2019年9月12日 第37号
アルバータ州バンフのレイクルーズにあるスキーエリアを約30パーセント削減する計画を承認したと7日、カナダ公園庁が発表した。レイクルイーズスキーエリア10年計画の一環で、環境を保護する目的がある。
1年中を通して人気のある観光地として知られるバンフは、冬はスキー場として国内外からスキーヤーが集まってくるスキーリゾート地。中でもレイクルイーズは人気があるが、同時にこの辺りは貴重な動植物の生息域でもある。
現在のスキーエリアの約30パーセントといえば、669ヘクタールにも上るが、グリズリーベア、クロアナグマ、シロイワヤギなどの貴重な生息域となっているため、カナダ公園庁が自然保護区として指定する必要があると判断したと声明を発表している。
さらに冬期のスキーエリアだけではなく、夏期のハイキングシーズンのハイキングコース変更も計画に盛り込まれた。現在のコースよりも、さらに標高を上げたコースに変更するという。グリズリーベアの生息域を考慮しての変更と説明している。
環境対策では他にも、パイプストーン川やコラル・クリークからの水のくみ上げを削減することも盛り込まれた。これまで人工雪造や消火活動、地域の生活用水として水不足の時などに使用してきた。今回のくみ上げ量削減で、この地域に生息する絶滅危惧種のニジマスなどを保護することができると説明している。 他にも、針葉樹のアメリカシロゴヨウなどの危惧種を保護するための投資も継続的に行っていくことを10年計画に盛り込んでいる。 今回の10年計画は、地元住民、先住民族、関係者などとの協議の結果、環境保護と安全性の改善のために必要との結論で合意したとカナダ公園庁は語っている。
今回発表された計画の実行には、10年から12年はかかるとみられている。
バンフ国立公園はカナダ初の国立公園で、国内で最も人気のある国立公園として知られている。
2019年9月12日 第37号
イギリス出身77歳女性がヨットでの単独無寄港世界一周最高年齢記録を樹立した。世界記録を樹立したのはジェーン・ソクラッツさん。ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア市を2018年10月3日に出発し、9月7日午後4時17分にビクトリアに到着、339日で世界一周に成功した。これで、これまで日本人男性斉藤実さんが2005年に71歳で樹立した最高年齢記録を抜き記録を更新した。
ソクラッツさんにとって今回が3度目の正直だった。2013年には単独無寄港世界一周に成功した。この時の公開日数は259日。70歳での挑戦は、女性の最高年齢記録を塗り替えたが斉藤さんの記録より1歳若かった。
それから2016年、2017年にも挑戦したが失敗。今回の挑戦も難航したという。2回のサイクロン回避を余儀なくされ、機器の故障が発生するなど、困難な航海となり、「航海を継続できるかを何度も自問した」という。それでも予定よりも4カ月遅れで帰港し、世界記録樹立に成功した。
イギリスの大学で数学教授だったというソクラッツさんがヨットを始めたのは48歳の時。夫とともにセーリングを楽しんだという。夫の病死後、単独世界一周に挑戦。記録樹立となった。
7日に帰港したソクラッツさんを出迎えたビクトリアで支援していたヨットクラブの人々は、 77歳での単独世界一周に驚きと敬意を表していた。
2019年9月12日 第37号
土砂崩れでサーモンの遡上がせき止められていたフレーザー川で6日、サーモンが自力で遡上していることが確認されたとブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が発表した。約1万8千匹のサーモンが自力でフレーザー川の土砂崩れ箇所を遡上したという。
土砂崩れが確認されて以降、サーモンの遡上が妨げられていることが分かり、ヘリコプターやトラックを使って土砂崩れの下流側から上流側へ人力で運ぶ作業が続けられていた。運ばれたサーモンは、サッカイ、チヌック、ピンク、コーホーなどで約5万2千匹を運んだという。
BC州政府によると、人力でのサーモンの移動を継続しつつ、サーモンが自力で遡上できる道筋を作っていく予定としている。
