2019年10月10日 第41号

 気候変動危機を訴え行動を起こす団体エクスティンクション・リベリオン(XR)に賛同する人々が7日、カナダ各地でデモ活動を起こした。

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは、バンクーバーダウンタウンとキツラノ地区を結ぶバラードブリッジをデモで封鎖。通勤通学のラッシュ時だけでなく帰宅時にも大きな影響を及ぼした。

 この日はカナダ各地で同様に橋を封鎖して環境問題を訴える行動が相次いだ。ノバスコシア州ハリファックス、オンタリオ州トロント、キッチナー、アルバータ州エドモントン、カルガリーなどでデモが行われた。ハリファックスでは18人、トロントでもこの行動によって逮捕されている。

 カナダ各地で行われたデモが3時間から4時間だったのに対して、バンクーバーでは午前9時半から午後10時まで続き、一日中バンクーバーで最も交通量が多い橋の一つが封鎖された。

 それでも概ね平和的デモだったという。デモ参加者たちは、この日朝から降り続く雨の中プラカードを掲げて主張するなどのデモ活動もしていたが、橋の上でテントを張ったり、ストリートホッケーをしたりと、橋を封鎖するという行為以外には特に過激な行動に出ることはなかったとバンクーバー市警が発表している。

 デモを始める前には、市警が橋の両端を封鎖したり、車を誘導したりと協力的で、デモは人々の権利であるため、警察としてはデモの間、公共の安全や住民・ビジネスへの影響を注視していくと発表。デモは夕方のラッシュアワーまで続くことが予想されると市民への注意も促していた。

 また、この橋を使用する公共交通機関トランスリンクもバスの迂回ルートをあらかじめ利用者に通達するなど、概ね協力的にバンクーバーでは行われた。

 ただ午後10時になった時には警察から終了を促されたがそれを拒否した活動者たちが10人逮捕されたと8日に発表されている。

 この日は世界各地でXRによる同様のデモが行われ、イギリス・ロンドンやドイツ・ベルリンなどで逮捕者が出ている。XRは2018年にイギリスで立ち上がった団体で、気候変動は世界的な危機であり、政治が気候変動危機回避のために早急な対策を取ることを要求、2025年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指すよう訴えている。

 バンクーバーでの参加者は、権力者に対する抗議で一般の人を巻き込むのは申し訳ないとは思っているが、通行を妨げられるのは一時的な不便だが気候変動危機を見過ごすと将来には大きな不便が強いられると語っている。

 XRはこれからも同様のデモを続けるとしている。

 気候変動危機を訴えるデモは、9月20日にはスウェーデン出身16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんに影響を受けた世界中の若者が学校を休んで環境対策を訴えた。9月27日にはやはり若者が中心に各地でデモを決行し、バンクーバーではキャンビーストリートブリッジに10万人が集まり、橋が通行止めとなった。

 

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