2019年8月15日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部に住む母親が、軍の青少年訓練プログラム(カデットプログラム)への参加条件として、男子ならば短髪であることを求めるのは性差別にあたるのではないかと、疑問を投げかけている。

 この母親は、同州内陸部最大の都市カムループスと、その東約80キロにある1万7700人ほどの町サーモンアームの中間にある町シュスワップに住むデニ・ヒックマンさん。息子のゲリットさんは昨年、7年生の時にサーモンアームの空軍カデット部隊のプログラムに参加した。

 自分の長髪がお気に入りのゲリットさんは、『男子は短髪であること』という参加条件の例外を認めてほしいと嘆願した。この時はそれが認められ、彼は髪を切ることなくプログラムに参加できた。ただしカデットの制服を着用中は、長髪の女子に適用される規程ー三つ編みにした上で、後ろに巻き上げるーに従わなければならなかった。それでも、特例が認められたことに安堵したと、ヒックマンさん。

 しかしバンクーバー島にある軍の基地エスキモーで行われる夏期訓練プログラムへの参加が決定したことを受け、彼女が国防省に送った同様の嘆願書は、今回は却下されてしまった。

 床屋で髪を切っている間、ゲリットさんは一度も鏡を見なかったと、その時の様子を語るヒックマンさん。切り終わると彼は一言「ありがとう」とだけ言って床屋を後にした。ヒックマンさんは、息子はカデットプログラムの容姿規程に違反しているわけではなく、ただ男であるというだけで長髪が認められなかったとし、カデットプログラムがこの点を改善することを望んでいる。

 一方、カデットプログラムを監督するブラッド・ヘンダーソン大将は、ゲリットさんの行動は、組織への積極的参加を奨励するカデットプログラムの好例だと語っている。彼は、これは自身の信念から進んで起こした行動で、規律に従い、また自らの要望に対する軍からの回答に従おうとした積極的な姿勢は賞賛に値すると付け加えている。その上でカデットプログラムの容姿規程は、カデット隊員全員が基準を満たすことで、彼らの帰属意識を高めることになると説明している。

 

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