2019年9月12日 第37号

 カナダ政府が5日、ようやく在中国カナダ大使を任命した。緊張関係が続くカナダと中国の関係修復を任されることになったのは、ジャスティン・トルドー首相が信頼する経済顧問のドミニック・バートン氏。

 「在中国カナダ大使に任命され光栄です。カナダと中国の関係は非常に重要なものであり、カナダという素晴らしい国を代表し、現在の厳しい状況を打開するために尽力したい」との声明を発表した。

 バートン氏は経済に精通しているだけではなく、中国に滞在した経験があるという。コンサルタント会社マッキンジーの役員として2004年から2009年に上海に滞在していた経験がある。同社は昨年退社している。中国語は話せないが、中国政府に近い関係者とのパイプがあるという。

 トルドー首相は「アジアでの経験があり、世界経済の専門家として評価が高いバートン氏は適任」と声明を発表した。クリスティア・フリーランド外相は両国間の関係が厳しい現状の中で、トルドー首相と直接つながっている人物が選ばれたということを中国側が分かっていることが重要と話した。

 中国政府はバートン氏の任命を承認すると発表した。 カナダと中国は、カナダ当局が昨年12月にアメリカの要請で中国通信大手ファーウェイの孟晩舟CFOをブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で拘束して以降、硬直状態が続いている。

 昨年12月には中国でカナダ人男性2人が拘束され、今年に入ってからは中国がキャノーラ製品、精肉製品のカナダからの輸入を停止。カナダの生産者に大きな打撃を与えている。それでも中国が姿勢を軟化させる様子はなく、カナダの関係者からはようやく決まったカナダ大使に期待の声が上がっている。

 カナダは今年1月、孟CFO拘束問題について不適切な発言をしたとして、ジョン・マッカラム前在中カナダ大使を解任。以降、大使不在のまま自由党政権は中国との修復関係を模索していた。

 一方で中国も空席だった在カナダ中国大使を数日前に発表。6日、フリーランド外相はカナダが新しい中国大使を承認すると発表。前日のカナダ大使の任命に続き、両国がお互いの大使を承認したことで、中国・カナダ関係にとって「前向きな第一歩となる」と語った。

 ただ中国側は、カナダと中国の関係が硬直している要因はすべてカナダ側にあるとの認識を強調している。

 

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