2019年11月14日 第46号
総選挙を終え、新内閣で臨む国会は12月5日再開されることが12日発表された。選挙後初めて当選した議員が顔を合わせることになる。
まずは議長を選出し、次いでカナダ総督ジュリー・パイエッテ氏が、与党自由党が用意した議会開会の式辞を上院で読み上げる。
今回の議会開会の式辞では、自由党が選挙戦で公約とした政策が含まれると予想されている。自由党は、気候変動対策、銃規制、ファーマケア、そして生活にゆとりを取り戻すアフォダビリティ政策、中間層への減税を公約として掲げていた。
ただ今回は少数派政権ということで、式辞内容を承認されるには野党の協力が必要となる。
ジャスティン・トルドー首相は、この日野党第一党保守党アンドリュー・シェア党首と会談した。会談前にトルドー首相は、国民は先月の選挙で党が協力して政策を進めることを選んだと語り、「それをこれから実行していきたいと思う」と語った。
会談は約30分で終了。シェア党首は会談後記者団に対し、式辞を承認するかは内容次第と語った。保守党の声明によると、シェア党首は会談の中で保守党の要求を伝えたという。内容は、天然資源産業の発展のための研究機関を設置すること、妊婦への税免除、背任行為への罰則の厳罰化、環境規制の無効化などだったと発表している。
現在の座席状況では、野党全党が組めば自由党への不信任を可決できる。しかしシェア党首は、野党の他の党首と会談する予定は今のところないと語った。
トルドー首相は14日には新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首と会談する予定と首相事務所が発表している。保守党よりも政策的に近いNDPの支持が受けられるかがトルドー首相にとっては重要となる。
現在の議席数は、自由党157、保守党121、ケベック連合党32、NDP24、グリーン党3、無所属1となっている。
2019年11月14日 第46号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州メトロバンクーバーで実施されているバス運転手らによるストライキから13日目にようやく労働組合と会社側が話し合いを再開すると13日に発表した。
メトロバンクーバーの公共交通機関トランスリンクのバス部門コースト・マウンテン・バスカンパニー(CMBC)と交渉を続けていたバス運転手や、メンテナンス職員で構成する労働組合ユニフォが、ストライキに入ったのが11月1日。以降、対決姿勢を強めていたが、12日に記者会見し13日から交渉を再開すると発表した。
CMBCは組合の発表を歓迎するとの声明を発表。「必ず解決できる妥協点を見つけることができると期待している。公式な交渉に入るため、これ以上のコメントは差し控えたい」と語った。
現在、組合とCMBCの間には6億ドルの開きがあると発表されている。組合側は給与引き上げのほか、労働環境の改善などを要求している。
組合側は、もし交渉で納得できる提案がされず交渉が決裂すれば15日以降には、ストライキはさらに激しさを増すと釘を刺した。
交渉は13日、14日と続けられる。
BC州ジョン・ホーガン州首相は、両者が交渉のテーブルにつくことを歓迎した。
2019年11月14日 第46号
カナダ統計局は8日、10月の労働統計を発表、失業者数が1800人と発表した。カナダ労働市場の最近2カ月は8月が8万1千人、9月が5万4千人の雇用者数増加と好調だったが10月は減少に転じた。10月の失業率は9月と変わらず5・5パーセントだった。
10月は、雇用者数は減少したが時給は確実に上がっている。10月の平均時給は前年同月比で4・3パーセント上昇し、9月と同じ水準だった。
雇用者数ではフルタイムが1万6100人減少したが、パートタイムで1万4300人増加し相殺した。
業種別では製造業で2万3千人減、建設業で2万1千人減、そのほか業種の特定がないその他の業種で1万8千人減となった。一方増加したのは、行政で2万人増、金融・保健・不動産・レンタル業で1万8千人増加した。
公的機関では2万8700人増、民間で2700人減だった。自営業も2万7800人減少した。
地域別では、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州が好調で1万5千人増、ニューファンドランド・ラブラドール州でも2700人増加した。
