中毒の原因となる大腸菌(O157、H7)が見つかったと説明している。
リコールされたのは、ビーフバーガーや挽肉製品など3種類。ブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州、オンタリオ州が対象となっている。
同社の製品は、主にホテルやレストラン、その他の業者に卸されているとCFIAは報告している。
今月2日にはオンタリオ州トロントに本社のある精肉包装会社ライディング―リージェンシー・ミートパッカーズ社の製品がO157などが見つかったためリコールされた。これが引き金となりCFIAが調査を継続していた中で今回のビーフ・ブティック社製品も見つかった。ライディング―リージェンシー社は今年9月17日に操業停止になっている。
O157などによる症状は、めまい、吐き気、腹痛、血便などで、重症の場合には死に至るとされている。
CFIAは今回リコールされた商品を扱う小売店や飲食業者に、対象となっている商品の使用や販売をせず返品するよう呼びかけている。これまでのところ同社の製品による体調不良などは報告されていない。
2019年10月10日 第41号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の母親が天使を探している。BC州サレー市に住むシャーシャ・リジーさんは自分を助けてくれた「天使」にお礼が言いたいとCTVニュースバンクーバーのインタビューに答えて語った。
彼女が天使と呼ぶのは、20代後半から30代前半のインド系女性の看護師だ。
10月3日、3歳以下の子供3人を連れて自動車で移動中に起こった出来事だったという。子供の一人の体調が悪くなり、なんとかしなければと焦っていた。しかし車は渋滞に巻き込まれ全く動けなかったという。しかも交差点近くの左車線に入っていたため路肩に駐車したくても身動きが取れなかったと振り返っている。
そこで、そのまま停車し車から降りて中央分離帯で子供を看病した。帰宅時間帯のラッシュアワーで、雨が降っている状況。帰宅を急ぐドライバーからは迷惑な行為と見られたのだろう。救急車を呼んでほしいと叫ぶが、クラクションを鳴らされたり、中指を立てられたりして、リジーさんはパニック状態になっていたという。
そんな時に、後ろから肩を叩かれ、振り返ると看護師という女性が立っていたと振り返る。彼女は、まず母親を落ち着かせ、いろいろと指示を出して子供を助けてくれ、子供の嘔吐物まで掃除してくれたと言う。しかし状況が状況だけに「名前を聞くのをすっかり忘れてしまった。でも会ってお礼が言いたい」とリジーさん。子供の窮地を助けてくれた自分にとってはまさしく天使だったこの看護師を探したいと語った。
2019年10月10日 第41号
カナダ統計局が3日に発表した警察に関するデータによると、警察官の数が減少傾向にあることが明らかになった。
警察官数は2018年5月時点で68562人と2009年以降最も少なく、人口10万人当たりの警察官数では185人と2001年以降最も少ない数字となったことが分かった。これで7年連続の減少となる。
人口10万人当たりの警察官数を地域別でみると、前年よりも減少しているのはサスカチワン州で8パーセント減、次いでプリンスエドワード島州とオンタリオ州で4パーセント減、ブリティッシュ・コロンビア州とノースウエスト準州では2パーセント増となっている。
一方で警察官を含め警察機構で働く人数は2018年が過去最高で99612人。職員数が増加していることが理由と説明している。
男女別では、女性警察官の数が1986年には全体のわずか4パーセントだったが、2018年は22パーセントと順調に伸びている。しかし相変わらず男性警察官が多数を占めている。
またビジブル・マイノリティ(有色人種で白人・先住民族の血を持たない人種)が占める割合は、2018年の統計では全体の8パーセント。2016年の国勢調査で全人口の22パーセントがビジブル・マイノリティだったにもかかわらず、警官数では低い割合となっている。先住民族の警察官は4パーセント。
司法改革を推進している団体によると、警察内で白人が圧倒しているこうした事実が白人以外を過度に標的にしたチェックや捜査に繋がっていると指摘している。
2019年10月10日 第41号
気候変動危機を訴え行動を起こす団体エクスティンクション・リベリオン(XR)に賛同する人々が7日、カナダ各地でデモ活動を起こした。
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは、バンクーバーダウンタウンとキツラノ地区を結ぶバラードブリッジをデモで封鎖。通勤通学のラッシュ時だけでなく帰宅時にも大きな影響を及ぼした。
