2016年11月24日 第48号

 ジャスティン・トルドー首相は21日、ペルーのリマで行われていたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議から帰国した。同会議ではアメリカのバラク・オバマ大統領との最後の会談をし、米加両国の関係はドナルド・トランプ氏が次期大統領に就任しても変わらないとの認識で一致したと語った。

 トランプ氏はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)に反対の立場を示していて、今回の会議でもその点に首脳らの関心が集まっていた。

 トルドー首相は20日、「カナダとアメリカの経済的なつながりは非常に強く、両国間の貿易はこれからも両国経済にとって好影響を与えていくだろう」と語った。オバマ大統領は「(カナダ)保守党政権、自由党政権、(アメリカ)民主党、共和党政権を通して、アメリカとカナダの関係は世界で最も重要で普遍的なもののひとつであり、これからもそれが続くことは疑いがない」と語った。

 トルドー首相は20日の会見では、TPPについてトランプ氏がどのような対応をしてくるのか、現時点では早急に結論付けられないとしていた。しかし、22日にはトランプ氏がビデオ声明を発表。その中で就任1日目にアメリカはTPPから撤退すると公言した。この声明の中にNAFTAに関する発言はなかった。

 

2016年11月24日 第48号

 アルバータ州進歩保守党党首選に立候補しているジェイソン・ケニー元国会議員が、党規則に違反したとして5000ドルの罰金を科せられたことが21日分かった。

 州内の選挙区で継続的に行われている代理人選出会議に出席したというのが理由。党首候補者はこの会議に出席してはいけない規則となっている。この会議で選ばれた代理人は、来年3月17‐18日にカルガリーで開催される党大会で次期党首を選出する投票を行う。ケニー候補は今回の党の判断に対し、残念だとしながらも、党則に従うと語った。

 同州進歩保守党は昨年5月の選挙で大敗。40年以上続いた保守党政権を新民主党(NDP)に引き渡すことになった。選挙直後には党首が辞任。現在、次期党首決定のための党首選が行われている。

 

2016年11月24日 第48号

 カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)は東西地区の決勝が20日行われた。西地区はレギュラーシーズン首位のカルガリー・スタンピーダーズと準決勝でウィニペグ・ブルーバマーズを逆転で下したBCライオンズの対戦となった。

 試合は序盤から完全にスタンピーダーズが圧倒した。カルガリーのマックマホンスタジアムには3万2千人が詰めかけ大声援を送る中、着実に得点を重ねていった。

 そして前半を終え32‐0とほぼ試合を決定づけた。後半に入りライオンズは2タッチダウンを決めたものの、スタンピーダーズも得点を重ね、終わってみると42‐15とスタンピーダーズの圧勝。今季のレギュラーシーズンでもリーグトップの成績で圧倒した強さを地区決勝でも見せつけた形となった。

 東地区は、オタワでレッドブラックスと準決勝でハミルトン・タイガーキャッツを下した西地区からのクロスオーバー、エドモントン・エスキモーズが対戦した。オタワはこの日大雪に見舞われ、真っ白なグランドでの試合となった。こちらも序盤からレッドブラックスが常にリードする展開。毎クオーターで確実に得点を重ねたレッドブラックスが35‐23と追いすがるエスキモーズを突き放し、決勝へと駒を進めた。

 これでグレイカップ決勝は、スタンピーダーズ対レッドブラックスの対戦となった。レッドブラックスは昨年に続いてのグレイカップ進出。レッドブラックスの選手は昨年のジンクスから、オタワでの決勝戦後には優勝杯に誰一人として触れないという珍事もあった。

 グレイカップ決勝は27日トロントで開催される。

 

2016年11月24日 第48号

 現在佳境に入っているメジャー・リーグ・サッカー(MLS)は、両カンファレンス決勝第1戦が22日行われ、東はトロントFC対モントリオール・インパクトのカナダ対決となった。

 ホーム&アウェーで行われるカンファレンス決勝戦。第1戦は約6万人が詰めかけたモントリオールのオリンピック・スタジアムで行われた。試合は会場側の手違いで30分遅れで始まったものの、ファンにとっては関係なかった。

 試合開始10分でモントリオールが先制すると、その2分後にも追加点。後半に入り53分にはダメ押しとなる3点目で試合を決定づけたかに見えた。

 しかしトロントもここから反撃。68分に1点目を入れると、73分にも追加点をあげ、1点差。その後も反撃するが及ばず。結局3‐2でモントリオールが1勝目を挙げた。

 トロントFC遠藤翼はこの日は控えで、結局最後まで出番はなかった。

 次は11月30日トロントで第2戦が開催される。

 西カンファレンスは同日シアトル・サウンダーズFCとコロラド・ラピッズが対戦。ホームの声援を受けたサウンダーズが2‐1で制した。第2戦は11月27日、コロラドで開催される。

 両カンファレンス決勝の勝者が12月10日のリーグ決勝戦に進出する。

 

2016年11月24日 第48号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの、日系移民の歴史とも深い関係を持つ漁港スティーブストンの住宅地に17日、中国人排斥を訴えるビラがまかれた。

 ビラには「どけ、白人ども。ここは中国人がもらった!」という見出しと、中国の国旗のデザインと同じ五つの星が描かれている。そして、現在コミュニティが抱える問題を白人至上主義の立場から糾弾、最後にこうした活動を行う団体への参加を促している。

 ビラをまいたのは、白人至上主義を掲げる団体オルタネイティブ・ライト(alternative right、通称オルト・ライト)。

 嫌がらせを警戒し、匿名希望でメディアに連絡してきた住民は、これをドナルド・トランプ効果だと指摘、こんなことがカナダで起こるとは思っておらずショックを受けたと語っていた。

 アメリカの次期大統領に決定したドナルド・トランプ氏は、そのチーフアドバイザーにメディア業界の実力者、スティーブ・バノン氏を指名している。バノン氏は白人国家主義者の声を代弁することで知られているメディア、ブライトバート・ニュースの会長を務めているが、これに合わせるかのようにオルト・ライトの活動も活発になってきている。

 また別のスティーブストンの住人は、カナダ、特にリッチモンドでは差別主義や、不安をあおって人種間の分裂を引き起こそうとするような動きを認めることはできないと語っていた。全ての人が隣人かつ、同僚でもあり友人でもあり、アメリカのような憎悪の拡散はここでは願い下げだと、付け加えていた。

 リッチモンドRCMPも、人種差別や憎悪などに基づく行為には厳しく対処するとコメント、積極的に警察に連絡するよう呼びかけていた。

 

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