2019年11月21日 第47号

 カナダの鉄道CNレールの労働組合チームスターズ・カナダ・レール・コンファレンス(TCRC)が19日からストライキに突入した。組合員は車掌、機関士、操車場職員ら約3200人。

 CNレールとTCRCは話し合いを続けてきたが18日午後24時の期限を過ぎたため、翌日からストライキを実行した。ただ両者は話し合いを継続しているという。

 TCRCは、長時間労働、疲労、危険な職場環境の改善を求めていると発表している。

 ストライキは、CNレールが雇用削減を発表した15日に合わせたように実施された。

 CNレールはカナダの経済を支える大動脈で、西はブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーから東はノバスコシア州ハリファックス、南はアメリカのメキシコ湾岸まで2万2千キロメートルを網羅している。カナダの農産物、天然資源、森林資源、製造業製品などのほとんどは、貨物列車で輸送され海外へと輸出されている。そのため、列車が止まるということは経済が止まることを意味する。

 ストライキへの72時間前告知が出された時点から、カナダの各産業界から懸念の声が上がっていた。そして19日ストライキ決行となり、その声はさらに強くなっている。

 特にアルバータ州は、パイプライン建設問題も絡み現在アメリカへのオイルサンド輸出は列車に頼っている。同州エネルギー・農業大臣ソニア・サベージ氏は、ジャスティン・トルドー首相にすぐに国会を再開し、強制的にストライキを終わらせるよう要請した。

 トルドー首相は12月5日に国会を再開するとすでに公表している。パティ・ハデュ労働相は19日にストライキによる影響を懸念するとの声明を発表したが、両者が合意に至ると期待していると語っている。

 

2019年11月21日 第47号

 連邦新民主党(NDP)ジャグミート・シング党首は14日、ジャスティン・トルドー首相と会談し、自由党政権との協力に前向きな姿勢を示した。

 会談後に記者会見したシング党首は、「(NDPと自由党が)協力できるチャンスがあると期待している」と語った。ただし、NDPの公約実現に向けた現実的な行動を起こすことが条件と釘を刺した。

 NDPは公約にファーマケアと気候変動問題への対策実施を掲げている。「自由党政権が法案を通すにはNDPの支持が必要となることは明らか」と語り、協力は惜しまないが「ただでという訳にはいかないことだけは明確にしておきたい」とNDPの要求への対応次第と語った。

 トルドー首相は前日にはケベック連合党イヴ−フランソワ・ブランシェット党首と会談した。ブランシェット党首は「トルドー首相が私に語ったことで分かったのは、国会内で多くの議員が協力できる要素がかなりあるということ」と語り、協力できる政策は協力するとの見解を示した。ただケベック独立派と協力できる政策は少ない。

 トルドー自由党政権は10月の選挙で過半数に届かなかったため、野党の協力が必要となる。政策的にはNDPが最も近いが、環境問題ではケベック連合党とも協力できる可能性がある。国会は12月5日に再開する。

 

2019年11月21日 第47号

 アルバータ州で盛り上がっているウエクジット運動。ついに政党として連邦選挙管理委員会に登録申請をしたことが17日に分かった。

 代表を務めるのはピーター・ダウニング氏。連邦選挙だけではなく、地方選挙にも立候補者を立てることを計画していると語っている。

 ウエクジットとは、イギリスで起こったブレクジットをヒントにした造語で、カナダの西部(ウエスト)州がカナダから独立(エクジット)することを意味する。

 10月21日の選挙で自由党はアルバータ州とサスカチワン州で議席を完全に失った。以前からアルバータ州では独立運動があったが、選挙で自由党を完全に追い出したことで勢いがついた。

 アルバータ州では、パイプライン建設による石油輸出が遅々として進まず経済が低迷していることに加えて、カナダ経済がアルバータ州の天然資源産業で支えられているにもかかわらず恩恵はケベック州やオンタリオ州などの東部州に集中していて、自分たちは損ばかりしているとの不満が噴出している。

 そこでカナダ連邦から独立しようと運動を始めたのがウエクジットで、政党をつくり自分たちの主張を国会で展開しようというもの。

 ケベック州で以前から続く独立運動のアルバータ州版だが、ウエクジット・カナダは連邦選挙だけではなく、サスカチワン州、マニトバ州、そしてブリティッシュ・コロンビア州でも州選挙に候補者を立てて戦う計画を進めていると語っている。

 同州ジェイソン・ケニー州首相は、連邦政府との対決を演出してこうしたアルバータ州民の不満を煽ってきた。基本的にはウエクジット・カナダと同様にアルバータ・ファーストを強調しているが、カナダからの独立には反対の立場を示している。

 

2019年11月21日 第47号

 カナダのウェザーネットワークは18日、この冬の長期予想を発表した。今年の冬は全国的に寒さが厳しく、大雪になるとの予測。ただし例外はブリティッシュ・コロンビア(BC)州とユーコン準州の太平洋岸で、例年よりも気温が高い冬になりそうと予想している。

 大雪の現象はすでに始まっている。先週には、オンタリオ州からケベック州南部にかけて、トロントやモントリオールの大都市でも例年よりも早い今シーズン一番の大雪に見舞われた。

 この冬はこうした傾向が続くという。特にマニトバ州から東では寒く、雪が多く、長い冬になりそうとの予測。春の訪れは早くても3月後半、もしくは4月前半と発表している。

 アルバータ州ではやや温度が例年よりも高い傾向に。雪の量は平年並みということだが、アルバータ州でも今月に入って大雪に見舞われている。

 全国で唯一温暖な冬となるBC州では、降雨量も例年より少ないと予想されている。ただ2週間ほど突然寒い冬が太平洋岸を襲う可能性があると突然の嵐に注意を促した。比較的温暖なBC州でもスキー場の雪は例年並みと予測している。

 全国的に例年よりも厳冬傾向となる背景には、北極圏の寒気の流れにあるという。例年ならば、寒気はロシアやスカンジナビア辺りにあるが、今年はヌナブト準州近くにあるという。そのためカナダの平原地帯から東部にかけて北極圏から南下する寒気のせいで寒い冬が予想されるとしている。

 一方で寒気より西にあるBC州、ユーコン準州では暖冬で、春の訪れは例年よりも早いと予測している。

 

2019年11月21日 第47号

 香港で学生によるデモ活動と警察との衝突が激しさを増す中、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)は、香港に留学中の学生に対して帰国を促していることを18日、明らかにした。

 UBCによると現在32人が香港の大学に留学中で、11人がすでにカナダに帰国、21人は香港に残っているが安全を確認しているという。

 UBCは大学生らの判断を尊重するが、大学側としては「香港を離れる」ことを勧めているとしている。必要であれば移動手段の手配も行う用意があるという。

 滞在している学生らとは連絡を続け、学生らが危険を感じるようなことがあれば、現地の滞在先大学担当部署、もしくは国際的な機関に連絡を取り、対応するよう伝えていると発表している。

 アルバータ州カルガリー大学でも、交換留学で香港に滞在している2人の学生に香港を離れるよう促していることを明らかにしている。

 

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