2019年9月26日 第39号
選挙まで1カ月となった中で、自由党に激震が走った。18日にアメリカの雑誌タイムが掲載したジャスティン・トルドー首相が教師時代の写真が波紋を広げている。
写真は、トルドー首相がブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーの私立学校で教師をしていた時にアラビアンナイトをテーマにした2001年のイベントで、トルドー首相が29歳の時に撮影されたもの。この写真に写っているトルドー首相は、アラビアンナイトの話に出てくるような衣装をまとい、顔や手を真っ黒に塗って当時の同僚と思われる女性たちと写っている。自由党はこの写真について首相本人であることを認めている。
さらに、CBCがトルドー首相がやはり高校の教師時代に顔を黒塗りして学校のタレントショーに参加していたと報道、グローバルニュースは1990年代にトルドー首相が顔を黒塗りしている動画を紹介。自由党はどちらもトルドー首相であることは間違いないと認めている。グローバルが紹介した動画はのちに野党保守党が提供したことが分かっている。
トルドー首相といえば、多様化こそがカナダの強みとして政権を取って以降も首相として多文化主義を推進している。その本人が政治家になる20年前とはいえ、顔黒塗りでこうした格好をしている写真は、自由党から立候補している候補者、自由党支持者に大きなショックを与えていると各社が報道している。
トルドー首相は20日の会見で、「多くの人々を失望させてしまった。ここにこうして国民の前に立ち、非常に反省している。許してほしい」と語った。さらに「今の自分はあの時の自分とは違う」と語り「今は、毎日のように差別と闘っている人々が深く傷ついていることを理解する人間だと思っている」と語った。
このトルドー首相の黒塗りスキャンダルはトルドー自由党の支持率にも影響を及ぼしている。スキャンダル後に実施された各社の世論調査では保守党がリードしている。
イプソス社による調査では保守党支持が36パーセント、自由党支持が32パーセント、アンガスリード・インスティテュートでは保守党35パーセント、自由党30パーセント、イコス・ポリティクスでは保守党35・5パーセント、自由党32パーセントとなっている。唯一ナノス・リサーチの調査では自由党35・1パーセントと保守党33・5パーセントをリードしている。
自由党は選挙まで1カ月を切ったこの時期に環境問題対策や処方薬計画を発表するなど、巻き返しに必死になっている。