2019年8月15日 第33号

 党首討論会検討委員会は12日、今年の総選挙を前に連邦政党の党首による討論会に参加可能な党を発表した。現在連邦議会に議席を持つのは6政党。その中でカナダ国民党のみ、党首討論会への参加ができない可能性が出てきた。

 検討委員会は、党首討論会へ参加できる党の条件として3条件のうち2つを満たすことを必要としている。

 3条件とは、その党として当選した議員が最低1人はいること、今年10月の総選挙に全選挙区の90パーセントに候補者を擁立すること、最後は、前回の2015年選挙で4パーセント以上の得票率を獲得したか、もしくは今年の選挙で議席を獲得する「正当な可能性」があることとしている。

 自由党、保守党、新民主党(NDP)、グリーン党、ケベック連合党は、これらの条件を満たしているとして各党首が党首討論会に参加することができると発表している。

 この中で最も議席が少ないグリーン党は、委員会によれば党首がグリーン党として議会に当選していること、今年の選挙で90パーセント以上の選挙区で候補擁立が可能なことで条件を満たしているという。現在グリーン党は2議席を確保している。

 一方で、カナダ国民党のマキシーム・ベニエ党首は、前回選挙で保守党として当選。その後、保守党党首選に敗れカナダ国民党を結成したため、カナダ国民党として当選した議員がいない。さらに、今年の選挙で議席を獲得する可能性が極めて低いとして2つ以上の条件を満たさないため、このままでは党首討論会には参加できないとの決定になったと説明している。

 ただ今回の発表が最終決定ではないため、状況が変わればベニエ党首の参加の可能性もあるとしている。

 党首討論会は、10月7日に英語で、10月10日にフランス語で実施される。

 

2019年8月15日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの北約70キロメートルにあるスコーミッシュで10日未明、観光名所の一つであるロープウェイのワイヤーロープが切れ、吊り下げられていた30台のゴンドラが地上に落下した。

 2014年にオープンしたシー・トゥー・スカイ・ゴンドラは、リゾート観光地ウィスラーへ向かう高速99号線脇にある地上駅から、標高885メートルにあるサミット・ロッジ駅を約10分で結ぶロープウェイ。ここから見下ろすハウ・サウンドの景色や、その先のいくつもの登山道などが人気となっている。

 開業当初は20台だったゴンドラは、今年6月に10台が追加され、輸送能力が強化されたばかりだった。

 ワイヤーロープが切れたのは、当直の職員によると午前4時頃とみられる。ゴンドラの定員は8人なので、ロープウェイ全体では最大240人の利用客が乗れることになるが、事故が起こったのは営業開始前だったため、けが人などは出なかった。また付近でキャンプをしていた人も、この時間に金属が擦れ合ったりぶつかり合ったりするような大きな音を聞いている。

 ロープウェイを支えるワイヤーケーブルは、元となる鋼線をよって束ねたストランドと呼ばれる束を6つ、中心となる心鋼のまわりにより合わせたもので、直径は55ミリ。ロープウェイ運営会社ジェネラルマネジャーのカービー・ブラウンさんは、このロープは通常の運行のほか、想定される気象条件に耐えられるものだと取材に説明している。また、つい最近行われた定期検査でも、全く異状はなかったと付け加えている。

 現場検証を行っているカナダ連邦警察(RCMP)は、BC州労働基準監督署(WorkSafe BC)や産業保安監督局(Technical Safety BC)と協力して、ワイヤーロープが何らかの損傷から破断したのか、それとも何者かが故意に切断したのか調査を進めている。現在のところRCMPは、故意に切断されたものとして、犯罪として捜査を進めている。

 この事件による運営会社の損害は、施設だけで100万ドルを超えるとみられている。さらに捜査が長引いた場合、運営再開までにどれくらいかかるかもわからず、その期間の運用益の損失も加わってくる。

 なお同ロープウェイでは、開業直前の2014年2月、無人のゴンドラがワイヤーロープから脱落、地上に落下する事故が起きている。

 

2019年8月15日 第33号

 サスカチワン州ムースジョー市のジェーソン・ゴーシエーさんは、かつては薬物中毒、精神障害、そしてホームレスという悲惨な状態にあった。

 一時はそこから抜け出したものの、昨年のバレンタインデーにパートナーと別れてから、再びホームレスに近い状態に戻ってしまった。途方に暮れていたゴーシエーさんに救いの手を差し伸べた人は、「誰かを助けること」と、彼にアドバイスした。

 やがて彼は同市でストリート・カット・バーバーを開き、隔週で日曜日にホームレスのための無料散髪を始めた。ゴーシエーさんがかつてホームレスだった頃、彼を信じて住む場所を提供したり散髪をしてくれた人々がいた。そして今度は自分が散髪を通じて、その役を果たそうとしている。

