2019年9月26日 第39号

 アルバータ州政府が可決した他州への石油・ガス輸送停止を可能にする法令について連邦裁判所が25日、施行停止を言い渡した。ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府の言い分が認められた。裁判長セバスチャン・グラモンド氏は、別名ターンオフ・ザ・タップ法案は、大きな問題を抱えており、実施されればBC州民の生活に大きな打撃を与えると語っている。

 アルバータ州では昨年、新民主党(NDP)政権時代に同法案が可決された。法案の内容は、アルバータ州政府が他州へ輸送する石油やガスの量を調整できるというもの。しかし、本来の狙いはBC州政府がトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を阻止するために環境対策を強化する法案を可決したことに対抗したもので、BC州を狙い撃ちした法案となっている。

 これにBC州政府が、アルバータ州が可決した法案は憲法違反と訴えを起こし、連邦裁判所に持ち込まれた。

 グラモンド裁判長は、アルバータ州の法律はブリティッシュ・コロンビア州への石油製品禁輸を通してBC州の経済に打撃を与えようという意図があることは明確と語り、禁輸措置はBC州でのガソリンやディーゼルの価格を上昇させるというだけではなく、公共の安全も危険にさらす可能性があると付け加えた。

 今回の判決を受け、BC州司法長官デイビッド・イービー氏はBC州の主張が認められ、施行停止命令が言い渡されたことを歓迎すると記者団に語り、「アルバータ州に自分たちの意に沿わない政策に対して他州を罰するために石油の輸送を制限するという権利が認められるとは思わないというのが我々の主張だ」と語った。

 今後はアルバータ州のこの法律が違憲かどうかの判断が示される。

 トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画については、自由党政権が承認した後にBC州新民主党政権が誕生し、環境対策の観点から州内を通るオイルサンドの輸送規制を見直すとの立場を表明。それ以降、自由党政権・アルバータ州政府とBC州政府の対立が激しくなった。

 ただ2018年8月に連邦裁判所が自由党政権のパイプライン計画の承認は環境対策と先住民族への説明不足として一旦工事の停止が言い渡されたが、今年自由党政権が再び承認している。同パイプラインは2018年5月にキンダーモーガン社から自由党政権が45億ドルで買収している。

 同パイプラインについては10月実施の選挙の争点にもなっている。

 

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