2019年8月8日 第32号
ブリティッシュ・コロンビア州ホワイトロック市のセミアムー公園で4日、線路上の飼い犬を助けようとした58歳の男性が、貨物列車にはねられた。
同公園は海岸に広がる砂浜で、四季を通じて多くの人が訪れる人気スポット。当日もイベントが開催中だった。事故が起こったのは、海岸に平行して走る線路の踏切で、午後1時頃のことだった。
貨物列車は、アメリカの鉄道会社バーリントン・ノーザンサンタフェ鉄道(BNSF)が運行していた原油タンクの列車。男性は他の人と一緒に線路を渡ったあとに、自分の犬がいないことに気がついた。犬はリードにはつながれておらず、線路の真ん中にとどまり、何かを嗅ぎ回っていたようだったと、現場に居合わせた人が取材に語っている。男性は最初犬を呼び寄せようと叫んだものの、犬は聞こうとしなかったため線路に戻り連れ出そうとしたが、さらに犬は抵抗していたという。
男性は列車の接近に気づいていたが、最後まで犬を連れ出そうとしていた。そして列車にひかれる寸前に犬と共に線路脇に逃れようとしたが、先頭の機関車の角に体がぶつかり弾き飛ばされた。瞬間を目の当たりにした人によると、あと1秒でも遅ければ、機関車の正面にぶつかり大事故になっていただろうとのこと。男性は肋骨の骨折と、肺にも損傷を受けた可能性がある重傷で、病院に搬送された。なお男性が助けた犬は無事だった。
この事故を受け鉄道会社は、列車がいつでも、接近する可能性があることと、急ブレーキをかけても停止まで相当な距離がかかることを理解するよう、呼びかけている。しかし同公園の利用者の中には、貨物列車が減速しないことに疑問を呈す人もいる。ダニエル・ストーンさんは、事故現場のすぐ北側、ホワイトロック桟橋へ向かう道にある踏切を列車がかなりのスピードで通過するのを見たことがあると、取材に話している。その時には、遮断機もまだ下りきっていないうちに列車が通過し始めたという。歩行器を使っていた老人などは、列車が通過する寸前にようやく踏切を渡り終えることができ、警報器や遮断機が通行人の安全を確保するのに十分な間合いを取れていないと指摘していた。
鉄道会社は、社内の信号関係を担当する部署と連絡を取り、踏切の調査を行う予定としている。