2016年11月24日 第48号

 オンタリオ州ハミルトンのハミルトン劇場に18日夜から、上演作品に対する非難がツイッターで寄せられるようになった。

 同劇場のツイッターを担当しているリアン・レオナルドさんは最初、普通の観客からの反応だろうと思っていた。しかし20日には「劇場はこの人権侵害の責任を取るべきだ」という過激なコメントをツイートされる事態になり、彼女は一体何が起こったのかと、ソーシャルネットワークを探ってみた。

 そしてわかったことは、このコメントは同劇場(@HamiltonTheatre)に向けられたものではなく、アメリカ・ニューヨークのブロードウェーで上演されている人気ミュージカル『ハミルトン』(@HamiltonMusical)に対するものだったということ。

 ブロードウェーの『ハミルトン』は、アメリカ建国時の立役者の1人で、孤児から身を起こしてアメリカ合衆国初代財務長官にまで上り詰めた、アレクサンダー・ハミルトンの生涯を描いたミュージカル。

 このミュージカルで第3代アメリカ副大統領アーロン・バーを演じているブランドン・ビクター・ディクソンさんが18日の上演後、ミュージカルのスタッフや出演者を代表して、マイク・ペンス次期副大統領を非難するコメントを公表したことから、今回の騒ぎが始まった。

 ディクソンさんはトランプ次期大統領とその政策チームは「私たちをはじめ、私たちの子どもや親、世界も守ろうとはせず、また私たちの侵すことのできない永久の権利も保護しようとしない」と訴え、ペンス次期副大統領に対し、アメリカの価値を認めるとともに、全ての人々のために職務を全うするよう呼びかけた。

 これに対しドナルド・トランプ次期大統領は20日ツイッターで、これはペンス次期副大統領に対するハラスメントだと攻撃、同ミュージカルのメンバーからの謝罪を要求した。

 これに便乗する形でトランプ派がツイッターで非難を繰り広げたが、誤ってオンタリオ州のハミルトン劇場のツイッターアカウントにツイートしてしまったというのが、騒動の真相だった。

 レオナルドさんは、そのうちのいくつかには対応したものの、この終わりのない争いに巻き込まれるのは願い下げだと取材に語っている。アカウントのプロファイルを見れば、このアカウントが「ハミルトン・オンタリオ・カナダ」であることがわかるとしたうえで、これはインターネット上に撒き散らされる憎悪の表れで、彼らは理由もなく怒り狂うと感想を述べていた。

 

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