2016年11月10日 第46号

 アメリカ大統領選が佳境を迎えた頃、カナダ移民・難民・市民権省のウェブサイトがアクセス不能となる事態が起こった。

 アメリカでは8日、大統領選の投開票が行われ、世界中の注目を浴びる中、開票結果で共和党候補ドナルド・トランプ氏の優勢が伝えられる頃からカナダでは同省サイトへのアクセスが数時間できなくなったという。ネット上ではトランプ氏が大統領となることを嫌うアメリカ人がカナダ移民を考えてアクセスしたのではと書き込みされている。

 

2016年11月10日 第46号

 バンクーバー不動産協会は11月2日、10月の住宅販売数が前年同月比で38・8パーセント減少したと発表した。これで8月から3カ月連続で減少したことになる。

 メトロバンクーバーでは今年8月2日に海外からの住宅購入者を対象に15パーセント課税する海外住宅購入者税を導入。高騰し続ける不動産事情の背景に海外の投資家による介入があり、一般市民がすでに購入できない価格まで高騰しているとの批判があったことからブリティッシュ・コロンビア州政府が価格を抑えるための政策として導入した。

 しかし、一軒家の住宅販売数が前年同月比で54・6パーセント減少しているのに対し、ベンチマーク価格は155万ドルと前年同月比で28・9パーセント上昇している。

 一方でトロントでは、10月の住宅販売数は前年同月比で11・5パーセント上昇とトロント不動産協会が同日発表した。ベンチマーク価格は19パーセント上昇している。

 専門家の中には海外投資家がバンクーバーからトロントに市場を移したのではとの見方を示している。

 オンタリオ州政府は8日、高騰し続ける不動産市場に対し何らかの対策を講じる必要があると発表。ただBC州が導入した海外住宅購入者税を即座に検討するということはないとしている。

 

2016年11月10日 第46号

 ジャスティン・トルドー首相は3日、ケベック州で警察がジャーナリストを監視していたとする件で、「非常に危険」との認識を示した。連邦警察(RCMP)とカナダ安全情報局(CSIS)共に、そういった行為はしていないと報告を受けていると政権交代から1年の記者会見で語った。

 報道機関は民主主義において非常に重要な役目を果たしているとの認識を示し、連邦レベルにおいて報道の自由は保障されているとも語った。

 今回のトルドー首相の発言は、前週地元フランス語紙コラムニストのパトリック・ラガセ氏がスマートフォンデータをケベック州モントリオール市警察に追跡されていた事実が発覚。2日にはケベック州警察がジャーナリスト6人の電話での会話を2013年から監視していたことも明らかになった。そのため、全国のメディア関係者が警戒心を表し今回のトルドー首相の発言となった。

 CSIS長官も「そうしたことは連邦レベルでは起こっていない」と首相の言葉を繰り返した。

 しかし野党新民主党(NDP)トム・マルケア党首はこの日の国会で、以前にはオタワを拠点とする報道機関のジャーナリスト2人がRCMPに監視されていた事実があると語った。

 

2016年11月10日 第46号

 連邦政府マーク・ガルノー運輸相が、ブリティッシュ・コロンビア州北西部沿岸でのオイルタンカー航行停止を約束すると、CBCのラジオ番組ザ・ハウスで語ったとCBCが11月4日付電子版で伝えた。収録されたラジオ番組は11月5日に放送された。

 ガルノー運輸相は、自由党が約束したことであり、守るのが当然との考えを示したと伝えている。今回の航行停止はジャスティン・トルドー首相からの指示であり、漁業海洋相、環境相、天然資源相と協力して現実化するとしている。

 正式発表は年末までに行われる予定で、そうなれば保守党前政権が進めていたノーザン・ゲートウェイ・パイプライン建設計画が事実上の中止に追い込まれる。同パイプライン計画は、エンブリッジ社が手掛けるアルバータ州エドモントン近郊からBC州北西部沿岸キティマットまでオイルサンドを運ぶパイプライン建設で、キティマットからタンカーでアジア市場へと輸出される予定になっている。

 今回のガルノー運輸相の示唆でBC州北西部でのパイプライン建設には赤信号が点滅しているが、BC州沿岸が関わるもう一つのパイプライン計画キンダーモーガン・パイプライン拡張に対しては、12月19日までに承認かどうかの決定が発表されることになっている。同計画は、現在稼働しているアルバータ州からバンクーバー近郊までの既存パイプラインを拡張し、輸送量を3倍するというもの。そうなれば現在バラードインレットを航行しているタンカー数は7倍になるといわれている。バンクーバー市をはじめバーナビー市などが拡張工事に反対している。今回、ガルノー運輸相は同州北西部でのタンカー航行停止は示唆したが南部には言及していない。

 

2016年11月10日 第46号

 カナダ統計局は4日、10月の労働統計を発表。就業者数約4万4千人増と大幅増となったと報告した。失業率は労働市場への参加者が増加したことから7・0パーセントと変わらなかった。9月も約6万7千人増と2カ月連続の大幅増となった。

 ただパートタイムが約6万7千人増だったのに対し、フルタイムは約2万3千人減少したとも報告した。

 業種別では製造業が2万700人増、サービス産業が2万3400人増だった。地域別ではオンタリオ州が2万5000人増、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州1万500人増、ニューファンドランド・ラブラドール州が5600人減だった。

 地域別失業率では、ノバスコシア州が先月の8・1パーセントから7・6パーセントに、オンタリオ州6・6パーセントから6・4パーセント、ケベック州6・9パーセントから6・8パーセントと改善した。一方で、就業者数が増加したもののBC州は5・7パーセントから6・2パーセントに悪化。それでも全国で最も低い失業率となっている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。