2019年8月8日 第32号
ケベック州でクレジットカードの最低支払額を2パーセントとする法律が8月1日から施行された。
2017年に自由党政権が可決した法案で、毎年0・5パーセント引き上げられ、最終的には5パーセントになるとしている。
導入された背景には、増え続ける州民の負債額がある。クレジット・カウンセリング・ソサエティによれば、カナダ全体でクレジットカードやその他のローンによる負債額は1人平均約2万2千ドル。これらには住宅ローンは含まれていない。
さらに、ケベック州によると同州では支払不能となり個人破産する人が他州よりも多いという。そのため、返済額の最低額を引き上げ、無理なくクレジットカードを利用することを促す目的があるとしている。
ケベック州では、オンラインで最低支払額が計算できるサイトを設け、負債額から完済年数も計算できるため、州民に利用するよう呼びかけている。
2019年8月8日 第32号
カナダ外務省は5日、中国で拘束されているカナダ人男性マイケル・コブリグさんとカナダの領事が面会したことを明らかにした。面会での内容は公表されないとしながらも、基本的には健康状態やカナダからの支援などを確認したとしている。今回でカナダ外交官がコブリグさんと面会するのは10回目となる。
中国では現在、コブリグさんのほかにマイケル・スパヴァーさんも拘束されている。2人とも昨年12月にスパイ活動の疑いで拘束された。その直前にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で中国通信大手ファーウェイの孟晩舟CFOがアメリカの要請によりカナダ当局によって拘束されている。カナダ人男性2人の拘束は、その報復とみられている。
クリスティア・フリーランド外務大臣は6日、イギリスのドミニク・ラーブ外務大臣をオンタリオ州トロントで迎え会談した後に記者会見に臨み中国との関係に言及。やや進展はあったものの相変わらず厳しい状況との認識を示した。
フリーランド外相は7月31日からタイのバンコクで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議への出席のために訪問していたバンコクで中国の王毅外相と話したと述べ、拘束されている2人のカナダ人についても言及したと語った。王外相とは今後も話し合いを継続するための窓だけは開けておくことで同意したとも語った。
イギリスはこの件に関してカナダを支持する立場を表明している。
2019年8月8日 第32号
総選挙前では最後になる各党の個人献金状況報告書が7月31日、カナダ選挙管理委員会から発表された。
トップは保守党で、今年第2四半期の調達額は約850万ドル、個人献金件数は5万3千件。今年1月からの6カ月ですでに1650万ドルを集め、打倒自由党政権に向けて順調に資金調達が進んでいることが明らかになった。
政権維持に向け必死の選挙戦となる自由党は、第2四半期の献金額は約500万ドル、個人献金件数は4万1千5百件。1月からの6カ月では890万ドルだった。
保守党は前回総選挙があった2015年の1月から6カ月間の同党の献金額も上回っている。潤沢な資金を使って選挙戦で打倒ジャスティン・トルドー自由党を展開することが予想される。
新党首になって苦戦している第3党の新民主党(NDP)は、第2四半期は140万ドル。第1四半期の120万ドルよりやや増加したものの相変わらず献金額で苦戦している。
一方で急上昇を見せているのがグリーン党。議席数わずか2というグリーン党の第2四半期の献金額は140万ドルとNDPと同額。第1四半期の78万ドルを大きく上回った。今年の春頃からグリーン党旋風が巻き起こり、総選挙でも台風の目になるのではと予想されている。
ケベック州でのみ連邦議員を擁立するケベック連合党も献金が急増している。第2四半期は51万ドルで第1四半期の21万ドルの2倍以上となった。ケベック連合党の支持次第ではケベック州での票の流れが大きく変わるため、注目を集めている。
2019年8月8日 第32号
カナダの石油会社ビッグ3が8月1日、国内の英語、フランス語を含めた約30社の新聞社に全面広告を掲載した。国民に向けて政党関係者に石油産業を支援するよう訴えてほしいという内容だった。
全面広告を掲載したのは、カナディアン・ナチュラル・リソース、セノヴァス・エナジー、MEGエナジーの3社、最高経営責任者の連名で掲載された。
広告は国民に向けた公開書簡で、石油産業といえども温室効果ガス排出量の削減は必要との意見を示し、これまでの20年間で1バレルに対し排出係数を30パーセント削減していると主張した。環境に配慮した石油生産によるカナダの石油産業こそが、この業界で世界をリードすることができると議員や政党に意見をしてほしいと訴えている。
ただ石油産業にとって有利な政党を選んでほしいという主張はしていない。今回の広告掲載の目的は、総選挙を前にこの夏は政党関係者が国民との接点を持つ機会が多いと予想されることから、国民に直接訴え、一人ひとりに石油産業のことを考えてもらうこととしている。
今回の広告に他の大手石油会社、サンコア・エナジー、インペリアル・オイル、ハスキー・エナジーは参加していない。
2019年8月8日 第32号
ブリティッシュ・コロンビア州ホワイトロック市のセミアムー公園で4日、線路上の飼い犬を助けようとした58歳の男性が、貨物列車にはねられた。
同公園は海岸に広がる砂浜で、四季を通じて多くの人が訪れる人気スポット。当日もイベントが開催中だった。事故が起こったのは、海岸に平行して走る線路の踏切で、午後1時頃のことだった。
貨物列車は、アメリカの鉄道会社バーリントン・ノーザンサンタフェ鉄道(BNSF)が運行していた原油タンクの列車。男性は他の人と一緒に線路を渡ったあとに、自分の犬がいないことに気がついた。犬はリードにはつながれておらず、線路の真ん中にとどまり、何かを嗅ぎ回っていたようだったと、現場に居合わせた人が取材に語っている。男性は最初犬を呼び寄せようと叫んだものの、犬は聞こうとしなかったため線路に戻り連れ出そうとしたが、さらに犬は抵抗していたという。
男性は列車の接近に気づいていたが、最後まで犬を連れ出そうとしていた。そして列車にひかれる寸前に犬と共に線路脇に逃れようとしたが、先頭の機関車の角に体がぶつかり弾き飛ばされた。瞬間を目の当たりにした人によると、あと1秒でも遅ければ、機関車の正面にぶつかり大事故になっていただろうとのこと。男性は肋骨の骨折と、肺にも損傷を受けた可能性がある重傷で、病院に搬送された。なお男性が助けた犬は無事だった。
この事故を受け鉄道会社は、列車がいつでも、接近する可能性があることと、急ブレーキをかけても停止まで相当な距離がかかることを理解するよう、呼びかけている。しかし同公園の利用者の中には、貨物列車が減速しないことに疑問を呈す人もいる。ダニエル・ストーンさんは、事故現場のすぐ北側、ホワイトロック桟橋へ向かう道にある踏切を列車がかなりのスピードで通過するのを見たことがあると、取材に話している。その時には、遮断機もまだ下りきっていないうちに列車が通過し始めたという。歩行器を使っていた老人などは、列車が通過する寸前にようやく踏切を渡り終えることができ、警報器や遮断機が通行人の安全を確保するのに十分な間合いを取れていないと指摘していた。
鉄道会社は、社内の信号関係を担当する部署と連絡を取り、踏切の調査を行う予定としている。