2019年9月26日 第39号
自由党は24日、来月の選挙で選ばれたならば気候変動への取り組みとして2050年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指すと発表した。23日にアメリカ・ニューヨークで開催されている国連総会で欧州連合や他の65カ国が約束したのを受けての発表となった。
24日に発表された自由党の声明では、その他にも排出量の削減や排出量ゼロ技術を開発した企業に対しては法人税を半分に引き下げることも表明した。自由党はクリーンテクノロジーを重視することで、環境問題への取り組みだけでなく、雇用創出や経済成長にもつなげることができると説明している。さらに2022年までには連邦政府のすべての建物でクリーンエネルギーを使用する計画も発表した。
トルドー首相は、環境危機は現実的な問題で一刻の猶予もないところまできていると語り、カナダは現実問題として世界の他の地域よりも2倍の速さで温暖化が進んでいるとの認識を語った。
ただ具体的な温室ガス排出量削減策は打ち出せていない。
2015年に政権を取って以降、環境問題への取り組みを声高に叫んでいるが、実際には温室効果ガスの削減までには至っていない。2015年のパリ協定で提出した2030年までに2005年比で30パーセント削減の目標も、このままでは達成するのは不可能と環境省が発表している。
それでも今回の発表に合わせて現在掲げているパリ協定の目標も達成すると強調している。これまでに自由党が実施した環境対策は、炭素税の実施、電気自動車への移行を手助けする補助、公共交通機関建設への資金援助や、クリーンテクノロジーへの補助などが主なもので、最大の温室効果ガス排出産業である天然資源産業への規制などには、ほとんど着手していない。
一方で、アルバータ州のオイルサンドをアメリカ以外への市場へ輸出するためのパイプライン建設工事計画を承認するなど、環境対策とは逆行する政策も行っている。
こうした自由党の政策を過去4年間での成果がないとして野党は批判している。
トルドー自由党が環境問題政策を次々と発表する背景には、今年はこれまでになく環境問題が選挙の争点となっていること、それを示すかのようにグリーン党の支持が上がっていること、環境問題を重視する若者票を取り込む必要があることなどがあげられる。
新民主党(NDP)やグリーン党は化石燃料からの脱却を掲げ、パイプライン建設の反対や地球温暖化に歯止めをかけるための気温上昇1・5度以内を目指す目標を達成すると発表している。
さらにグリーン党は2030年までに2005年比で60パーセントの温室効果ガスの削減、電気自動車以外の乗用車の販売禁止なども掲げている。