2019年8月29日 第35号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市ダウンタウンにある高級ホテルでストライキが実行される可能性が出てきた。

 ハイアット・リージェンシー、ウェスティン・ベイショア、ピナクル・ハーバーフロント・バンクーバーの3ホテルで働く従業員が、所属する労働組合でストライキ実行に89パーセントが賛成したことが24日、分かった。

 これらのホテルでは労働協定が約1年も合意されずに協定がないままの状態だという。組合側は時給の引き上げや、正社員での雇用を希望していると組合の代表は語っている。

 組合側は、これらのホテルはバンクーバーでもトップクラスの高級なホテルで利益を上げているにもかかわらず、従業員の労働環境は改善されないままになっていると主張。現在は仲介役が入って労働協定について話し合いを持つ予定となっていると語った。

 さらに、ローズウッド・ホテルジョージアでは、すでにホテル側が施設封鎖を22日付で通知、組合側もストライキ実行を通知するという状況に至っている。ただ実行はされていない。同ホテルでも現在、交渉中としている。

 ホテルジョージアについては、地元テレビ局CTVバンクーバーが、同ホテルの女性従業員が宿泊客に性的暴行やセクシャルハラスメントを受けたとして労働環境改善を訴えて6月にホテル前でデモ活動をしている様子を報道した。この件についてはBC州人権審判所に訴えている。

 バンクーバーではこれから9月、10月とホテル利用者が増加すると予想されている。1年の繁盛期にホテル従業員によるストライキ、もしくはホテル側の施設封鎖は、バンクーバーの観光業に影響を及ぼす可能性があると危惧されている。

 

2019年8月29日 第35号

 カナダの主要都市に設置されたカナダ国民党を支持する反移民政策広告が撤去されることが26日分かった。

 道路脇に設置されたビルボード広告に、「大量移民受け入れにノーを」と書かれた広告が掲げられたのは先週末。以降、保守派を除く各党の党首や議員から批判の声が上がり、多くの国民もツイッターなどで差別的などと非難した。

 広告にはキャッチコピーとともにカナダ国民党マキシム・ベニエ党首の顔写真が大きく貼られ、党名も分かるように書かれている。

 この広告のためにビルボードの掲載スペースを購入したのは、トゥルーノース・ストロング&フリー・アドバタイジングコープ(TNSFAC)。同社はカナダ選挙管理委員会に8月16日に登録し、広告は23日頃から注目を浴び始めたことが分かっている。

 今回の件に関してTNSFAC代表フランク・スミーンク氏はカナディアン・プレスのインタビューに対して26日、今回の広告掲載について広告主が示した意見を自社が支持するものではなく、最初に掲載を承認した時に誤った判断をしたと説明している。

 広告が掲載されたビルボードを管理する屋外広告スペース提供会社パッティソン・アウトドア社は、25日に広告内容に意見がある場合は広告掲載会社TNSFACに連絡するよう促す声明を発表。自社のガイドラインに違反していないとの判断から撤去する予定はないと説明していた。しかし同日遅くには一転、非難の声に応えて広告を撤去すると発表。同社代表ランディ・オット氏は私自身および当社が広告掲載によって市民を侮辱するという意図は全くなかったと説明し、広告掲載会社には撤去する旨を伝えるとの声明を出した。

 広告は独立した第三者機関が制作したもので、カナダ国民党が制作したものではない。しかしこの一連の広告撤去騒動にベニエ党首は、党は広告内容に同意すると語り、広告が撤去されるのは表現の自由に違反するのではとの見解を示した。

 カナダ国民党は保守党から離党したベニエ氏が立ち上げた党で、保守党よりもさらに右寄りの政策を掲げ、一定層の票を獲得する右寄りの政策を打ち出している。移民政策もその一つ。年間35万人の移民受け入れは多すぎると移民数の減少を主張している。

 ビルボード広告は、ノバスコシア州ハリファックス、オンタリオ州トロント、アルバータ州カルガリー、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーなどで掲載されたが、全国すべての広告を撤去するとしている。

 

2019年8月22日 第34号

 今年初めから続く香港でのデモは、今月に入り香港国際空港が閉鎖されるほどの規模となった中、バンクーバーでも香港支持派と中国支持派が対峙した。

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーには中国系移民が多い。1997年に香港がイギリスから中国に返還されたのを機に香港からの移民が急増。カナダと香港の関係は深く、香港の動きはカナダでも大いに注目を集めている。