地域別失業率は、BC州が4・7パーセントと最も低く、ケベック州が5・0パーセント、オンタリオは5・3パーセントだった。主要都市ではBC州ビクトリアが3・2パーセントで最も低く、バンクーバーは0・4パーセント悪化し5・0パーセントだった。オンタリオ州トロントは5・7パーセント、ケベック州モントリオールは5・5パーセント。アルバータ州ではカルガリーで7・2パーセント、エドモントンで7・1パーセントと相変わらず失業率が高い状況が続いている。
2019年11月14日 第46号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州でガソリン価格が他州よりも異常に高い問題で、州政府からの指示を受けて調査していたBC公益事業委員会は12日に前回報告書からの継続調査の結果を報告した。
前回調査では、BC州のガソリン価格にその必要性が説明できない1リットルに付き13セントが含まれていたことを報告したが、今回の調査でも、この13セントがどこから来たものなのか結局はっきりとは報告されなかった。
BC州とくにメトロバンクーバーでは一時期1リットル1.70ドルを超える価格になったことがあった。そこでBC州ジョン・ホーガン州首相がBC公益事業委員会に調査を指示し調査が開始された。
この13セントは石油・ガス会社によるものではないかとの推測があった。それについて石油・ガス会社3社は13セントの違いは存在しないと主張している。
今回の調査報告書では13セントは、石油・ガス会社の間接費、利益、その他の提出されていない証拠とすると説明がつくと報告している。
結局、「(提出された)証拠が、決定的なものでないか、矛盾しているかのどちらかだ」と結論付けている。
1リットルにつき13セントの不明瞭なガソリン価格は、年間4億9千万ドルもBC州民が余計にガソリンを支払っていることになる。
専門家によるとBC州のガソリン価格は最も高い供給価格を基本としているため、たとえパイプラインであれ、列車であれ、アルバータ州から供給量が増えたとしても、ガソリン価格が下がるということはないと語った。
今回の報告書についてホーガン州首相は、「ブリティッシュ・コロンビア州のガソリン市場は明らかに何かがおかしい」と記者団に語った。
さらに、この件についてはジャスティン・トルドー首相に問題提起すると語り、BC州でも対策を検討すると語った。
現在ガソリン価格は8日午後に1・30ドル台に下落している。
2019年11月14日 第46号
サスカチワン州スコット・モー州首相が首都オタワでジャスティン・トルドー首相と12日会談した。
サスカチワン州は10月の連邦選挙でトルドー自由党が1議席も取れなかった2州のうちのひとつ。もう一つのアルバータ州では、西カナダ独立を希望するウエクジット運動が市民の間で起こっている。西カナダの中にはサスカチワン州も含まれている。
サスカチワン州はアルバータ州同様、天然資源産業が盛んで、今年連邦政府が強制的に導入した炭素税に猛反発。今回の会談でも、炭素税への対応とパイプライン建設などの天然資源産業活性化、公平な州への支援金分配などを訴えたとみられる。
しかし会談後記者会見したモー州首相は、内容に不満が残ることを隠さなかった。トルドー首相にはサスカチワン州民が支持する政策の選択肢を示したが、首相からそれらについて前向きに捉える発言は得られなかったと明らかにした。
「今日はサスカチワン州の産業と州民を支援するためのこれまでと違った自由党の政策について聞きに来た」と語り、違った政策を「もっと行動で示してもらいたい」と要求した。
ただウエクジット運動については、サスカチワン州はカナダ連邦としてやっていくと語った。
トルドー首相は、各州の州首相との会談を順次予定している。前週にはマニトバ州ブライン・パリスター州首相と会談。パリスター州首相は、連邦政府と他の州の保守派政権との共通点を見出すために努力することを首相に約束した。
アルバータ州、サスカチワン州、マニトバ州、オンタリオ州、ケベック州と、州政府では強硬な保守派政権が揃っている。主要な州で中道左派はブリティッシュ・コロンビア州の新民主党(NDP)政権のみとなっている。