2019年8月15日 第33号
オークションに出品された、世界でもっとも希少なスニーカーのひとつを、オンタリオ州トロントに住むビジネスマンが55万ドルを超える値段で競り落とした。
この男性は、トロントのピアージ・キャピタルの創設者で最高経営責任者をつとめるマイルス・ナダルさん。彼が落札したのは、オークション会社大手のサザビーズに出品された、1972年製のナイキ・ワッフル・レーシング・フラット・ムーン。ナイキの共同創立者ビル・ボウワーマンさんが、その年に開催されたミュンヘンオリンピックに出場した選手のためにデザインしたスニーカー。サザビーズによると、ほんの12足しか製造されなかった上に、未使用の状態で現存しているのは、この一足だけとのこと。その靴底の四角いサイコロ状のパターンを形成するために、ワッフルメーカーが使われたといわれている。
世界新記録となった55万ドルという価格は、予想落札価格の約3倍だった。しかしナダルさんはこのオークションで、他に99足のレア物スニーカーも落札し続けていた。ナダルさんは最初、レア物スニーカーシリーズとして出品されていた100足全部を、まとめて買い付ける意向をサザビーズに申し出ていた。しかしオークション会社側が、ナイキの競争用スニーカーだけは公開入札にすることとしたため、今回の落札となった。ちなみに、他の99足にナダルさんが払った額は100万ドルを超えていた。
ナダルさんはこれらのスニーカーを、自身のクラシックカーのコレクションなどを展示している、トロントの自家用博物館に飾る予定だと語っている。彼はこの博物館を友人や家族の他、リクエストがあればチャリティー目的で公開するとしている。
過去に落札されたスニーカーで最高額をつけたのは、バスケットボール選手のマイケル・ジョーダンさんが1984年のロサンゼルス・オリンピックの決勝戦で履いていたもの。本人のサイン入りで2017年にオークションに出され、落札価格は25万ドルだった。
2019年8月15日 第33号
カナダで最も知名度が高い社会派雑誌マックリーンズが毎年発表しているカナダ国内のベストシティランキングが今年も8日に発表された。
カナダ国内の大小合わせて415都市を対象に、経済、人口増加、税金、通勤通学、犯罪、気候、ヘルスケア、文化、施設、そして生活水準に見合った価格設定の項目で調査された結果を基に順位が算出されている。
今年のベストシティに輝いたのは、オンタリオ州バーリントン市。次いで同州グリムスビー、3位は同州オタワとなった。
ブリティッシュ・コロンビア州でトップとなったのは内陸部のサーモン・アーム市。トップ10をオンタリオ州が独占する中で、BC州から唯一トップ10入りした。
ベストシティといえば、バンクーバーは毎年イギリスの雑誌が発表する世界で最も住みやすい町ランキングで常にトップ3となっているが、最近は高騰する住宅事情もあり世界トップ3に疑問の声がバンクーバー市民から上がることもあった。
マックリーンズの調査では、価格設定も調査項目に含まれているため、全国で不動産が高騰している都市は順位が下がっている。
その筆頭がバンクーバー市で、415都市中112位となった。通学通勤の交通手段や文化、施設で高いスコアだったが、住宅価格が順位を大幅に引き下げた。
BC州では、ウエスト・ケローナ12位、オークベイ15位、ネルソン18位がトップ20に入った。
メトロバンクーバーの各都市では、ラングフォード38位、ウエストバンクーバー42位、デルタ59位、ノースバンクーバー75位がトップ100入りした。
その他のBC主要都市は100位圏外で、バンクーバー112位、サレー140位、コキットラム142位、リッチモンド173位、バーナビー175位、ラングレー市は366位と下位に沈んだ。
カナダの主要都市では、オンタリオ州トロント19位、アルバータ州カルガリー33位と上位にランクインしたが、ケベック州モントリオールは296位と沈んでいる。
州別では、オンタリオ州でトップ50に28都市がランクイン、次いでBC州16、アルバータ州3、ケベック州2、サスカチワン・マニトバ州で1都市。マックリーンズによると、両州共に経済が好調なこと、気候が良いことが挙げられるという。オンタリオ州は病院の待ち時間が国内で最も短く、トロント以外では犯罪率が低いことが、BC州では所得税、州税が低いことが上位ランクインの理由と説明している。
2019年8月8日 第32号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で8月4日に開催されたLGBTQ(性的少数派)コミュニティーの祭典プライドパレードに、連邦政党3党首が参加した。