 パートナーのエイミー・マクリーンさんと共に町を歩き、路上にいる人に散髪が必要かどうか聞いて回るゴーシエーさん。彼は最初、この活動をアルバータ州カルガリー市で始め、その後ムースジョー市に移った。ストリート・カット・バーバーはこのほか、米ノースカロライナ州とイギリスにも支部がある。

 そんな彼らのこれからの夢は、カナダを横断しながらあちこちの町に2〜3日滞在し、ホームレスなどに散髪を行い彼らの手助けをすることだと語っている。

 ヘアスタイルは人それぞれ違うが、散髪は外見を変えるだけではなく、その人に力を与えると、本人も無料散髪を受けたことがあるドニー・ビズコさんは語る。

 そしてゴーシエーさんのさらなる目標は、人々のホームレスに対する見方を変えることだ。道行く人は、ホームレスの置かれた状況を知らない。もっと彼らに優しく接してほしいとゴーシエーさん。できることならば、この活動が野火のように広がり、ホームレスという否定的なレッテルを、彼らから消し去れることを願っている。

 

2019年8月15日 第33号

 低価格航空会社は、機内サービスのほとんどを有料化することで航空運賃の低価格化を実現している。しかしオンタリオ州ゲレフに住む男性は自分の経験から、それが航空会社としてあるべき姿かと問いかけている。

 ウェイン・フェルナンデスさんは先月、LCCのひとつスゥープ航空を利用して、オンタリオ州ハミルトンから米ネバダ州ラスベガスへ飛んだ。5時間あまりのフライト中に水を一杯頼んだフェルナンデスさんは、キャビンアテンダントから水も有料であることを伝えられた。

 水にお金を使うことをよしとしなかったフェルナンデスさんは代わりに、コップいっぱいの氷を頼み、それが解けるのを待って喉を潤した。しかし彼は、水はトイレットペーパーなどのように必需品として無料にすべきではないかと、メディアに話している。

 この件についてのメディアからの質問に対しスゥープ航空は、自社の航空運賃にはサービス料金や商品価格を含めず、これらを別個の有料体系とすることで、利用客が必要とするものだけにお金を払うことを可能にしていると回答している。有料商品にはスナックや食事、アルコール、ノンアルコール飲料などがあり、水も例外ではないと付け加えている。

 その上で同航空会社の利用客には、登場前に空のボトルを用意しておき、手荷物検査場を通過した後に水を汲んで持ち込むことを奨励している。

 カナダ運輸省は、フライトの遅延や欠航、搭乗できない場合には無料で食事と飲み物を提供することを義務付けているものの、通常時に水を無料で提供べきかどうかについては、明確な指針は示していない。なお2013年にはノルウェーのLCCが、批判を受けて水を無料化したケースがある。

 

2019年8月15日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部に住む母親が、軍の青少年訓練プログラム(カデットプログラム)への参加条件として、男子ならば短髪であることを求めるのは性差別にあたるのではないかと、疑問を投げかけている。

 この母親は、同州内陸部最大の都市カムループスと、その東約80キロにある1万7700人ほどの町サーモンアームの中間にある町シュスワップに住むデニ・ヒックマンさん。息子のゲリットさんは昨年、7年生の時にサーモンアームの空軍カデット部隊のプログラムに参加した。

 自分の長髪がお気に入りのゲリットさんは、『男子は短髪であること』という参加条件の例外を認めてほしいと嘆願した。この時はそれが認められ、彼は髪を切ることなくプログラムに参加できた。ただしカデットの制服を着用中は、長髪の女子に適用される規程ー三つ編みにした上で、後ろに巻き上げるーに従わなければならなかった。それでも、特例が認められたことに安堵したと、ヒックマンさん。

 しかしバンクーバー島にある軍の基地エスキモーで行われる夏期訓練プログラムへの参加が決定したことを受け、彼女が国防省に送った同様の嘆願書は、今回は却下されてしまった。

 床屋で髪を切っている間、ゲリットさんは一度も鏡を見なかったと、その時の様子を語るヒックマンさん。切り終わると彼は一言「ありがとう」とだけ言って床屋を後にした。ヒックマンさんは、息子はカデットプログラムの容姿規程に違反しているわけではなく、ただ男であるというだけで長髪が認められなかったとし、カデットプログラムがこの点を改善することを望んでいる。

 一方、カデットプログラムを監督するブラッド・ヘンダーソン大将は、ゲリットさんの行動は、組織への積極的参加を奨励するカデットプログラムの好例だと語っている。彼は、これは自身の信念から進んで起こした行動で、規律に従い、また自らの要望に対する軍からの回答に従おうとした積極的な姿勢は賞賛に値すると付け加えている。その上でカデットプログラムの容姿規程は、カデット隊員全員が基準を満たすことで、彼らの帰属意識を高めることになると説明している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。