2019年8月29日 第35号
ケベック州では公的機関で働く職員に宗教的シンボルの着用を禁止する条例が今年議会で可決された。一般に世俗主義法といわれる条例で、公立学校教師、警察官、政府弁護士、裁判官などに、イスラム教のヒジャブやシーク教のターバン、ユダヤ教のキッパ、キリスト教の十字架などを身に着けて職務に当たることを禁止している。ただし条例が施行される前にその職に就いていた場合は対象外となる。
教師を目指して大学を卒業したばかりのアムリット・カーさんは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で教師の職を得てケベック州から移住してきたとCBCのインタビューに答えている。カーさんはシーク教信者で女性だがターバンを巻いている。これはカーさんにとって男性と平等であるというシンボルであり、自身のアイデンティティと語っている。しかしカーさんのような信者は、ケベック州では教師をあきらめるか、ターバンを外すかの二者択一を迫られる。そこで出身地のケベック州を離れてターバンを身に着けたまま教師ができるBC州を選んだと語っている。
この世俗主義法は保守派CAQ政権の選挙公約でもあり、自由党政権時代からケベック州で導入が試みられてきた。しかしケベック州以外からは差別的条例として批判の声が上がっている。
BC州では教師不足もあって、この法案が可決された直後からケベック州からの教師を歓迎すると呼び掛けていた。
カーさんは今年9月から、サレー市の学校で教師として第1歩を踏み出すと語っている。