 そんな中、バンクーバー市で香港を支持するグループによるデモが17日、同市ブロードウェイとキャンビー通りの交差点にあるスカイトレイン・ブロードウェイ駅で行われた。そこに中国を支持するとみられるグループが対抗するように集まり、それぞれに香港旗や中国国旗、カナダ国旗を持ち、両派が声を上げて主張を叫んだ。

 香港支持派は、香港でデモを行っているグループの主張を支持。香港は一つの中国2つの制度の下で特区として自治権と自由を有している、現在の香港政府は中国に寄り過ぎで、中国政府は香港から自治権と自由を奪おうとしているとの危機感を抱いていると主張している。デモを呼びかけたチェン氏はCBCのインタビューに答え、香港で一体何が起こっているのか世界に知ってほしいと語っている。デモを呼びかけたSNSには脅迫的なコメントがあったため、警察に届けたと言う。ハフィントンポストカナダは、中国支持派の中にはフェラーリなどの高級車を横付けにして支持を訴えていた人もいると伝えている。

 翌日には同市在バンクーバー中国領事館前で両派のデモが繰り広げられた。両日ともにバンクーバー市警が出動、大きな衝突はなかったとしている。

 

2019年8月22日 第34号

 カナダの3大通信大手テラス・コミュニケーションが提供する電子メールサービスが15日からブリティッシュ・コロンビア州とアルバータ州で使用不能になっている。その後、一部回復したが、まだ多くの利用者が電子メールが使用できないと不満の声を上げている。

 今や電子メールは個人利用でもビジネスでも欠かせないツール。多くの顧客が影響が大きすぎると批判、その上に顧客対応サービスが全く機能していないとさらに不満を募らせている。

 こうした声が大きくなり、使用不能になってから2日後の17日にようやくテラスが対応。同日午後7時頃にテラス社の顧客対応責任者トニー・ジェハラン氏がツイッターに動画を掲載。一連の不具合について謝罪した。

 動画では「迷惑をかけていることについて申し訳なく思う」と述べ、現在技術者が24時間体制で復旧作業に当たっている、我々はできる限りの手を尽くして対応していくと語っている。

 しかし、この謝罪についても広報と弁護士が作成した原稿を読んでいるだけで全く悪いと思っている感じがないと批判の声が上がっている。

 19日になっても事態は改善せず、17日から臨時にウェブメールで対応できるものの多くの利用者が不便を強いられている。

 19日午後にはジェハラン氏が声明を発表。影響を受けている利用者に48時間以内に利用料金の一部返金を実施すると明らかにした。「今回の件で利用者が被った甚大な不便さについて申し訳ないと思っている」と改めて声明で謝罪している。

 これほどまで回復が長引いている理由について、サービス更新中の8月15日早朝にテラスが契約しているクラウドプロバイダーのデルEMCが、テラスの電子メールシステムをオフラインにしたことが原因と説明している。

 

2019年8月22日 第34号

 カナダの環境保護団体がカナダ選挙管理委員会に選挙期間中の「気候変動は事実」という主張は、政党支持的行為とみなされる可能性があるとの注意を受けていたことが19日分かった。

 環境保護団体は、気候変動は大多数の科学者たちによって現実的にこの地球上で起こっていることとの認識がなされている中で、今回の選管委の対応は納得いかないと憤慨している。

 選挙法によると、第三者機関による広告が政党や候補者が掲げる政策や課題を選挙期間中に主張したり推薦したりした場合は、たとえ政党名や候補者名を出していなくても政党支持的行為とみなされる可能性があると決められているという。もし自分たちの主張を広告で示す場合には最低500ドルの費用がかかり、その場合選管委に登録しなければならない。この第三者機関には環境保護団体などが含まれる。

 今回の「気候変動は事実」という主張が政党支持的行為に当たるという根拠について選管委は、今秋実施される総選挙でカナダ国民党マキシーム・ベニエ党首が気候変動の正当性について懐疑的な見方を示しているためで、気候変動は事実という主張はカナダ国民党以外の党を支持しているとみなされる可能性があるとしている。

 候補者擁立を目指している連邦6政党のうちカナダ国民党以外の5党は、気候変動は現実で早急な対応が必要な緊急事態であり、原因は人間活動との見方を示している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。