BC州ではこれからがサーモン遡上のシーズン。今後もフレーザー川に海から続々と戻ってくると予想されている。ただ今年は産卵のためにBC州の川に戻ってくるサーモンの数は過去最低になるのではないかと予想されている。
特にサッカイサーモンは、カナダ水産海洋省によると約500万匹戻ってくると試算されているが、これまでのところ55万6千匹しか戻っていないという。
今年のフレーザー川の水位は例年より7パーセントも低く、水温は2度高いと発表されている。BC州でのサッカイの遡上数は年々減少傾向にあると言われ、その要因には気候変動や乱獲、生息域の破壊などがあげられている。
BC州に戻ってくるサーモンの数が減る一方で、アラスカ州では3年連続の増加となっていることも分かっている。
サーモンの遡上はBC州の秋の風物詩。これからもサーモンがBC州に戻ってくるには行政や漁師などとの協力が必要と専門家は語っている。
2019年9月5日 第36号
今年10月に実施される総選挙を前に、各党が有権者にさまざまな公約を発表しているが、ここにきて携帯電話料金も争点の一つに浮上してきた。
ジャスティン・トルドー首相は8月26日、「国民はすでに高いインターネットや携帯サービス料金を支払っているため、これ以上払うべきではないとの認識を持っている。そのため自由党は全ての国民に公平なシステムを提供できる方法を考慮する予定だ」とフランスで開催されたG7の記者会見の席でデジタルサービスへの課税に関する質問に答えた。
カナダの携帯料金は他の先進国に比べて一般的に高いといわれている。新民主党(NDP)は早くから公約に携帯料金引き下げ策を盛り込んできた。今年6月には「料金の上限」を設けると発表、それにより月々10ドルは安くなると試算している。NDPの政策が実施されればカナダでの料金はOECD加盟国36カ国の平均料金とほぼ同じとなるという。
自由党は明確な料金引き下げ方法は発表していないが、料金の上限設定か、大手通信会社に小規模プロバイダーへアクセス許可を与えるよう義務化するなどの方法を検討していると語っている。
カナダ国内の携帯料金については前保守党政権時代から機会があるたびに料金値下げ策を各党が訴えていた。現在は以前に比べて緩やかに下落していると報告されているが、依然として高い水準にある。
ウォールコミュニケーションが連邦政府の依頼によりまとめた先進7カ国にオーストラリアを含めた8カ国の携帯料金(2ギガのデータ量と全国かけ放題電話料を含む平均的1カ月料金)では、最も高いのは日本で約80ドル。次いでカナダ75ドル、アメリカは61ドル、オーストラリアは25ドル、最も安いのはイタリアで21ドル。
カナダでは通信大手3社、ベル、ロジャーズ、テラスで市場の約90パーセントを占めている。今回各党が選挙公約に携帯料金引き下げを掲げていることについて、料金の引き下げが強要されれば、これから5G時代に入るための準備に必要な資金が減少すると猛反対している。
今や携帯は国民の生活になくてはならない必需品。カナダラジオテレビ電気通信委員会(CRTC)によると、全国の低所得者層世帯20パーセントで携帯料金が家計の9パーセントを占めていると発表している。
2019年9月5日 第36号
オンタリオ州政府は連邦自由党が導入した炭素税は違憲として連邦最高裁判所へ上訴することを8月28日に発表した。
今年6月にはオンタリオ州上訴裁判所がオンタリオ州の主張を棄却、同州政府は上訴するか検討するとしていた。
炭素税は自由党政権が温室効果ガス削減対策として力を入れている政策。各州に独自の炭素税か同等の環境対策を導入するよう義務付け、導入しない州には強制的に連邦自由党政権の炭素税を今年4月から実施すると強硬な姿勢を貫いた。
連邦炭素税を強制導入されたのは、オンタリオ州、サスカチワン州、マニトバ州、ニューブランズウィック州。この中で、オンタリオ州以外に、サスカチワン州、マニトバ州、そして炭素税が導入されているが廃止を検討しているアルバータ州が提訴している。
環境問題は10月の総選挙でも争点の一つだが、保守党は政権を取った場合は自由党の炭素税を廃止し、より効果的な環境対策を講じると発表している。