参加したのは、自由党ジャスティン・トルドー首相、新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首、グリーン党エリザベス・メイ党首。
今年は10月に総選挙が行われるため、各党ともすでに選挙戦モードに突入しているが、この日は3人揃って一緒にパレードに参加した。バンクーバー市ケネディ・ストゥワート市長も連邦議員としてではなく、市長として首相らとともにパレードした。
トルドー首相は、「こういう時に一緒になって参加するということに非常に意味がある」と語り、「人権のために、これまで社会から除外されてきたコミュニティーのために、立ち上がることが必要」と参加する意義を語った。
メイ党首は「これがカナダ。自由党の首相、NDPのジャグミード・シング党首、グリーン党の私が一緒に行進する」と語り、これから選挙戦に入り議席を争うことになるが、カナダにとって大切なことは協力する、それは党派を超えたことであり、これがカナダとしてのアイデンティティと語った。
シング党首は、こうして3党の党首が肩を並べてプライドパレードに参加するというのは、カナダの性的少数派コミュニティーへの団結を示すものと語り、しかし政策はそれを超え国民が祝福しあうものでなければならないと語った。
3党の党首が揃ったパレードだったが、保守党のアンドリュー・シェア党首だけは参加しなかった。保守党広報は、保守党は全てのカナダ国民の人権と安全のために努力しているし、その中にLGBTQコミュニティーも含まれているとの声明を発表したが、シェア党首の欠席については説明しなかった。プライドパレードは全国各地で開催されているがシェア党首は参加していない。
トルドー首相は、アンドリュー・シェア党首も今日ここで一緒に行進して性的少数派であるために差別を受けている子供や若者に向けてメッセージを贈ってもらいたかったと語った。
2019年8月8日 第32号
カナダ環境省は山火事が発生したブリティッシュ・コロンビア(BC)州オカナガン地方で、煙の影響で大気が悪化しているとして市民に6日に注意報を発令して注意を呼びかけた。
対象となっているのはオカナガン地方の南部でペンティクトン、サマーランド、ナラマタ、ケレメオス、オリバー、オソヨース。
5日にはこの辺りの約200軒を対象に避難注意も発令され、いつでも避難できるように準備をしておくように促した。
BC山火事局によると、現在約100人、ヘリコプター8機、消防飛行機2機が出動して消火活動に当たっているという。
昨年は山火事が多く発生したが、今年は現在まで比較的少ない。昨年の8月5日時点では山火事で焼失した面積は970平方キロメートルだったが、今年は現在まで144平方キロメートルに留まっていると発表している。
BC州では今週は気温が上昇する予報が出ていることから、注意報対象地区の市民は注意するよう呼びかけている。
2019年8月8日 第32号
カナダ政府デイビッド・ラメッティ法務相は8月1日、ケベック州モントリオールで会見し、マリファナ所持の犯罪歴を消滅させる恩赦の手続きを同日から実施すると発表した。
カナダは昨年10月に先進国では初めて嗜好用マリファナ使用の全面合法化を実施。マリファナ使用が犯罪ではなくなった。
自由党政権ジャスティン・トルドー首相は2015年総選挙時に、マリファナの合法化と合法化後のマリファナ恩赦を公約としていた。
マリファナの使用が合法化されて以降、それまでにマリファナ所有で有罪判決を受けた人々への恩赦について焦点となっていた。背景には、白人の所有は見逃される場合は多く、黒人や先住民族には有罪判決が下りるという人種差別がある。
ラメッティ法務相は、多くのカナダ国民、特に黒人や先住民族コミュニティーでマリファナが違法だった当時の制度の影響を受けてきたと述べた。法務相によると、これまでの制度では5年が経過しなくてはマリファナ恩赦申請できず、631ドルを支払わなくてはならなかったという。今回の改正では同日から無料で申請することができる。法務相は「(マリファナ)犯罪歴を持った人々がようやくその重荷から解放され、新たな人生を歩み出すことができる」と述べた。
マリファナ所持の犯罪歴がある場合、アメリカへの入国が拒否されるため、法務相は今回の措置では申請者のマリファナ所持歴がカナダのデータベースから削除されるためアメリカ入国も可能になるとの見解を示している。
8月1日から恩赦への申請ができるのは、犯罪歴がマリファナ所持のみの国民となっている。