2019年9月5日 第36号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州でガソリン価格が高騰したことを受け、今年5月に同州ジョン・ホーガン州首相が原因究明を調査すると発表してから3カ月、ようやく調査結果が発表された。
ホーガン州首相に原因究明を指示されたBC公益事業委員会(BCUC)は8月30日に記者会見したが、原因については明確に言及しなかった。
BCUC代表デイビッド・モートン氏は、BC州とカナダの他の州とのガソリン価格の違いについての明確な理由は分からなかったと記者会見で語った。「メトロバンクーバーとUSパシフィック・ノースウエストの間にはガソリン卸値で1リットルにつき13セントの違いがあることが分かった。ただ、違いの理由については説明がつかなかった」と説明した。
モートン氏はメトロバンクーバーのガソリン価格については「演出されている可能性が高い」と言う。
メトロバンクーバーのガソリン価格の高騰は2015年あたりから始まっているが、なぜこの辺りから始まっているのかの理由についても分からなかったと語っている。
BC州ブルース・ラルストン雇用・貿易・技術相は「州民がスタンドでガソリンを入れるたびに搾取されているように感じていたのは事実だった」と記者会見で述べ、BC州でガソリン卸値での競争がないことが原因ということが明らかになったと語った。
BC州、特にメトロバンクーバーのガソリン価格は今年4月一時1リットル1.72ドルという記録的な価格となった。これを受けホーガン州首相が調査を指示した。それでも結局、卸値で説明がつかない1リットルにつき13セントがあるということが分かっただけだった。
モートン氏は価格是正には、精製量を増やすための投資をするか、政府による価格規制をするかの方法があるとしながらも、価格是正方法についてはさらに調査が必要と語った。 石油精製量供給増についてトランスマウンテン・パイプライン拡張でアルバータから精製された石油を輸送することで解決するのではとの石油会社の見解については、BC州のガソリン価格はパシフィック・ノースウエストを基準としているため、パイプライン拡張がガソリン価格下落に直結する保証はないとの見解を示した。
13セントの説明がつかない価格差でBC州民は4億9千万ドルも毎年高いガソリン代を払っていることになると試算している。
2019年9月5日 第36号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で公立学校教師の労働組合と州政府の労働交渉が続いている。
BC州では9月3日から新学期が始まり、生徒も教師も新たな学期を迎えた。しかしBC州公立校教師組合は州政府との労働協定がないまま新学期に突入した。
前回提携した労働協定は今年6月に期限が切れ、7月に数日、8月には調停役が仲介したが新学期までには間に合わなかった。労働交渉は9月23日に再開されるという。
自由党政権時の前回の労働交渉は難航した。2014年、教師がストライキを起こし、学校が5週間にわたり休校、生徒たちに影響を与えたことは記憶に新しい。
しかし今回は交渉相手が新民主党(NDP)政権ということもあり、スムーズな交渉が行われることを期待する声が上がっている。
交渉で難航している理由の一つが一クラスの生徒数。生徒数を減らして細かい生徒のケアを訴える組合側と、生徒数が減ることでクラスが増え教師増加を強いられる州政府側とで意見が食い違うという。さらに給与増加も条件に入っているため、州政府との今後の話し合いが注目される。
2019年9月5日 第36号
ブリティッシュ・コロンビア州の自動車保険を管轄するICBCによる新自動車保険制度が9月1日から始まった。
これまでの自動車を対象とした制度から運転手を対象にした制度に移行したという。運転歴が長く優良ドライバーは保険料が下がり、運転歴が浅く事故が多いドライバーにより負担を重くすることで公平に査定できると説明している。
ICBCのホームページでは新しい制度の下で自分の保険料がどれくらいになるかを計算できる。
9月1日より前から新制度に切り替えて登録した約1200人を対象にした調査では、43パーセントが年間212ドルの保険料増となり56パーセントが329ドル減となったとICBCが発表している。
しかしあくまでも個人差があるとCTVバンクーバーが伝えている。優良ドライバーは保険料が下がると聞いていたが実際に切り替えてみると保険料が大幅に増額したという声を紹介している。
これに対してICBC広報は、保険契約者でベーシックのみに加入している場合は、保険料が引き上げられるという。一方でベーシックとオプショナル両方をICBCで加入している契約者のうち55パーセントが、保険料がこれまでよりも減額になると答えている。
2019年8月29日 第35号
熊にドーナツを食べさせている写真をソーシャルメディアに掲載して、野生動物保護法違反で訴えられていた男が罪を認め2000ドルの罰金を言い渡された。
訴えていたのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州自然保護サービス(BCCOS)。BC州ビクトリア在住のランディ・スコット(31)が罪を認め、罰金と6カ月間熊から50メートル以内に近づかないよう言い渡されたと22日に、BCCOSがツイートした。
男は2018年10月アラスカハイウェイで車を止めて、近づいてきた熊に車からドーナツを食べさせ、その様子を撮影した写真をフェイスブックに投稿していた。この投稿が話題となり、BC州野生動物保護法違反で訴えられた。保護法では熊やコヨーテなどの危険な野生動物にエサをやったり、やろうとしたりすることを禁止している。
男の投稿には「熊にあげるティムビッツ(ゴルフボールくらいの大きさのドーナツ)をいっぱい用意している」と書かれていた。投稿はすでに削除されている。
2019年8月29日 第35号
カナダ東海岸で獲れるロブスターは国内外で人気が高いが、最近はほとんどバブル状態になっているとアメリカのメディアが伝えている。原因はアメリカと中国の間で勃発した貿易戦争だ。
これまではアメリカからも輸入していた中国が、アメリカ産ロブスターに高関税をかけたため、カナダ産ロブスターの輸入が拡大しているという。
アソシエーション・プレスによると、今年6月までのアメリカから中国へのロブスターの輸出は220万ポンド(約100万キログラム)で、昨年同期の1200万ポンドから大きく落ち込んでいる。
一方で、今年上半期のカナダから中国への輸出量は3300万ポンド。2018年の総輸出量とほぼ同じとなっている。同期の輸出額は2億米ドルで、昨年1年間の2億2300万米ドルを上回ることは間違いない。
カナダではノバスコシア州、ニューブランズウィック州など、東海岸でロブスター漁が盛んで、中国だけではなく日本にも多く輸出されている。