この日はカナダ各地で同様に橋を封鎖して環境問題を訴える行動が相次いだ。ノバスコシア州ハリファックス、オンタリオ州トロント、キッチナー、アルバータ州エドモントン、カルガリーなどでデモが行われた。ハリファックスでは18人、トロントでもこの行動によって逮捕されている。
カナダ各地で行われたデモが3時間から4時間だったのに対して、バンクーバーでは午前9時半から午後10時まで続き、一日中バンクーバーで最も交通量が多い橋の一つが封鎖された。
それでも概ね平和的デモだったという。デモ参加者たちは、この日朝から降り続く雨の中プラカードを掲げて主張するなどのデモ活動もしていたが、橋の上でテントを張ったり、ストリートホッケーをしたりと、橋を封鎖するという行為以外には特に過激な行動に出ることはなかったとバンクーバー市警が発表している。
デモを始める前には、市警が橋の両端を封鎖したり、車を誘導したりと協力的で、デモは人々の権利であるため、警察としてはデモの間、公共の安全や住民・ビジネスへの影響を注視していくと発表。デモは夕方のラッシュアワーまで続くことが予想されると市民への注意も促していた。
また、この橋を使用する公共交通機関トランスリンクもバスの迂回ルートをあらかじめ利用者に通達するなど、概ね協力的にバンクーバーでは行われた。
ただ午後10時になった時には警察から終了を促されたがそれを拒否した活動者たちが10人逮捕されたと8日に発表されている。
この日は世界各地でXRによる同様のデモが行われ、イギリス・ロンドンやドイツ・ベルリンなどで逮捕者が出ている。XRは2018年にイギリスで立ち上がった団体で、気候変動は世界的な危機であり、政治が気候変動危機回避のために早急な対策を取ることを要求、2025年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指すよう訴えている。
バンクーバーでの参加者は、権力者に対する抗議で一般の人を巻き込むのは申し訳ないとは思っているが、通行を妨げられるのは一時的な不便だが気候変動危機を見過ごすと将来には大きな不便が強いられると語っている。
XRはこれからも同様のデモを続けるとしている。
気候変動危機を訴えるデモは、9月20日にはスウェーデン出身16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんに影響を受けた世界中の若者が学校を休んで環境対策を訴えた。9月27日にはやはり若者が中心に各地でデモを決行し、バンクーバーではキャンビーストリートブリッジに10万人が集まり、橋が通行止めとなった。
2019年10月3日 第40号
激しい選挙戦を繰り広げる各党党首が直接激突する党首討論会のトピックが9月30日決定した。
10月7日に英語で行われる討論会では、経済の安定性とアフォーダビリティ、環境とエネルギー、先住民族問題、国内外でのリーダーシップ、国の二分化・人権・移民となっている。
10月10日のフランス語での討論会は、経済と財政、環境とエネルギー、アイデンティティ、民族と政治、外交政策と移民、公共サービス提供となっている。
一つのトピックについて20分が当てられ、その中で党首らが討論を交わすことになる。英語の討論会では一般市民からの質問が一つ与えられ、党首が答える形をとる。また党首同士での質問合戦も予定され、党首は一度だけ他の党首に質問する機会が与えられる。
フランス語の討論会では、国民からの質問に一つ答えるほか、6人の党首を二つのグループに分けミニ討論会を開催、ジャーナリストからの短い質問、6人全員が参加する討論が最後に行われる。
党首討論会に参加する6党首は、30日に英語の討論会での立ち位置をクジですでに決定。端から、グリーン党エリザベス・メイ党首、自由党ジャスティン・トルドー党首、保守党アンドリュー・シェア党首、カナダ国民党マキシーム・ベニエ党首、ケベック連合党イヴ-フランソワ・ブランシェ党首、新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首の順番となっている。
討論会会場は、英仏語ともケベック州ガティノーで開催。英語は10月7日午後7時から9時まで(東部時間)、フランス語は10月10日午後8時から10時(東部時間)。全国でテレビ、ラジオ、オンラインで生中継される。視聴可能な言語は、英語、フランス語、イタリア語、広東語、中国語、アラビア語、パンジャブ語、標準クリー語、イヌクティトゥット語、東部クリー語、オジブワイ語、アメリカ手話、ケベック手話となっている。